創作と仕事のリアル…。見事に詰め込まれた作品。
企画スタートから足掛け7年、『ハケンアニメ!』の実写映画化がついに実現! 大勢の人が関わるアニメ制作の現場は、監督といえども思い通りにいかないことばかり。そんな『ハケンアニメ!』の物語を、『水曜日が消えた』の吉野耕平監督が映画という形で新たに表現。実は吉野監督は、映画『君の名は。』にCGアーティストとして参加した経験を持つ。同世代でもある辻村さんと吉野さん、2人のクリエイターがアニメ制作の現場を取材し、アニメと本気で向き合って誕生した『ハケンアニメ!』。劇中アニメのすごすぎるクオリティとともに、公開を楽しみにしてください!
アニメ制作現場の熱量をこの4人が体現!
作品のすべての責任を担う監督と、監督を支えるプロデューサー。何もかも異なる2組の激突を熱く、生きいきと演じる4人をご紹介します。
トウケイ動画
敏腕プロデューサー行城が新人・瞳監督を抜擢。『サウンドバック 奏の石(かなでのいし)』(通称サバク)を制作。
吉岡里帆/監督 斎藤 瞳
天才・王子監督との覇権争いだが負けるつもりは毛頭ない。内なる闘志を秘めた凛々しさと、新人らしい初々しさの対比に注目を。
柄本 佑/プロデューサー 行城 理
敵に回すと憎らしいほど手強く、味方にいると頼もしいけど何を考えているのかよくわからない、つかみどころのない行城を好演。
スタジオえっじ
香屋子の念願だった王子監督とのタッグ。『運命戦線 リデルライト』(通称リデル)は7年ぶりの新作。
中村倫也/監督 王子千晴
天才ではあるものの、実は自分で天才っぽさを演出している泥くさい一面を持つ。そんな王子の独特なかわいさを見事に表現。
尾野真千子/プロデューサー 有科香屋子
「自分の尊敬するクリエイターを守る」という気概を持つ香屋子は包容力の塊。王子を見守るやさしい眼差しは、香屋子そのもの。
辻村深月さんが撮影を見学。
スタジオ、絵コンテ、作画風景…。物語が現実に動きだしています。
見学日当日、撮影現場の入り口には、リデルとサバクの美術さんが作ってくれたリアルな垂れ幕とポスターが。それに迎えられた辻村さんは、「あれを見た時、『あ、これ、私が書いた!』と興奮しました。私の頭の中にだけあったものを、こんなにもたくさんの人たちが形にしようとしてくれて、頭の中にあった姿以上のものを再現してくださっていて、すごく幸せだなと感じました」
映画を撮影するにあたって、東映アニメーション所属の梅澤淳稔(あつとし)さんが監修を務め、アニメ制作現場のリアルな再現にこだわった。
「それぞれの場面での登場人物の心の動きや作業している仕草が現実に沿っているか。また机や棚などの配置や作業道具の置き方など、アニメ業界を知らない方にも登場人物たちが今何をしているのかわかりやすく、かつ業界の方にも『あれなら納得』と言っていただけるように心がけました。アニメ制作の工程で、『なぜ今この作業をしているのか』『この時点で何を思っているのか』や、専門的な道具の使い方などはレクチャーしましたが、出演者のみなさんの理解力と呑み込みの早さには本当に驚きました」(梅澤さん)
最近はアニメ業界にもデジタル化の波が。王子監督は手描きで、瞳監督はデジタルで、という対照的な2人の制作スタイルがセットでも表現されている。
つじむら・みづき 小説家。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31 回メフィスト賞を受賞し、デビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。最新作はホラーミステリー『闇祓』。
『ハケンアニメ!』 2014年に刊行された『ハケンアニメ!』(小社刊)を原作とした実写映画。監督/吉野耕平 脚本/政池洋佑 配給/東映 2022年5月公開。情報解禁に先駆けYouTubeに予告編がアップされ、ネット上でも話題に。アニメ『サウンドバック 奏の石』特報アニメ『運命戦線リデルライト』特報※共にYouTube「東映映画チャンネル」内。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会 https://www.haken-anime.jp/
※『anan』2021年12月8日号より。取材、文・尹 秀姫
(by anan編集部)