人気占い師・しいたけ.さん「2021年までの世界は、波乱や混乱が…」 今年を総括!

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2021.12.01
占い師、作家のしいたけ.さんが、この世界の「色」から2021年を振り返ります!
essay

お疲れ様でした。日本。

皆さんこんにちは。しいたけ.です。いきなりなのですが、ちょっとここで皆さんにも振り返って欲しいことがあって、「2020年のオリンピックをどんな形で迎える」と想像していましたか。この質問はおそらく半分ぐらいタブーの質問だと思います。うまく答えられない。

これを書いている僕自身も「2020年は東京でオリンピックか。どういう感じになるのかな」と、「オリンピックという巨大なイベントがあって、世界中の人がこの日本に向かって集まってくる」という想像と、「今」の世界線がまだなかなかうまく繋がらないままなのです。いきなりこういう話題をぶっこんでしまってごめんなさい。でも、多くの人が2020年という年を確実にひとつの「区切り」にしてきたはずだし、「オリンピックが終わった後、私はどういう景色を見ていくのだろう」と、不安半分、楽しみ半分で想像していたのだろうと思います。

まず、お伝えしたいことは「ショックを受けた人間は、すぐに日常に戻るべきではない」という、僕の持論なのです。我々は普段、「日常」の中に生きています。日常というのは、小学生の子どもから年配の方までなんらかの「日々の頑張り」をしなければいけない。でも、ショックを受けた後にこそ、日常に戻って「さぁ、ここから頑張ろう」みたいな勇ましい声を上げる前に、最低一回は「非日常」に行って欲しいのです。ちょっと頑張ってホテルに泊まってみる。旅行してみる。友達と久しぶりに朝まで話してみる。綺麗な夕焼けを見に行ってみるとか。

もう少し、非日常の話を続けさせて下さい。人は機械ではなく、心を持っています。一生懸命に区切りや節目に向かって頑張ってきたのに、その区切りが延長になり、生活様式や日常風景が一変し、正直、何を信じて良いのかわからなくなってしまうこともありました。この期間、何度も何度も心が折れそうになったり、実際に折れてしまった人もいらっしゃると思います。何かにひたすら耐えて、大きな勝利を得て、祝福されるわけではない。我々がやってきた苦難は、誰かのために自分を制し、ひたすら待ち続けるという、本当に地味なものでした。それをやって「ありがとう」とか「偉い」ということを、言われることもありません。人それぞれに抱えてきた物語があり、作り上げてきた大切な思い出があり、2020年を区切りに頑張ろうとしてきた「次の目標」があったのに。だから、これまでの「非現実的な日々」を耐え忍んできたすべての方々に、この日々を人目につかないところで奮闘してきたすべての方々に、まずは「本当にお疲れ様でした」と伝えさせて下さい。誰もが、賛辞を受け取るべき生活をしてきたはずなのだから。そして、「さぁ、頑張ろう」という日常に戻る前に、どこか時間が取れるタイミングで「非日常」に行き、自分や周りの人を是非ねぎらってあげて下さい。「いやぁ、お疲れ様でした」と。まずはもう、それだけをお伝えしたく、序文が長くなってしまってごめんなさい。ここから先は色から世の中を見ていきますね。

2021年までの世界で重要な役割を担っていた緑

2021年までの世界は波乱がありました。その波乱や混乱をカラーで表すと「緑の破壊」のような現象があったと思います。緑というカラーには「協調性」とか「チーム」とか「自己主張をするより、縁の下の力持ちになる」とか、「リーダーを支える副官」とか、そういう性質があります。もう、ここまで列挙してきた中で、今年はその「緑が持つ協調性や和のイメージ」がけっこうダメージを負った感じがあるでしょう? 日本の文化の中で、「協調性を持ち、リーダーからの指令を伝え、下の人の意見を調整し、人間関係のバランスを保つ緑」はかなりの重要な存在です。よく理想の恋人の条件として「やさしい人」があげられるのも、「やさしい人=話を聞いてくれる人。自分の意見を必ず通すというかたくなさがない人」というイメージがあり、これも緑が持つ特性なのです。

日本では個人の個性よりも、どちらかというと「その場に形成される空気」が場をコントロールしがちです。たとえば、就職試験の面接でも、打ち合わせなどでも、我々は初対面の人同士で顔を合わせた時に、「この人にどこまで言って良いのかな」と、まず相手の顔色を見ます。積極的にいった方が良いのか、それとも、相手の主導に任せてしまった方が良いのか。小難しい言い方になってしまうのですが、「その場の権力を握る人が、他人に対してどういう姿勢であることを望むか」で、個々人のやるべきパフォーマンスの正解が変わってくる。だから、「好きにやっていいよ」がすごく苦手だったりしますよね。そんな少し複雑な空気の中で、「空気の翻訳をし、正解を伝える役目」が緑なのです。「あ、あの部長は怒っているように見えてそうじゃないから、もっと言っちゃって良いと思うよ」とか「あー、やり過ぎちゃったかもね。わかった。私がフォローをしておくから、あなたはその作業を続けて!」とか「いや、ちょっと言い過ぎだと思いますよ。あの子はあの子で頑張ったんだから」とか、緑は「みんなの副リーダー」として個人と個人、そして、個人とみんなを繋げる潤滑油の役割を持ちます。

しいたけ.さん 占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら、占いを学問として勉強する。『しいたけ.の小さな開運BOOK』が好評発売中。12月2日に新刊『しいたけ.のやさしいお守りBOOK』(共に小社刊)が発売に。公式サイトhttps://shiitakeofficial.com/

※『anan』2021年12月8日号より。イラスト・100%ORANGE

(by anan編集部)

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