読者を煙に巻くナンセンスな笑いを、きれいめタッチで描く、新感覚漫画。白湯白かばんさんによる『まれなひと』。
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漫画家でマルチクリエイター、ジョンソンともゆきさんのアドバイスもあり、Twitterアカウント(@sayushirokaban)を作って投稿し、ユニット漫画家として産声を上げた白湯白かばんさん。

「初めての投稿は2020年2月29日、うるう年のうるう日でした。その日にしたのは原作担当の僕が“うるう”という言葉に変に思い入れがあるせいで、他意はありません」

そこから瞬く間に人気を博し、いまやフォロワー数4万3000人。初単行本が『まれなひと』だ。

基本は、2~4コマのギャグ漫画。お笑い好きだというふたりのセンスで落とす。だが、通ってきたお笑いや笑いのツボは若干違うそう。原作担当さんは元ラーメンズの小林賢太郎さんや街裏ぴんくさん、絵担当さんはカナメストーンやオズワルドのファン。

「白湯白かばんとしては、みんながうっすら思っているようなツボを突いて描きたいと思っているんですね。ですが、絵担当さんと『それじゃ伝わらないよ』『え、これはあるあるでしょ』と、“あるあるネタ”の感覚のズレを感じることもあり、打ち合わせでいちいち揉めてます(笑)。ただ、僕はやや自分のセンスに偏りがち。絵担当さんにうまくセーブしてもらっています」

創作する上でこだわっているのは、わかりやすさだ。

「絵担当さん曰く『セリフとそれを言っている人の造型を乖離させないこと』。1コマでも、どんなキャラクターなのかがきちんと伝わるように意識しています」

本書には、ストーリー仕立ての短編漫画が2編収録されているが、とりわけラストに置かれた「なるひと」は、ナンセンスなのにちょっぴり切なくなるステキな物語だ。

「僕は10代のころ引きこもりでした。そのころの自分の体験を、“話し相手になってくれる種から生まれた小さな人”と交流するというメルヘンに改編して描いてみようかなと思ったのがこの作品です。会話の内容は、僕が普段からメモしていた『面白いけど相づちもうまく打てないような他愛のない会話』をふんだんに入れています」

ネタのメモはガラケーに書き込む習慣で、もう10年分のデータが溜まっているそうだ。そんな中で実際に漫画にできるのは3~4割。渾身&精鋭の味わいをどうぞ。

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白湯白かばん『まれなひと』 Twitterで予想を超えてバズったのはP.68の「女教師だと思わせてくる人」、原作担当さんのお気に入りはP.53とP.165だそう。ぜひ本書でチェックを。KADOKAWA 770円 「子供だった」より ©白湯白かばん/KADOKAWA

さゆしろ・かばん 原作担当は男性、絵担当は女性のユニット漫画家。Webメディア「オモコロ」で「うつつっ娘」を連載中。https://omocoro.jp/

※『anan』2021年8月4日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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