成長過程を見守ることが次世代スターのお楽しみ。
次々と新星が現れるエンタメ業界。競争の熾烈さは世界共通ながら、スターが生まれる土壌は国によって異なるよう。
「ハリウッドはとても狭い世界。プロデューサーの子供と同級生だったことがきっかけでオーディションの声がかかるなど、人脈を中心としたコミュニティになっています。二世スターが誕生しやすいのもそのため」(映画ライター・山縣みどりさん)
ネット文化が盛んな韓国では、ウェブドラマが若手の登竜門に。
「作品数が多く、人気や実力が未知数な新人にも機会が回ってきやすい。質も上がっており、地上波にも劣らない勢いを感じます」(ライター・尹秀姫さん)
また、近頃メキメキと注目度を上げているのがタイエンタメ。
「日本でもBLドラマが話題を呼んでいますが、作品でカップルを演じた俳優が広告などにも一緒に出演するのがタイの特徴。俳優同士のプライベートの交流も盛んで絆の深さが伝わるからか、オフシーン込みの“関係性萌え”で人気が加速する傾向が」(ライター・横川良明さん)
では、それらの背景から輩出される次世代スターの傾向は?
「社会問題に敏感なハリウッドでは、BLM以降多様性が鍵に。ケルヴィン・ハリソン・Jr.などのブラックアクターも役の幅が広がり、さらに知名度が上がるはず。また、TikTokerのジョシュ・リチャーズのように、SNS発の身近なスターも増えていく気がします」(山縣さん)
「K‐POP界は引き続きハイスペックな新人を輩出。その他にも、数年前からオーディション番組出身者が話題。ドラマ主演を果たしたハン・ギチャンをはじめ、今後もその傾向は続きそう。そして韓国では最近のレトロブームのおかげか、トロット(演歌)が大流行中。イム・ヨンウンなどのトロット歌手が国民的人気者に!」(尹さん)
「タイの人気放送局GMMTVが手掛けるBLドラマは、次なるスターの宝庫。他の局でも、ドラマ内のサブカップルが続編でメインを張ったり、脇役の俳優さんが他の作品で主演を務めて一気にスターダムを駆け上がることも」(横川さん)
成長をリアルタイムで追える点が、ネクストスターの魅力。ぜひお気に入りを探してみて!
Kelvin Harrison Jr.(ケルヴィン・ハリソン・Jr./26歳)
繊細な演技が高評価。初のメジャー作品が待機中!
2013年に映画からキャリアをスタート。「主演を務めたインディーズ映画『ルース・エドガー』と今年の話題作『WAVES』の演技が絶賛され、注目の存在に。大作『シカゴ7裁判』のオファーも舞い込み、まさに時代にマッチした存在という感じ」(山縣さん)
Steven Ferdman/ゲッティイメージズ
Josh Richards(ジョシュ・リチャーズ/18歳)
TikTok界ではトップレベル! 絶妙な親しみやすさが鍵。
2000万人以上のフォロワーを持つTikTokスター。ステイホーム期間中にさらに再生回数を伸ばした。「“学校一のイケてる子”くらいのアマチュア感が人気の秘訣。様々なツールで発信しており、最近の情勢から今後は“Triller”に移行するとの噂も」(山縣さん)
Bryan Steffy/ゲッティイメージズ
Han Gi Chan(ハン・ギチャン/22歳)
韓国エンタメ界の新境地に体当たりで挑む!
韓国のオーディション番組『プロデュース X 101』出身。演技初挑戦にして主演ドラマ『君の視線が止まる先に』に抜擢された。「韓国では新ジャンルのBLドラマで健闘! 多くの人から注目されたはず。演技に引き込まれました」(尹さん)。ドラマは「Rakuten TV」にて全話配信中のほか、映画版がシネマート新宿、シネマート心斎橋で公開中。
©2020 W‐STORY ALL RIGHTS RESERVED
Lim Young‐woong(イム・ヨンウン/29歳)
年齢・性別問わず引き込まれる天才的な歌声がヒットの理由。
韓国の演歌といわれる「トロット」のサバイバル番組で圧倒的な実力を示し、1位を獲得。「デビューして数年を経て、番組をきっかけに大ブレイク。中高年はもちろん、若者も彼の歌声に夢中です。注目されたことで、外見も垢抜けてカッコよくなった!」(尹さん)
写真:アフロ
山縣みどりさん 映画ライター。出版社勤務を経てフリーランスに転身。映画レビューやインタビューのほか、セレブのファッションやゴシップなどの記事を執筆。海外ドラマにも精通しており、スター発掘に余念ナシ。
尹 秀姫(ゆん すひ)さん ライター。韓国カルチャーや芸能事情への造詣が深く、現地の空気をいち早くキャッチ。本誌をはじめ、様々なメディアでK‐POPアイドルや韓流スターのインタビューや記事制作を担当している。
横川良明さん ライター。映画や演劇、テレビドラマなど、エンタメページを中心に幅広く取材を敢行。小劇場の情報満載なWebマガジン「ゲキオシ!」編集長も務める。最近の推しジャンルはタイドラマ。
※『anan』2020年10月14日号より。取材、文・真島絵麻里
(by anan編集部)