演劇ユニット「マームとジプシー」の主宰、藤田貴大さんが初の小説を上梓した。タイトルは『季節を告げる毳(けば)毳(けば)は夜が知った毛(も)毛(け)毛(も)毛(け)』。さまざまな断片が連なり、やがて大きな物語が見えてくるモザイク画のようなつくりだ。
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「最初はたくさんの掌編を書かないか、という話でした。書き方も、小説でも戯曲でもなんでもいいと言われ、それなら面白そうだと思って。でも書いているうちにだんだんストーリーが出てきて、短編として読めるね、という話になって」

舞台は東京。落下するコアラ、謎の声を聞くと死ぬ人々、ワニの洗髪屋、いじめられる少年、何気ない一言に傷つく少女、冬毛という植物等々。描かれる世界はどこか不穏だ。

「書き始めた時期、ヘイトという言葉をよく耳にするなど“おやっ”と思うことが増えていたんですよね。差別が罷(まか)りとおっていくようなムードの高まりが怖いなと感じたことを、声を聞いたら死んでしまう現象として書いたし、洗髪屋のワニについては移民の問題を考えていたと思います。いろいろ動物が出てくるのは、偉そうにしている人間だって動物だという気持ちがあるから」

また、産毛などの体毛、資源にもなる冬毛など、さまざまな“毛”が描かれるわけだが、

「中学生の時、隣の席の女の子が突然腕の産毛を剃ってきたことがあって。誰かに何か言われたのかなと思って切なくなって、それが原体験にあります。東京も、産毛を剃るように森を伐採して作られた都市だと思うと、“毛を剃らなきゃ”と“森を伐らなきゃ”が同義に思えて、それをランドスケープ的に描きたかった」

実験的なこのテイストで書けてよかった、と藤田さん。

「劇作家は、ある意味ドライに戯曲を書いているんです。役者が感情を演じるので。でも小説って作者が一人で何役も演じるようなものでもあるので、僕には恥ずかしくなる部分があって(笑)。こういう書き方なら、俯瞰したりあえて主観的になったり、“演劇をやっている人が小説を書くとこうなる”というものにできるなと思いました。今回、大変だったけど楽しかったし機会があればまた書きたいですが、その時も小説家ぶるのでなく、演出家という立場のままで書きたいです」

『季節を告げる毳毳は夜が知った毛毛毛毛』 コアラが降ってくる世界を描く掌編をプロローグに、東京に住む人々と動物の姿を季節のうつろいのなかにちりばめた著者初小説。河出書房新社 1700円

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ふじた・たかひろ 1985年生まれ、北海道出身。演劇ユニット「マームとジプシー」の作・演出を担当。岸田國士戯曲賞、読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。著書に『おんなのこはもりのなか』など。

※『anan』2020年9月9日号より。写真・森山祐子(藤田さん) 中島慶子(本) インタビュー、文・瀧井朝世

(by anan編集部)

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⾝近な⼈たちと⼼が通い合い、安⼼感に包まれる⽇です。迷いを感じたら、無理をせず「安⼼できる場所」へと戻ってみて。その素直な選択が、あなたを正しい流れに乗せてくれます。その後、準備してきた想いを形にするチャンスが巡ってくるでしょう。進みたい⽅向が定まったら、⾃分を信じて次のステージへ⽻ばたいてください。

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