――今年7月からYouTubeで公式チャンネル「しもふりチューブ」を開設されましたね。
粗品:はい。いろんなメディアに興味がある若い世代に向けて、面白いことしたいと思ったので。
せいや:「漫才100本アップ」という目標を掲げてるんです。
――それって他のお仕事も忙しい中で大変じゃないですか?
せいや:時間的には大変ですけど、自由に好きな笑いができることに、ワクワクしてます。漫才だけじゃなく、ものまねやギャグ、いろんな企画をやっていくつもりです。
粗品:僕らこれまで滅茶苦茶たくさんネタ作ってきたんで、もったいないなぁと思ってね。今とは逆の、僕がボケて、せいやがツッコミやってる漫才とかもあります。
――昔の漫才を今またやってみて、違う感覚はありましたか?
粗品:いろいろ思い出して、オモロかったですね。このネタやってた頃、俺ら腐ってたなぁとか。
せいや:認められへんでしんどかったなぁとかね。だから、僕ら的には気持ちのこもったひとつひとつの漫才になってると思いますね。
――コンビ結成5年目で『M-1グランプリ』を制したおふたりは、すぐに売れっ子になったイメージがありますが、違うんですか?
粗品:いやいや、コンビ組んで3~4年ぐらいまでは地獄でしたよ。自分らでは面白いことしてるつもりやのに、認めてもらえなくて。もちろん全然食べられへんし。
せいや:ほんましんどかった。うちは、粗品がピン芸人としてひとりで2年ぐらいやった後に僕とコンビを組んだという、変な結成の仕方をしてるんで、他の人とはまた違う苦労があったんです。
――そもそもコンビを組んだいきさつを教えていただけますか?
粗品:高校時代に別々のコンビで「ハイスクール漫才」というコンテストに出場した時に、初めて会って、「オモロいヤツがおるなぁ」と、連絡先を交換したんが最初です。高校卒業後、僕はピン芸人としてやるようになって、その時からこいつと漫才がやりたいとずっと思ってたんです。
せいや:「コンビ組もう」って最初言われた時は、僕は断ったんですよ。大学に進学してから、学生生活のほうが楽しくなって、お笑い活動をやめてたんで。それでもまた、誘ってくれたんですよ。
――なぜそこまでして、せいやさんと組みたかったんですか?
粗品:せいやが誰よりも面白かったからです。ふたりで漫才やってプロとして通用するのはこいつしかおらん、と思いました。
せいや:今の言葉、太字で書いておいてください(笑)。粗品はとにかく熱いんですよ。また誘われた時も、「おまえとやったら3年で売れる」とか、ガーッと語られて。こんなに自分が必要とされてるなら、頑張ってみようかと二十歳の時に決意したんです。ところが、ふたりで活動を始める直前に粗品がピンで評価されてしまって…。
――関西で年末に生放送されてる『オールザッツ漫才』の若手コンテストのコーナーで、2012年に粗品さんがピン芸人として、史上最年少で優勝したんですよね。
せいや:そうなんです。僕は生でテレビ見ながら、これでコンビ組もうって約束はなくなった、粗品はこのままピンでやっていくやろうなぁと、胸を締め付けられるような思いでいたんです。
粗品:でも僕はせいやと漫才がやりたかったんで。
せいや:それをテレビで言うてくれたんですよ。それで、年明けてすぐにコンビ結成しました。
――すでに評価された粗品さんと組むのはプレッシャーですよね。
せいや:そうなんですよ。僕は素人の大学生でしたから、まわりは「なんであんなヤツと組むんや」とか、「粗品ひとりでやってたほうが良かった」とかいう意見がほとんどでした。僕も哀しいし、粗品も悔しかったと思います。
――コンビを組んで漫才のネタはすぐにできたんですか?
粗品:最初のを作る時も10本作るうちの1本だと思ってたので、どんどん作っていった感じです。
せいや:僕ら自分でネタを書いてやってきた経験がありますからね。ファストフード店で何時間も粘りながら、ふたりでゲラゲラ笑いながらネタを考えて合わせていく。それは、最初から今までずっと変わってないですね。
粗品:いろいろネタ作って、’14年に『THE MANZAI』で、準決勝までいったのが初めての成果なんですけど。そこから乗り切れなくて。
せいや:粗品は「3年で売れる」って綿密に計画たててたのに、その時期になっても全然やったから、焦りは凄かったよね。
粗品:’16年に『M-1』で準決勝までいって、次の年に『ABCお笑いグランプリ』取って、やっとノってきましたけど。それまでは本当に腐ってました。
しもふりみょうじょう 2013年結成。『霜降りバラエティ』(テレビ朝日系)が毎週木曜25:59~放送中。ボケ担当のせいやは1992年東大阪市生まれ。高校時代いじめられた時にお笑いでハネ返した経験があるタフなハートの持ち主。ツッコミ担当の粗品は'93年大阪市生まれ。ピン芸ネタを競う『R-1ぐらんぷり』2019年で優勝した、卓越したセンスとテクを持つ実力派。
「しもふりチューブ」という公式YouTubeチャンネルを開設し、毎日18時にアップ中。目標としている「漫才100本」を披露していくほか、オリジナルゲームや、さまざまな企画にも挑戦している。最新情報は、Twitter(@shimofuri_tube)で発信。企画や質問、コメントはメール(shimofuri@omo.jp.net)にて随時受付中。
※『anan』2019年9月4日号より。写真・小林真梨子 インタビュー、文・伊藤愛子
(by anan編集部)
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