
井之脇海さん
俳優として多忙な日々を過ごすなか、時間を見つけては山を訪れる井之脇海さん。その魅力を穏やかな口調で語ってくれました。
いつか百名山を制覇するのが夢。今は22座を登頂済み!
愛用中のイタリアブランドのバックパックを手に、撮影現場に来てくれた井之脇海さん。
「登山は、高校生の頃に父に連れられて、半強制的に登らされたのがきっかけ(笑)。でも、言葉だけじゃないコミュニケーションがそこにはあって、山っていいなあと。本格的に山にのめり込むようになったのは、大学で山岳部出身の友人と出会ってから。最初は、達成感がモチベーションでしたね。登りきることで自分を試すような感覚が楽しくて。そのうち、初めて登山をする友人を山に連れていく機会が増えてからは、誰かと時間や景色を共有できることも、楽しみのひとつとなりました」
山にいると五感が研ぎ澄まされて、心が整っていくという。
「同じ山でも、季節によって、その日によって、一瞬一瞬でまったく表情が違うんです。春は新緑、夏は川のせせらぎ、秋は紅葉、冬は真っ白な銀世界。あの静寂の中で、木が裂ける音も美しくて。夜空はどんな夜景よりもキレイだと思うし、広い空を見上げて深呼吸すると、都会で知らず知らず狭くなっていた視野が開いて、ふっと力が抜けるんです。癒されてるなって実感しますね」
最近では、西表島で滝を目指して沢を登る沢登りを体験したそう。
「サンダルで水の中を歩いて、ツリークライミングで木にも登って。自然と一体になるような時間が、最高のリフレッシュになりました。いつか、北アルプスの裏銀座ルートを縦走してみたいですね。2泊3日くらいで、雲の上を歩き続けるような体験をしてみたいです」
日常生活でも、こっそり癒しを取り入れていると語る。
「最近は、自分のテンションを上げてくれるアイテムを集めていて。朝、家でコーヒーを飲むのが日課なんですが、お気に入りのマグだと豊かな気持ちになれます。あとは、自分で撮った写真をTシャツにしてパジャマにしてるんですけど、それを着ると頑張ろうって思えたり。日常の小さな癒しを積み重ねながら、たまにどーんと山に登ってリセットする。そのバランスが心地いいですね」
憧れの山に登れた、かけがえのない時。

富山県を中心に位置する立山連峰の縦走に挑戦。難易度の高いルートこそ、一層の達成感が。「憧れだった剱岳にも登れて最高でした! 体は疲れたけど、心はリフレッシュできました」
井之脇海さん
Profile
いのわき・かい 1995年11月24日生まれ、神奈川県出身。俳優。9歳から子役としてキャリアをスタートさせ、数々の話題作に出演。現在、大河ドラマで小田新之助を演じる。
写真・Nae.Jay スタイリスト・坂上真一(白山事務所) ヘア&メイク・星野加奈子(Sweep) 取材、文・岡井美絹子
anan2453号(2025年7月2日発売)より