
ⒸZion Films ⒸMRP Entertainment
インド映画界のなかでも注目度アップのコリウッドから、初恋に決着をつける旅に出る男女をユーモラスに描く『冴えないボクと映えるキミ』を紹介。
思春期のこじれに共感し、「その気持ち、わかる」とうなずくかも
インド映画界のなかでも最近、注目度アップのタミル語映画(通称コリウッド)。スーパースターが暴れ回る派手なアクション活劇やインドの“現実”を反映した社会派ドラマをヒットさせているなか、気分が上がる「フィール・グッド・ムービー」に定評アリ。そんなコリウッドから登場したのが、初恋に決着をつける旅に出る男女をユーモラスに描く『冴えないボクと映えるキミ』だ。
主人公はデザイナーとして働く青年サティヤ。恋愛とは無縁のサティヤを心配した姉が、美人インフルエンサーのモニシャを紹介したことで彼の人生が動き始める。モニシャはサティヤの高校の後輩で、彼が密かに恋していたアニシャとも仲良しだった。思い出話が弾んだ二人は、「お互いの初恋相手に会いに行こう!」と盛り上がる。
ブラインドデートの席で高校時代を回想するサティヤとモニシャの胸に去来するのは、初恋やすれ違った想い、そして心の奥にしまい込んでいた「言葉にできなかった恋心」だ。大人になれば些細なことも、高校生にとっては人生の一大事だったりする。ハリウッドの人気女優も以前、「高校時代は黒歴史」と言っていた。失敗や痛さは万国共通。思春期のこじれに共感し、「その気持ち、わかる」とうなずく人は多いはず。二人の回想の時間軸が微妙に重なっていたり、ある出来事がそれぞれの視点で全く違った様相を見せるのは『羅生門』風だ。特に印象的なのが厳格な先生がセクハラ疑惑をかけられた事件。サティヤの記憶とモニシャが知る状況から浮かび上がる、教師の正しさに感動!
展開は推して知るべしだが、随所に盛り込まれたキレのいいダンスとノリのいい音楽がスパイスとなってドラマをグイグイと盛り上げる。サティヤ役のアビシャン・ジーヴィントは『ツーリストファミリー』の監督で、これが主演デビュー作。俳優が本業ではないと思えない自然な演技を披露していて、気の強いモニシャ役のアナスワラ・ラージャンとの息もぴったり。また脇を固める役者たちも個性派が多く、インド映画界の底力を感じる。
information

『冴えないボクと映えるキミ』
監督・脚本/マダン 出演/アビシャン・ジーヴィント、アナスワラ・ラージャン、カーヴィヤー・アニル、シャシクマール(特別出演)、カマレーシュ・ジャガン(特別出演)ほか 9月4日より新宿ピカデリーほか全国順次公開。
anan 2510号(2026年9月2日発売)より































