意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「国際刑事裁判所」です。
世界の秩序が乱れる今こそICCの存続を
国際刑事裁判所(ICC)は、独立した常設の裁判所で、集団殺害犯罪や人道に対する罪、戦争犯罪などの重大犯罪に問われる“個人”を訴追する機関です。1998年にオランダ・ハーグに設立され、現在125か国が加盟していますが、アメリカ、ロシア、中国は加盟していません。
ICCは、2024年11月にイスラエルのネタニヤフ首相らに、パレスチナ・ガザ地区での人道に対する罪と戦争犯罪の容疑で逮捕状を出しました。米バイデン政権は、これに対し「非合法で根拠がない」と非難。翌年、トランプ政権はICC関係者の資産凍結や入国禁止などの制裁を科しました。また、今年7月にはICCの解体を呼びかけ、同盟国に脱退するよう圧力をかけるなど、強硬な姿勢を示しています。
ICCはイスラエル側だけではなく、パレスチナ側のハマスの幹部も人道に対する罪で起訴、逮捕状を出し、中立を保っています。それにもかかわらず、アメリカ政府がこれほど反発姿勢をとっていては、今後、誰が世界の無法者を裁けるのでしょうか。
そんな中、ニューヨークのマムダニ市長が、「戦争犯罪人は拘束するべきだ」と発言。実際に拘束する権限は市長にはありませんが、連邦政府に執行を求めました。イスラエル支援国家のアメリカで、ニューヨークの市長があらためて原則を言い放ったことは、世界にインパクトを与えました。
現在、ICCの所長は日本人の赤根智子さんが務めています。2018年にICC裁判官に就任し、2024年3月、ICC裁判官の投票により、日本人で初めて所長に選任されました。2023年にはウクライナの子供たちを連れ去った戦争犯罪の容疑で、ICCはプーチン大統領に逮捕状を発布。その判断に関与した報復として、赤根さんはロシア当局から、欠席裁判で有罪判決を受けています。
赤根さんは、ICCが存続の危機に瀕していると訴えています。加盟国である日本は、今こそICCの必要性を訴え、世界の秩序を守る旗振り役を担うべきですが、大国の様子を見ながら日本政府は何も声明を出していないというのは非常に残念です。
五月女ケイ子解読員から一言

ICCをサッカーW杯の審判に例えると、レッドカードを出されても無視してプレー続行したり、ルールを無視している強豪国が、逆に審判を出場停止にする無敵モードW杯。サッカーくらいわかりやすくないのが問題をさらに難しくさせてるなと思います。
解説員
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堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
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五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2509号(2026年8月26日発売)より
































