
Ⓒナガノ / 2026「映画ちいかわ」製作委員会
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の監督を務めた及川啓さんに演出のこだわりから好きなシーン、食べ物のことまで教えてもらいました!
Profile
及川啓
おいかわ・けい 監督、アニメーター、演出家。『ウマ娘 プリティーダービー』『ヒナまつり』など、これまで数多くの作品に携わる。『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は初の劇場アニメ監督作品となる。
素晴らしいスタッフの方たちのおかげで、原作の面白さを全部映画に詰めることができた
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の監督を務めることが決まった時を振り返って、「嬉しさと不安の両方がありました」と明かしてくれた及川啓監督。
「国民的人気のある作品に参加できる喜びと、自分に務まるのかな? という不安ですね。というのも、『ちいかわ』という作品は笑いや感動、恐怖、シュールさなど、さまざまな要素が絶妙なバランスで成り立っている作品で、うまくアニメにまとめるのは難しそうだと思ったので。そして、実際に難しかったです(笑)。原作を読んだ時に映像化はナガノ先生にしかできないと直感的に思ったので、どうすれば原作どおりにまとまるのか、絶妙なバランスに落とし込めるかということを一生懸命考えながら作りましたが、すごく楽しかったですね」
劇場版のキャラクターを描く上で大事にしたのが、ポーズのつながりだという。「TVアニメの『ちいかわ』は、1話あたり約1分と短いため、キャラクターのポーズが前後のカットで違っていることがあります。一方、映画は約100分の尺があるので、前後のカットのポーズを丁寧につなげて映像をまとめていきました」
映画で新たに登場するセイレーンと島二郎を描く上でこだわったことも。
「セイレーンは、かわいさと、すごく怖い一面を併せ持っているので、そのメリハリをうまく表現したいと思いながら描きました。島二郎は、原作の初登場シーンに3面図が出てくる不思議なコマがあり、アニメではどうするか? ひたすら悩んだ記憶があります(笑)。ちなみに、島二郎が捕まって蔦に絡め取られて持ち上げられるシーンは、原作では結構お尻がもろに見えているんですよね。最初に上がってきた絵では少し隠れていたのですが、“いや、島二郎はお尻が大事なんだ。ファンの方はそこも含めて大好きなんだろう”と思い、ちゃんと見えるようにしてほしいと、スタッフの方にリテイクを出させてもらいました」
作品の世界観にすんなりと引き込まれるのは、美しい背景あってこそ。また、迫力あるバトルシーンも見どころの一つに。
「映画らしさを出すために、背景のディテールを上げることを大切にしました。優秀な美術さんに背景を描いていただいたことで、とてもよく表現され、見応えも出せたのではないかなと。バトルシーンに関しては、今作に限らないことですが、テンポやリズムで面白さが決まると思っているので、そこを大事にしています。セリフや音、音楽の入り方によっても変わってくるので、細心の注意を払ってスタッフの皆さんとすり合わせながら作っていきました」
及川監督が好きなシーンを尋ねると。
「『今日の日はさようなら』を歌っているハチワレもいいですし、セイレーンの登場シーンや、うさぎのラップ、キャンプファイヤー、ヒトハとフタバの回想シーンも大好きで…選べません(笑)。キャラクターでいうと、くりまんじゅうが大好きでしたが、劇場版を通じてみんなのことが好きになりました。ちいかわがいろいろと葛藤して成長していく姿にグッときたし、“そういう決断をするんだな”とか考え方にハッとさせられました。やはり、各シーンで欲しい声をドンピシャで当てはめてくださった声優の皆さん、そして音響監督には、感謝しかありません。他にも、素晴らしいスタッフの方たちのおかげで、原作の面白さを全部映画に詰めることができたと思っているので、まだの方はぜひ、劇場に足を運んでもらえたら嬉しいですね」
美味しいものがたくさん出てくる『ちいかわ』の世界。監督に好きな食べ物を尋ねると、気になるワードもちらり…!
「焼き肉、特にカルビですね。あとはコーラ。作業時はいつもカロリーゼロのものを飲んでいます。炭酸は大好きです(笑)」
information

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』
全国の映画館で上映中。公開からわずか3日で興行収入22.4億円を記録。ナガノ氏が作詞を手がけたオープニングテーマ「くつずれ」、エンディングテーマ「机さする」も話題。
原作・脚本:ナガノ 監督:及川啓 配給:東宝 https://chiikawa.toho-movie.jp/
anan 2509号(2026年8月26日発売)より
































