
独自の視点や切り口でインターネットを賑やかすWebメディア「オモコロ」。2月に新体制となったオモコロ編集部の編集部員、ダ・ヴィンチ・恐山さんにインタビュー。
What’s? オモコロ編集部
2005年に開設し、昨年20周年を迎えた“あたまゆるゆるインターネット”を標榜するWebメディア。オモコロとは「おもしろコロッセオ」の略。記事、漫画、YouTubeチャンネル「オモコロチャンネル」などのオリジナルコンテンツを連日更新し、雨穴の『変な家』、アニメ化したビューの『レッツゴー怪奇組』など人気作品も続々誕生している。'26年2月に前編集長・原宿が引退。編集長みくのしん、オモコロブロス編集長のかまど、ダ・ヴィンチ・恐山、雨穴の4人による編集部が始動した。6月にはオモコロ出版がスタート。
「新体制になったというイチ社内の事例がこうして取り沙汰されること自体が異常事態というか不思議に思っています」
と話すのは前編集部から続投するダ・ヴィンチ・恐山さん。
「これまで自分がいた環境の劣悪さ、そして、人間は異常な環境に浸っている時、そのことに気づけないものなのだと自覚しました。以前は、見方がわからないとか面倒くさいという理由でアクセス数を一切見ず、じゃんけん大会に40分くらい費やしていましたから。今は記事を見てもらう施策を打つなど言葉にすると恥ずかしいほど当然のことをしています」
しかし、「そうして整えられつつある編集部の環境を悪くすることが、自身に与えられた役割」だとも明かす。
「たとえば会議では、原宿さんや永田さん、ARuFaさんを守護霊のように召喚して、言いそうなことを頭の中でシミュレーションし、言葉の弾丸を装填して放っています。無意味なことをして場を混乱させてやろうという意識も。オモコロはあまりちゃんとやるのもよくないというか。ライターさんには“所詮オモコロ”と思って記事を書いてほしいんです」
編集という仕事をする上で大変なのが、“オモコロらしさ”を保ち続けること。
「オモコロの特徴は大きな目的がないところだと思っていて。ライターさんの考えた面白いことをなるべく最大化して読者に届けられたら…というぼんやりした理想しかないのですが、要件定義みたいな形でテキスト化できない部分だからこそ、維持し続けるのが難しい。“こういう状態が居心地いい”というものを空気感として記憶し、再現できるように立ち回ること。過去の再生産ではなく、中身を入れ替えながらオモコロであり続けることが大事なのかもしれません。私は、“人を見る目”というものを信じていなくて。たとえば雨穴さんは、最初はよくわからない工作をする妖怪としてやってきて、最初はみんな、“何だこいつは?”と思っていました。でも、本当に面白くて、いろいろな記事を書いていただくうち、急に前触れもなくミステリー大作を出してきた。これって予想のしようがないですよね。そうした経験もあり、自分が積極的に手を突っ込んでかき回すのではなく、環境を整えて、ライターさんが気持ちいいと感じる水分と光を与えることが一番大事だし、むしろ、自分にはそれしかできないと思っています」
恐山さんが思うオモコロらしさを象徴する記事の一つが、法改正で税務申告が楽になることを喜ぶ「【領収書が捨てられる】やったー!やったー!やったー!」。
「情報量ゼロの記事ですが他のメディアでは永遠にやらないであろうことが成立しています。新編集部の好きな記事でいうと、『あなたはNINTENDO 64のコントローラーを描けますか?』。普段、あまり交流しないようなライターさんたちが積極的にうろ覚えの絵を送ってくれて、すごく嬉しかったですね」
開催中の「記憶汚染展」については?
「体験型の展示に携わるのは、ほぼ初めてでしたが、来てくださる方がそこでの体験に対して全ての注意のリソースを注ぎ込んでくれるので油断できないし、特別な体験になるところが面白いと思っています。オモコロ主体でも、そういう展示をもっとやっていきたいですね」
いま好きなことは「長距離歩行」。
「山手線を一周したり、京都から大阪を歩いたり。歩行中はスマホやパソコンを見られず“何もできない時間”を楽しんでいます。途中、コンビニでチョコがけの冷凍バナナを買って食べることも。低カロリーだし、美味しくていいんです」
Profile
ダ・ヴィンチ・恐山
ライター、編集者、小説家、漫画原作者。品田遊名義でも活動。『納税、のち、ヘラクレスメス のべつ考える日々』(朝日新聞出版)など著書多数。原作を務める漫画「そういう人もいる」をXで自主連載。「記憶汚染展」は9月6日まで。
anan 2509号(2026年8月26日発売)より
































