
『千年血戦篇』第3クール総監督として現場をまとめる田口智久さんと最終クールのオープニングテーマを担当したjo0jiさんが制作秘話を明かす。
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総監督・田口智久「BLEACHを作り上げる=久保帯人研究だった」
『千年血戦篇』の監督を任され、第3クールからは総監督として指揮を執る田口智久さん。最終クールを迎えた心境はいかに。
「『BLEACH』の最終章を描くという話が持ち上がってから5〜6年が経つのですが、これだけ長期にわたり一つの作品に携わるのは初めてなので万感の思いです。最初は監督という立場だった自分が第3クールから総監督になり、演出チーフだった村田(光)さんが監督に、他のスタッフもステージが変わっていくという貴重な経験もできて、最終クールは自分が口を出さなくても素晴らしいフィルムになっていた。その進化はまさに、スタッフ陣も“卍解”を習得したような感じですね(笑)」
制作を進める上で心がけたのは、“誰も置いていかない”こと。
「原作ファンの方々はもちろん、(2004年から’12年まで放送された)前シリーズのアニメを見て『BLEACH』を好きになった人たちにも、届けることを意識しました」
実際、『千年血戦篇』第1話のSPエンディングでは前シリーズの名シーンが流れ、ファンも歓喜。
「絶対に何も捨てないという想いが裏テーマとしてあって。制作過程では取捨選択を迫られる場面が多々ありますが、“捨てるほう”はやらないと決めていました」
『千年血戦篇』は原作者の久保帯人先生が総監修を務め、最終クールにはアニメオリジナル要素もふんだんに盛り込まれている。
「原作を読んでいても、ここにはどんな話があったんだろうとか、気になる部分がいくつかあったので、原作を崩さない形で全体プロットを作り、久保先生に確認していただきOKをもらいました。その後、シナリオに入り、キャラクターの言動が見えてきた時点で先生に相談し、『このキャラクターならこういう言い方のほうがいい』といった意見をもらいながら進めていきました。先生の多大なご協力もあり、期待を裏切らない作品が完成したと思います」
各話のタイトル文字のデザインや単行本に収録された巻頭歌を用いる画面作りには、原作への最上級のリスペクトが感じられる。
「制作する上で、『BLEACH』とは一体なんなのだろうとひもといていくと、『BLEACH』の正体は“久保帯人”という結論に辿り着きました(笑)。こちらでアイデアを絞り出して、アニメオリジナル的なものを作ろうとしても上滑りしてしまう。『BLEACH』を完成させるための答えは(コミックス)全74巻の中にしかないので、コマの端っこまで見落とさず、作品の画集や久保先生のファンクラブ『Klub Outside』の冊子もチェックして。『BLEACH』を作り上げる=久保帯人研究だったなと思います(笑)」
最終クールでは様々なキャラクターたちの最後の激闘が繰り広げられ、注目のバトルが目白押し。
「42話では浦原喜助がついに卍解し、44話では完全卍解の日番谷(ひつがや)も登場。みんなが待っていたであろうシーンのオンパレードですよね。喜助の卍解はカッコよさを、日番谷は可能な限り美しさを表現するため、かなり試行錯誤しました」
田口総監督の好きなキャラは技術開発局の“鵯州(ひよす)”とのことだが、最終クールの推しキャラは?
「個人的に織姫役の松岡(由貴)さんの演技に魅了されまして。織姫の新しい一面が開けたような感じでシビれました。全編通して見たらやっぱり一護と雨竜の信頼関係にはグッときますし、それと同じぐらい、ユーハバッハとハッシュヴァルトの二人も味わい深い。アニメのオリジナル要素として、ユーハバッハの孤独感や絶望感など、心の内をよりクリアにし、人間らしさも垣間見えるようにして。最終クールを見てもらったら、藍染惣右介(あいぜんそうすけ)に並ぶぐらいのキャラクターに映るのではないかと期待しています」
Profile
田口智久
たぐち・ともひさ 2014年、TVアニメ『Persona4 the Golden ANIMATION』で監督デビュー。主な監督作品に『双星の陰陽師』『アクダマドライブ』など。
アーティスト・jo0ji「サビは、“月牙天衝(げつがてんしょう)” を自分なりの解釈で表現」
最終クールのOPテーマを担当したjo0jiさんも、小さい頃から『BLEACH』の大ファン。
「キャラクターも技もカッコよくて、〝卍解〞や〝鬼きどう道〞を覚えて真似していました(笑)。特に好きなキャラクターは涅(くろつち)マユリと浦原喜助。マユリは(『破面(アランカル)篇』で)ザエルアポロと戦った際の容赦ない倒し方がカッコよくて、浦原は『尸魂界(ソウルソサエティ)篇』でルキア救出に向かう一護に放った『死ににいく理由に他人を使うなよ。』という台詞に惹かれて好きになりました」
“勇気”をテーマに書き下ろした楽曲「I-BULL」は、浦原の言葉からも着想を得ている。
「あの言葉は、『BLEACH』流の“勇気”を提示していると思っていて。少年漫画では、無鉄砲に突っ込み、戦いの中で強くなっていく主人公が多い中、あの言葉は勇気だけで闇雲に突っ込んでも誰も助けられない、冷静さも必要だと教えてくれる。自分も算段を立てての突撃じゃないとカッコよくないと思っているので、一番共感した部分を曲に込めました」
歌詞には、作品の世界観を連想させるワードやフレーズが随所に。
「サビの”穿つは明けない夜 暗闇の先に待つ太陽を示せ”という歌詞は、一護の技“月牙天衝”を自分なりの言葉で表現。太陽が顔を出すために月を壊す技なのかなと思い、『千年血戦篇』という暗闇の中での戦いで、作品における太陽のような存在の一護が月牙天衝を放ち、戦いに勝利し、夜が明ける。そんな想いで書きました」
“いぶる”という読み方も含め、タイトルに込めた想いは?
「もともと自分は冷笑タイプの人間で、斜に構えたところがあるんですが、楽曲制作にあたり『BLEACH』を見て純粋に熱くなっていた頃を思い出し…。『I-BULL』はダーツの的のど真ん中を表すインナーブルの略で、自分の中の熱さやカッコいいと思うモノのど真ん中を狙うという意味もあり、このタイトルにしました。読み方の“いぶる”には”燻る”という意味も含め”くすぶってんじゃない。もっと熱くなれ”という気持ちが込められています」
『BLEACH』らしい”音”を追求するため、「すべてのOP、ED楽曲を聴き返した」そう。
「ギターのサウンドに上品なストリングスがのっていたり、ミックス感が“BLEACH然とした音”なのかなと思い、ジャンルを決めつけず、いろいろな音を鳴らすことを意識して作りました」
歴代の主題歌で印象深いナンバーも伺ってみると…。
「Aqua Timezの『ALONES』は最初に『BLEACH』を認識した曲なので、深く記憶に残っていますが、Aqua Timezの『Velonica』、SCANDALの『少女S』、miwaの『chAngE』等々、どの曲も音楽を作る側になって聴くと改めてすごさを感じます」
完成した楽曲は原作者の久保先生も太鼓判を押し、「先生から『ピッタリな曲を書いてくれてありがとう』と言ってもらえた時はめちゃくちゃ嬉しかったです」と笑顔を見せるjo0jiさん。最終クールのOPテーマを担うという大役に重責を感じつつ、この挑戦は自信にも繋がったよう。
「作品に沿った形で自分の意思を曲にのせられたことに、曲作りの上達を感じて(笑)。携わってくれたアレンジャーの田口さんも『BLEACH』ファンで、一緒にいろんなアイデアを出しながら、タイアップではあるけど、自由に制作できた。それも成長を感じた点です。小ネタもけっこう挟んでいて、例えば、初代OPテーマ『*〜アスタリスク〜』のギターリフに似た音が入っていたり、一護が最初にルキアから死神の力をもらう時の刀を引っこ抜く“シャキン”という効果音に近い音を鳴らしてみたり。小ネタにも注目して聴いてもらえたら楽しいと思います」
Profile
jo0ji
ジョージ 2021年、活動スタート。TVアニメ『呪術廻戦』「死滅回游 前編」ではEDテーマ「よあけのうた」を書き下ろし、話題に。11月より全国Zepp6か所を含むツアーを開催する。
anan 2508号(2026年8月19日発売)より

































