自分をいたわる大切なひととき。ベースを整えるパーツケアのすすめ。「見た目の印象はもちろん、口臭予防や健康維持の面でも欠かせないのが口腔内のお手入れ。年齢とともに重要性が増していくので、今から正しい方法を覚えておきましょう」(歯科医師・小林瑠美さん)
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歯間と歯茎を意識したケアが口内環境を改善するカギに

白さばかりに意識が行きがちだけれど、健康な歯を目指すには歯茎や舌の状態を整えることも重要に。特に歯茎のケアを怠ると、歯周病の悪化に繋がるので要注意。
「歯周病はキスや回し飲みなどでうつる感染症の一種。口臭の原因になるほか、ひどくなると骨が溶けたり、体内に菌が回って消化器系の病気に繋がることも。中年の病気だと思われていますが、実は10代の頃から歯周病菌が潜伏しているケースも多いです。きちんとケアを行うことで30代前半まではリカバリーもできるので、年齢や進行具合に応じたお手入れを取り入れていきましょう」と小林さん。
では、anan世代である20~30代に必要なケアとは?
「歯の表面は皆さんしっかりお手入れしているので、歯と歯茎の境目や歯間を意識することがポイントに。20代以降は、歯ブラシと併せてフロスの習慣をつけてください。そして30代になったら、毎食後にフロスを。慌ただしい昼食後は、歯ブラシを省略してフロスだけでもOK。歯垢は48時間経つと歯石に変わってしまうので、毎日きちんと取り除くことが歯や歯茎の健康に繋がります」
目指したい! 健康な歯の条件
口腔内の状態は全身の健康にも繋がるため、歯茎や舌も含めてしっかりとチェックを!

・エナメル質に輝きがある
エナメル質は本来輝きを放っているもの。歯磨きが不十分だと汚れから発生する酸でエナメル質が溶け、ツヤのないマットな質感に。
・歯周ポケットの深さが3mm以下
歯周ポケットとは、歯と歯茎の間の溝のこと。歯茎が腫れることで深くなり、3mm超になると歯周病が悪化しやすくなるので要注意。

・歯茎が引き締まっている
薄いピンク色で引き締まっているのが歯茎の理想の状態。歯周病が進むと歯茎が炎症し、腫れたり色が暗くなったりといった変化が。
・舌苔がうっすら白く広がる
舌苔とは、舌に付着する苔状の汚れ。薄く広がるのは正常だが、厚くなると口臭や病気の原因になるため、毎日のケアを大切に。
健康な歯をキープするアイテム
健やかな歯を目指すには、表面を磨くアイテムと歯茎との境目を磨くアイテムの使い分けが必要に。目的に合わせて正しく使うことで、歯はもちろん歯茎までイキイキするはず。

【フロス】歯間に詰まった汚れをもれなく除去
「歯ブラシでは届かない歯間の汚れや溜まった歯垢を、しっかりと絡め取ってくれる点がフロスの魅力。いろんなタイプが登場していますが、個人的にはフロアフロス一択! 口の中の水分を含んでフワッとスポンジのように膨らむので、汚れを取りこぼすことなく落とし切ってくれます」
1、384本の糸で、歯間汚れをごっそりオフ。歯茎への当たりの優しさも人気の理由に。フロアフロス 45m ¥726※歯科専売品(オーラルケア TEL. 0120-500-418)
【歯ブラシ】部位に合わせて硬さをチェンジ
「歯と歯茎の隙間の汚れを掻き出すのに最適なのが、細かい部分に入り込む極細毛の歯ブラシ。一方、歯の表面にこびりついた汚れは硬さがないと落とせないため、2本あるとベター。硬めのブラシは、研磨力がより高い電動タイプでも◎」
2、超極細毛&薄型ヘッドを採用。システマハブラシ コンパクト オープン価格(ライオン TEL. 0120-556-913)
3、Wの音波振動で強力に歯垢を除去。ドルツプレミアム W音波波動ハブラシ スマートEW-DT88オープン価格(パナソニック TEL. 0120-878-697)
【歯磨き粉】目的別におすすめの2タイプ
「殺菌効果がある歯周病用と、汚れを浮かせて落とすホワイトニング用。用途別で2種類の歯磨き粉を用意しておくと◎。『昨夜は歯茎をケアしたから、朝はホワイトニングにしよう』といった感じで、歯の状態や気分に合わせて使い分けても」
4、高い殺菌力で歯周病のリスクを排除。コンクール ジェルコート F[医薬部外品] 90g ¥1,100※歯科専売品(ウエルテック TEL. 0120-17-8049)
5、ステインを浮かせてオフ。Brilliant more W[医薬部外品] シトラスミント 90g ¥1,045※歯科専売品(ライオン歯科材 TEL. 0120-556-913)
健康的な歯を維持するためのステップ
歯ブラシの使い分け方も含めて、基本のお手入れ術をご紹介。フロスと歯磨きは、どちらも3分ほどで終了するペースが目安に。
【毎食後、取り入れたいケア(1)】歯間に詰まった汚れを取る
【毎食後、取り入れたいケア(2)】歯ブラシで歯をきれいにする
CHECK! 磨く順番を決めておこう

磨き残しなくきちんと歯磨きを終えるには、磨く順番を決めて習慣化することが重要。例えば、磨きにくい上の奥歯から始めて、前歯、反対の奥歯、裏側、下の歯も同様に一筆書きで一周するなどがわかりやすいが、自分が磨きやすい順番でOK。
【毎朝、取り入れたいケア】エチケットとしてニオイをケアする
【舌をきれいにする】口臭の原因になる舌苔をしっかりオフ
舌の表面に付着している舌苔は、食べかすや細菌が混ざり合ったもの。シリコンなどの舌ブラシを使い、奥から前に向けて10回ほど優しくなぞって取り除いて。「やりすぎると舌を傷めるので、朝だけでOKです」

程よい弾力を持つ3枚のブレードが、舌を傷つけることなく舌苔をオフ。力がかかりすぎないしなやかな質感や、スリムなサイズ感も◎。
ソフト舌クリーナー「舌も!」専用ケース付き ¥660(ののじ TEL. 050-5509-8340)
【口臭をさわやかにする】朝のブクブク習慣で息も顔もスッキリ!
マウスウォッシュによるうがいは、口臭予防に加えて顔のストレッチにも有効。「朝イチで行うと、寝ている間に繁殖した菌を洗い流すことができます。また、ブクブクすることで口まわりの筋肉がほぐれる効果も」

歯と同成分であるヒドロキシアパタイトを配合し、口臭の原因となるものを吸着してくれる。とろみのあるテクスチャーも心地いい。
薬用プラクリア[医薬部外品]450ml ¥3,850※歯科専用品(オーラルケア)
お話を伺った方
Profile
小林瑠美
歯科医師。ルカデンタルクリニック院長。2児の母親でもあり、口の中から全身の健康を創造していくことに関して、歯科医と食育の視点を通じて各メディアで発信している。
トレイ¥7,700(HAY/HAY TOKYO TEL. 03-6427-9173)
anan 2462号(2025年9月10日発売)より