歯はどのくらい白くすべき? 歯医者に通うべき頻度は? お口にまつわるQ&A

ビューティ
2023.03.26
カラダの免疫状態とお口の環境には、実は深いつながりがあることを知っていますか? バリア機能UPにつながるオーラルケアについて歯学博士・槻木恵一先生に教えていただきました。

口内の不調は頭痛などカラダの不調に直結する。

お口の健康を守るため、歯磨きなどのオーラルケアは誰しも行っているはず。実はこれは口内だけにとどまらず、カラダの健康を守ることにもつながっているという。

「両者の相互関係で注目されているのは、口の中に多数棲む悪玉の細菌による影響です。人間は口内の細菌を食べ物などと一緒に日常的に飲み込んでいますが、例えば歯周病原細菌のフゾバクテリウムは、大腸がんの表面に付着して、悪性度を上げることがわかっています。また、近年の研究で、新型コロナウイルスが舌苔(ぜったい)という舌の汚れに付着することも明らかとなりました。こうしたカラダの健康を脅かすリスクを抑えるためにも、口の中を健康に保つことが大切です」(歯学博士・槻木恵一先生)

細菌のほかにも、こんなお口の不調がカラダに影響することも。

「かみ合わせが悪かったり、かみしめ癖があったりすると、頭痛や肩こりに表れる場合があります」

逆に、精神的なストレスにより口内炎ができるなど、カラダの不調が口の中に影響することもあるという。では、口の中からカラダを整えるためにはどうすれば?

「1日2~3回の歯磨きは必須。でも、それだけでは足りなくて、さらに唾液の量や質のアップ、舌ケア、かみ合わせのチェックという4本柱で手入れをしましょう」

免疫力アップのためのオーラルケアポイント。

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唾液量&質

唾液の中には抗菌物質など、口内、ひいてはカラダの健康を守るさまざまな物質が含まれている。唾液をしっかりと機能させるためには、適切な量の分泌と、質の良さが大切。

歯磨き

歯磨きはオーラルケアの基本であり、最重要項目。基本は、朝晩の食後に1回ずつ。ランチ後にプラスして3回でも。怠ると、虫歯や歯周病など口の中のさまざまな病気の原因に。

かみ合わせ

かみ合わせが悪いと、歯に均等に力がかからず、一部の歯と歯茎に負担がかかってしまうため、そこが歯周病になることも。また、かみ合わせの悪さは、頭痛や肩こりの一因に。

舌ケア

舌の表面には細菌などゴミが付着しやすく、それが堆積すると、舌苔という白い苔状になってしまう。舌苔はさらなる菌の温床となるので、専用ブラシで定期的にケアすること。

お口にまつわる Q&A

Q. メンタルの状態と唾液の量&質は関係する?

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A. 槻木先生曰く、これは直接的に「ある」とのこと。「唾液の量や質は自律神経と関わっていて、ストレスなどで交感神経が優位になると、唾液の分泌量が減少。また、ネバネバとした質感となり、抗菌物質など唾液の成分が凝縮されます」

交感神経優位=戦闘モード。外敵から身を守るために人間に元来備わる、生理的な機能とのこと。「一時的には誰にもあることですが、長く続くとドライマウスに。リラックスして副交感神経優位になれば量が増え、サラサラ唾液になります」

Q. 歯磨き以外にフロスも必要ですか?

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A. 「歯と歯の間は歯ブラシが届きにくく、歯垢が溜まりやすいので、歯磨きのあとにフロスをプラスしたほうがいいでしょう。ただ、毎日ではなくていいと思います」(槻木先生)

フロスには、糸巻きタイプと、糸が柄についたホルダータイプがあるけれど、どう選べば…? 「初心者にはホルダータイプが使いやすいのでは。Y字やF字のヘッドがありますが、個々の使い勝手に合わせてどちらでも。一度歯間を掃除したら、水洗いしてまた掃除すると清潔が保ちやすいです」

Q. 大人の歯列矯正が流行中。歯並びの良さは口の健康につながる?

A. 「歯列矯正は審美的な意味合いで始める人が多いと思いますが、歯並びが良くなるということは、かみ合わせも良くなります。すると、歯や歯茎に偏った力がかかることがなくなって、歯周病のリスクが低減。また、歯並びが良くなれば、歯と歯の重なりが解消され、歯ブラシが細かい箇所まで届きやすくなるので、虫歯予防にもつながります」(槻木先生)

Q. 歯医者さんにはどれくらいの頻度で通えばいいの?

A. 虫歯など、とくに症状がない時のこと。「半年に一度くらいのサイクルで、定期健診に行くといいでしょう。自覚症状はなくても、虫歯や歯周病の兆候がないかなど、歯科医に診てもらうことが大切です。また、歯石は自分では取れないので、歯科で取ってもらうこと。歯石には歯垢がつきやすく、炎症や歯周病の原因になるので、気をつけて」(槻木先生)

Q. ホワイトニングは歯の健康につながるの?

A. 「歯を白くするホワイトニングは、基本的には審美領域です。ただ、ホワイトニングをすることで、歯を綺麗に保ちたいという意識が高まり、オーラルケアへのモチベーションが上がることもあるでしょう。その意味では、健康につながるといえるのでは? ちなみに、歯の色は“少し黄色っぽい白”が健康の目安です」(槻木先生)

槻木恵一先生 歯学博士。神奈川歯科大学副学長、大学院研究科長。専門分野は環境病理学。腸が唾液腺の機能に影響を及ぼしているという「腸―唾液腺相関」を発見。著書に『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』(扶桑社)などがある。

※『anan』2023年3月29日号より。写真・多田 寛 イラスト・ユア 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)

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