バストアップのための運動でこれまで一般的とされてきたのは、胸の大胸筋を鍛える方法。でも、「実はそれだけでは美しいバストは作れないのです」と、パーソナルトレーナーの佐久間健一さん。
「バストは女性の体の中で脂肪層がもっとも厚い部分。その下に筋肉を付けても、女性らしいラインにはなりません。必要なのは、胸が高い位置にあってウエストが引き締まり、ヒップにもボリュームのあるメリハリのきいた姿勢を作ることと、デコルテに脂肪を集めることです」
そのためにまず行うべきは、骨盤を前傾気味にする筋力トレーニング。
「腰のインナーマッスルをしっかり鍛えて固めることで、腰にカーブを作り出します。肋骨が引き上げられて、その結果、バストも自然と持ち上がるのです」
背中とヒップを鍛えるエクササイズも併せて行うので、腰を痛める心配はない。
さらに美乳の土台作りに必要となるのが、柔らかな質感のデコルテにすること。腰や背中の筋肉を鍛える方法とはまったく違うアプローチで整えていく。
「肋骨と鎖骨を正しい位置に戻してから固定。脂肪は、動かさない部分に付きやすいというしくみを利用します。一方で脂肪が付いてほしくない腋の下は、個別のエクササイズを取り入れて引き締めます」
腰から胸へのカーブとデコルテ。この2大ポイント作りは、「骨盤」「肋骨&背中」「鎖骨」と、下から順に3つに分けたステップで実践を。
「エクササイズは、その都度ステップを順番にこなしていくことで効果が出ます。1度で体の変化はある程度実感できますが、2日すると元に戻ってしまう。体に記憶させるために、少なくとも2日に一度は行い、2週間は続けてください。この間、他の有酸素運動やストレッチを行うことはボディライン作りの妨げになる場合も。トレーニング期間中は控えたほうがベターです。食事は、筋肉の材料となるタンパク質と、女性らしいラインを作る良質な脂質を摂るように心がけましょう」
【トレーニングの注意点】
◎トレーニングは1~3まで続けて行うこと。(一度にすべて行うことで全身をバランスよく調整できる)
◎開脚、前屈などのストレッチは我慢。(骨盤が後傾しがちな開脚や前屈などのストレッチは控えて)
◎ランニングなどもなるべくしない。(肩が上下する有酸素運動は肩甲骨が緊張し、巻き肩の原因に)
◎食事は肉とアボカドを積極的に摂る。(効率よく吸収される動物性タンパク質と良質な脂質を摂ろう)
◎寝るときはバンザイがおすすめ。(両手を上げると呼吸が深くなり、肋間筋をスムーズに伸ばせる)
まずはSTEP1として、下半身のストレッチからはじめてみましょう。
筋肉をほぐして、骨盤をリリース。
骨盤を前に倒し、結果として胸の位置を上げるのが、今回の体作りの大きな目的。骨盤を効率よく動かすためには、骨盤を支えている筋肉を柔軟にしておく必要がある。ということで、美乳のための土台整備ステップ、まずは下半身のストレッチから。
「骨盤に関わる筋肉はたくさんあるのですが、骨盤が後傾する大きな原因となるのがお尻と、それにつながる太ももやふくらはぎの筋肉の硬さ。ここをほぐさずにいきなり前に倒そうとすると、腰を痛めてしまうおそれも」と、佐久間さん。脚の裏側全体を伸ばすストレッチを、最初に念入りに行う。続いて、お尻と腰まわりのストレッチへ。
「お尻歩きは、腸腰筋と、それにつながる脇腹の筋肉を柔軟にするための動き。腸腰筋には骨盤を安定させるだけでなく、お腹がぽっこりと出るのを防ぐ働きもあります。片膝に足を乗せて上体を倒す動きは、お尻全体のストレッチに効果的。じっくり伸ばすようにしてください」
では、そのやり方をご紹介します!
脚の裏面のストレッチ
大臀筋と太もも裏のハムストリング、ふくらはぎを伸ばす。「伸ばしたほうの足首を直角に曲げて行うことで、脚の裏面に効かせることができます。前に倒れるときは背筋をなるべくまっすぐに。背中を丸めると骨盤が後傾してしまいます」
片脚を伸ばし、つま先を立てて座る。足首は90度に。
両手を前に滑らせ、背筋はまっすぐのまま上体を前へ。息を吐きながら倒す。左右30秒ずつ。
お尻歩き
腸腰筋と、ヒップまわりの筋肉全体を刺激する。「脚を伸ばしたままお尻を交互にずらし、腸腰筋に効率よく働きかけます。肘を上げて行うと脇腹にも働きかけられ、STEP2での、肋骨の引き上げトレーニングの効果を高められます」
脚を伸ばして座り、腕を肩の高さに上げて、デコルテの前で両肘を持つ。つま先は伸ばす。
肘の高さを変えないように気をつけながら、腰をひねって片脚を交互に上げ、お尻で骨盤を押し出すようにして前後に進む。1分間。
お尻ストレッチ
お尻の一番大きな筋肉、大臀筋を伸ばす。「これも脚裏のストレッチ同様、背中が丸くなって骨盤が後傾しないように注意して。上体を倒すときは頭からではなく、胸を、膝に乗せた脚に近づけるようなイメージで行います」
座って片方の足首をもう片方の膝の上に乗せる。手は体の横に、足首は90度に。
すねに胸が付くまで上体を倒す。左右30秒ずつ。
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