未婚も既婚も子持ちもみ~んな悩みはある! 女性のためのマンガ『Aさんの場合。』
結婚や出産など女性の人生にはさまざまな選択肢があり、価値観も大きく変わってくる。自分の選択を肯定しつつ、ときに隣の芝生が青く見えてしまうことも。やまもとりえさんの『Aさんの場合。』は女性が多かれ少なかれ抱えているモヤモヤを、どの立場にも肩入れすることなく絶妙なバランスで描いている。
「私の友人はほとんどが独身で、『子どものいる人が会社から早く帰るのはずるい』というグチをよくこぼしていました。私も独身の頃は『そうだよね』と聞いていたのですが、結婚して子どもを産み、自分の思いだけでは身動きが取れない状況が続き、さらに同じような状況の人たちの話を聞いているうちに、そのグチに素直に返事ができなくなってきて……。どうにか両者が理解し合えないものかな、と思ってブログに1話めのAさんのマンガを描きました」
30代独身のAさんはマジメで責任感があるものの、会社ではお局様扱い。ひとりでいる時間を好み、結婚にそれほど価値を見いだせない。同僚の30代既婚で娘がひとりいるBさんは、小さい頃からいい子を演じてきたような、八方美人タイプ。社内でのさまざまなシチュエーションを、AさんとBさんそれぞれの視点から描くことで、読者は似た立場に共感したり、異なる立場の内心に触れて目からウロコが落ちたりする。
「それぞれの悩みや不満は、『実はそう思っていても口に出したら性格が悪いと思われるかな?』というようなエピソードをあえて描いたんです。そうしたら意外に共感してくれる人が多くて。なんだ、みんなそう思ってたのか、って」
たとえば、既婚女性が早く退社することについて。独身のAさんは、つい嫌みを言ってしまうが、早く帰ったBさんは子どものお迎えや食事のしたくなど慌ただしい時間を送りながら、一抹の寂しさや後悔を抱く。
「会社員や、保育園に子どもを預けている人、独身の友人などに話を聞いたのですが、みんないろんなことと闘いながら生きているんだなと感動しました。私もまだ34歳で偉そうなことは言えないのですが、生きることに一生懸命でいっぱいいっぱいになっている人や、『なんで私ばかりつらい目に遭ってるの?』と思っている人は、ほんの少し人の気持ちや状況を想像するだけで生きやすくなるかもしれませんよ」