手で持ってかぶりつくチョコタルト!? 専門家もうっとりの一品
フードライターの平野紗季子さんがとくに好きなのは、チョコタルト。
![平野紗季子](https://img.ananweb.jp/2017/01/hirano-581x600.jpg)
日常を一緒に過ごせる安心感のあるチョコが好き
「この図形感! 余計な装飾がなくて、端正で美しいですよね。チョコの表面が鏡みたいできれい」
ショーケースを覗き込んで、感慨深そうに声を上げた平野紗季子さん。その心を掴んで離さないのが、代々木公園にほど近い路地裏にたたずむ『アフターアワーズ』のチョコレートタルト。
「近くを散歩していたとき、看板を見つけてふらっと入ったのが最初。しっとりとしていて、焼いていることを感じさせないなめらかさ。濃厚なのに甘すぎないから、軽やかに食べられるんです」
チョコはもちろん、タルトが大好きという平野さん。その食べ方には、ちょっとしたこだわりが。
「最後に残った台の部分は、必ず手で持って、かぶりつきます。そのほうが、タルトのおいしさを最大限満喫できる気がして。もう、タルトはピザだと思ってます(笑)。いつもはテイクアウトが多いので、近くの公園のベンチに座って、そのときも手で食べてますね」
チョコの好みは、時間が経つにつれて徐々に変わってきたようで、
「子供のころは、強がって、ほろ苦い大人な味のものばかり食べていました。でも、今は一周回って甘いチョコが好き。パクパク食べられて日常を一緒に過ごせる、安心感のあるものが落ち着きます」
数ある食べ物のなかでも、チョコの持つ魅力は、何だろう?
「好きな言葉があって、『ずるいよ。チョコ食べてるときに、そんな話するの。』っていう広告のコピーなんですけど。チョコを食べてるときって、すごく幸せな世界じゃないですか。そんなときに悲しい話されても、泣きたくても泣けないよ! みたいな(笑)。私にとって、チョコは幸せの象徴であり、なぐさめの象徴。しんどいときや、疲れたときも、ポケットの中にチョコがあれば、ひと口食べるだけで、がんばろう! って思える。そんな存在です」
ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。生粋のごはん狂(pure foodie)。雑誌などに多数の連載を持ち、小誌「Food news」でもおなじみ。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
※『anan』2016年1月18日号より。写真・山本あゆみ
(by anan編集部)