神崎恵「一過性のブームで終わらせてはいけない」 フェムケアとの向き合い方

2022.12.19
ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは「私とフェムケアの話」。常に新しいライフスタイルや生き方を私たちに示してくれる神崎恵さんは、フェムケアとどのように向き合っているのか、お話を伺いました。

難しく考えなくていい。まずは知る、そこから。

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「私は生理が軽い方で、20代、30代の頃は生理痛やPMSに悩まされたことはほとんどありませんでした。ただ、身近に悩んでいる人もいましたし、10代の頃に水着の撮影をしたときには、生理をピルでコントロールしなければならず、その不便さ、不快さは常に感じていましたね。当時は今よりもっと、生理にまつわるストレスは仕方ないこと、我慢するしかないものだったので、どうすることもできませんでしたが…。その後40代になった頃から、生理前に気分が鬱々としたり、だるくなるといった変化を感じるように。そこで改めて、こんなにもPMSに悩む女性はしんどいのか、これは社会全体で考えていかなければいけない問題なのだと強く思うようになりました」

日本のフェムケア全般に関して、海外と比べ、その遅れを歯痒く思うことも多いそう。

「海外の友人たちは当たり前のようにデリケートゾーンのケアや生理を快適にするケアを取り入れていて、その差に驚いたのがもう14~15年前。母から子へと伝えていくものなんですよね。アイテムの種類も多いし、フェムケアへの抵抗感も少ない。日本はその点、フェムケアを含め、性に関すること全般が、まだまだタブー視されてしまうことが多く、なかなか情報も届けにくい。そこが変わらなければ、風通しのいい状態で情報をきちんとシェアすることは難しいと痛感しています。10年くらい前からコスメキッチンなどで、少しずつフェムケア関連のアイテムを見かけるようになり、だんだんとバリエーションも増えてきました。それでも、海外で“これは!”と思うようなものを見つけても、薬事などの問題で日本に導入できないことも多い。例えば、生理の前後に下腹部に貼るだけで電気の力で生理痛を緩和するパッドや、日本ではまだ一部のクリニックでしかできない膣の引き締めレーザーを自宅でできる美容家電など、便利なものがたくさんあります。これらを女性全員が使うべきとは思いませんが、選択肢がもっと増え、それぞれの悩みにフィットしたものが選べるようになるのは素敵なことですよね」

近年はフェムケアへの注目が高まっており、美容家として意見を求められることも多くなったそう。この状況に、思うこととは…?

「雑誌などでお話しさせていただく機会は年々多くなっていますし、人々の興味自体は増しているのだなと感じています。先日、とあるフェムケア関連のイベントに登壇させていただいたのですが、同じイベントの昨年3日間の総来場者数を、今年は1日で上回ったそうです。それだけ、知りたいと願う人が増えたってことですよね。こうやって注目が高まってきたこと自体はとても喜ばしいことですが、一過性のブームで終わらせてはいけないとも考えています。フェムケアというと、新しいもののように聞こえるけど、女性特有の悩みは、最近になって急に出てきたものではなく、ずっとあったのに“ないもの”のように扱われてきたもの。生理にまつわるストレスはまさにその代表格で、人によっては動けなくなるほどつらいのに、なかなか理解してもらえない。それどころか、甘えるなと非難されることすらある。その認識を変えて、つらい人がいることを社会全体で共有し、当たり前のこととして助け合える。それが理想だと考えています」

生理用の吸水ショーツや月経カップ、デリケートゾーン用のソープやマッサージオイルなど。見慣れないアイテムに戸惑う女性たちの声が彼女の元に届くことも多い。

「例えば吸水ショーツ。興味はあるけど洗うのが大変なのでは? とか、漏れが心配…なんて声をよく聞きますが、実際使ってみると驚くほど快適なんです。種類もデザイン、はき心地も多様で、ファッションやライフスタイルに合わせて選べるなど、その進化は目を見張るほど。デリケートゾーン用ソープやオイルなどで清潔に保ち、潤いを与えるケアをすることにもぜひ、興味を持ってほしい。肌と一緒で、デリケートゾーンも年齢を重ねると乾燥したり、萎縮したり、逆にたるんだり、ニオイが出るなど、さまざまなエイジングサインが出やすくなるので、その対策としても有効です。さらに婦人科の先生によると、GSM(閉経後性器尿路症候群)の予防にも繋がるそうです。確かに、なじみのないアイテムに初めて挑戦する際には誰しも戸惑うもの。そこは、発信する側である私自身が情報を精査したうえでたくさん試して学んで、“このお悩みにはこれが役立つよ”と、正しく提案していきたいですね。美容と同じでフェムケアは、とてもパーソナル。こうしなければならないという決まりごともありません。デリケートゾーンのムレなど、自分が感じている不調を解消するには何が役立つのか? そこを調べ、できることから取り入れてみればいい。構えすぎなくていいんです」

神崎さんが出合った“感動”フェムケアアイテム

Period.「Classic+」

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「生理中の快適さが段違い。肌に当たる部分の濡れた感覚がほとんどなく、サラサラ。ハイウエストやボクサーなど種類が豊富なのも◎」。¥6,930(Period. info@period-tokyo.com)

エストール(R)「インナージェル ラクトバチルス乳酸菌配合」

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「年齢とともに肌と同じように膣内も乾燥するそう。最近デリケートゾーンケアは、このジェルを愛用中」。1.7g×10本入り¥4,950(アドバンスト・メディカル・ケア TEL:0120・260・386)

かんざき・めぐみ 1975年生まれ、神奈川県出身。著書の累計発行部数は163万部を超える人気美容家。新刊『神崎恵の10日間できれいになるメイクの練習帳』(宝島社)が発売中。「神崎美容塾」の塾長として後進の育成にも尽力している。

カーディガン¥24,200 パンツ¥24,200(共にエストネーション TEL:0120・503・971) Tシャツ¥19,800(エルニエ パロ/エストネーション) ピアス¥28,600 バングル¥31,900(共にアナプノエ) ネックレス¥14,850(エイチアッシュ) 以上フォーティーン ショールーム TEL:03・5772・1304

※『anan』2022年12月21日号より。写真・天日恵美子 スタイリスト・石関靖子 ヘア・赤羽麻希(Un ami) 取材、文・中川知春

(by anan編集部)