「マジックやアクロバットもあって、考えさせる美しい作品です」
「初めて観たとき、いろんな要素が盛り込まれていて純粋に感動しました。華やかなセットもですし、マジックがあってアクロバットがあって、宙吊りで歌っていたり…。ストーリー的にも、考えさせるラストが作品の美しさに感じられたんですよね」
今回、本作でタイトルロールを演じる森崎ウィンさんがそう語るのは、’19年に日本で初上演された新演出版のこと。当時はまさか自分が出演するとは思っていなかったそう。
「だから驚きましたし、純粋に嬉しかったです。ただ、前回の(城田)優くんがすごかったんですよね。僕も歌と芝居をやっている身として感じるのは、軽々と見えるけれど絶対にそんなわけはなく、高いポテンシャルが求められるなと思います」
本格ミュージカルへの出演は今回が3作目。もともと透明感のある歌声で歌手として高い評価を得ていたが、ミュージカルでは、楽曲に役の心情を織り込んだエモーショナルな演技で、早くもミュージカル界の新星として注目されている。
「ミュージカルの歌はセリフの延長のように感じさせたいと思っています。でも、歌の前後のお芝居で、役の気持ちでセリフを言っていると、意識しなくても自然と感情が高まって、今ここで歌で表現したいって気持ちになる。それだけ台本が緻密に計算されて作られている、ということだと思うんですけれど」
若き王子・ピピンが、人生の大いなる目的を模索し、自分の本当の居場所を探して旅を続ける物語。
「今回の出演のご縁は、森崎ウィンが『ピピンに近いんじゃない?』と思われたからな気がしているんです。僕自身もずっと自分探しの旅に出ていますから。彼が探している“特別な何か”にすごく共感するんですよ。うまく言葉にはできないけれど、それを求めているから、僕はこうして芸能界にいるんだと思うんです。だから、今の時点では特別な役作りは必要ない気がしています。もちろん時代背景とか、勉強しなきゃいけないことはたくさんありますが、ピピンとしては、僕が真っすぐにいることが求められているというのかな。もしかしたら稽古してみて、予想外の感情が出てくるかもしれないですけど」
旅先でさまざまな経験をし、やがて彼は本当の幸せを見つけていく。
「この作品では、ピピンに美しい部分と真逆な部分の両極端を見せて、最後に“自分はどう思う?”と問いかける。その誘い方が、まさにこの作品の魅力そのものな気がします」
ブロードウェイミュージカル『ピピン』 リーディングプレイヤー(Crystal Kay)率いるサーカス一座に誘われ、若き王子・ピピン(森崎)の自分探しの物語の幕が開く。自分の居場所を求める彼は、戦争に志願するが…。8月30日(火)~9月19日(月)渋谷・東急シアターオーブ 脚本/ロジャー・O・ハーソン 作詞・作曲/スティーヴン・シュワルツ 演出/ダイアン・パウルス 出演/森崎ウィン、Crystal Kay、今井清隆、霧矢大夢、愛加あゆ、岡田亮輔、中尾ミエ(Wキャスト)、前田美波里(Wキャスト)ほか S席1万4000円 A席1万1000円 B席6000円 キョードー東京 TEL:0570・550・799 大阪公演あり。https://www.pippin2022.jp/
もりさき・うぃん 1990年8月20日生まれ、ミャンマー出身。2008年にデビューし、‘18年に映画『レディ・プレイヤー1』でハリウッドに進出。‘20年に歌手としてメジャーデビューも果たした。
シャツジャケット¥41,800(セブン バイ セブン) カットソー¥17,600(アポクリファ) パンツ¥39,600(バラード) 以上サカス ピーアール TEL:03・6447・2762
※『anan』2022年8月31日号より。写真・的場 亮 スタイリスト・森田晃嘉 ヘア&メイク・KEIKO インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)