あなたの便秘はどのタイプ? 医師が「出ない」原因と解決法を伝授!

2022.7.31
2日、3日は当たり前。1週間出ない人も多いのでは? 若い女子にはおなじみの“便秘”も、腸の不調が原因。便がカチカチになるのはなぜ? どうして出ないの~!?

便秘

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便秘とは?

便の水分がなくて、カチカチ!! なかなか出ない、残ってる感も…。
「便秘とは、便の水分が少なく硬くなって残便感があったり、また腸の動きが悪くなって便が出にくくなっている状態のことです」(心療内科医・伊藤克人先生)

何日出ないと便秘という明確な定義はないそうですが、腸内環境と心身の繋がりを研究している内科医の桐村里紗先生によると、

「一般的には週に3回以上排便がない、たとえ2~3日に一回程度の排便であっても、出す便の量が適切で、排便後に残った感じがなくスッキリしていれば便秘とはいえません。逆にお通じの回数がしっかりあったとしても、お腹に便が残っている感じがあったり、いつもお腹が張っている感覚がある人は、便秘と言ってもいいでしょう」

腸と自律神経の関係はとても深い。

「旅行中や環境の変化でストレスを感じたり、睡眠不足になると、自律神経が乱れ、便秘になることがよくあります。またダイエットで食事の量を極端に抑えたりすると、便の量自体が少なくなり、ぜん動運動が起こらず便が出ない、ということも」(伊藤先生)

「運動不足で筋力が低下し、“押し出す力”がなく、出せないという場合も。いきむことに関わる体幹の筋肉を鍛えることも大事です!」(桐村先生)

原因は?

急性便秘と慢性便秘の中でも、さらに原因はいろいろ。
水分不足で便が硬くなり、出にくくなってしまう便秘。いったい腸の中ではどんなことが起きているのかというと…。

「腸の運動量が低下してしまい、水分が過剰に吸収されることで便が硬くなる場合もあれば、直腸まで便が送り出されているのに、“出したい”という気持ちが湧かず、無意識に便意を逃すことで起こる便秘もあります。出そうと思っていきむと、肛門周辺の血管に負担がかかりますし、粘膜が切れ、痔の原因になることも」(伊藤先生)

また、女性は体の構造的に便秘になりやすいのだとか。

「腸は女性ホルモンの影響を受けやすい。その一環で、生理前には便秘になりやすくなります」(桐村先生)

一口に便秘といっても、種類も原因もさまざま。解決のためには、自分の便秘はどのタイプなのかを知り、それに合わせた対策を講じることが大切。

便秘のタイプ別原因

【急性(一過性・器質性)】
一過性は急なストレスがかかった場合。心が落ち着けば症状は緩和します。器質性はポリープができたなど物理的な原因がある場合。

【慢性】
・直腸性便秘
便が直腸まで送り出されているにもかかわらず、便意がなくなってしまう便秘。トイレに行くのを我慢してしまう人に多い。トイレタイムを決め、ふんばる努力を。

・弛緩性便秘
腸全体の動きが悪く、便を送り出せなくなっていることが原因。ダイエットによって食事を減らしている人や、運動不足や加齢で腸と周辺の筋力が弱っている人に多い。

・けいれん性便秘
コロコロとした鹿のフンのような便が出る。主な原因はストレスで、真面目で几帳面なタイプの人に起こりやすい。緊張するシーンで腹痛を併発することも。

どうしたら?

症状に合わせて2種の薬を使い分け、不溶性食物繊維を積極的に摂りましょう。
便が居座ってお腹の中がパンパン。苦しいから出したい…。そんなときの強い味方といえば、やっぱり薬。一般的に便秘薬は大きく2つに分けられ、大腸を刺激して運動を促す〈刺激性便秘薬〉と、腸内での水分吸収を抑え、便を軟化させる〈塩類下剤〉があるのだそう。便秘のタイプによって、使い分けを。

「急性の便秘のときは、〈刺激性便秘薬〉が効果的です。ただこの薬は、長期にわたって服用すると大腸がその刺激に慣れてしまい、動かなくなることも。かえって便秘が長引くこともあるので、使い方には注意が必要」(桐村先生)

「酸化マグネシウムによって大腸での水分吸収を抑制する〈塩類下剤〉は、穏やかな効き目なので体に優しい。慢性的な便秘に悩まされている人は、こちらを服用するといいでしょう」(伊藤先生)

さらに、便が出ない直接的な原因でもある食事の内容を見直すことも大切。

「不溶性の食物繊維は、腸の中で水を吸ってゲル状になり、便のかさを増し、腸のぜん動運動を活発にします。そうすると、便が出やすくなります。不溶性食物繊維を含む食材を摂るように日頃から意識をすると、少しずつ症状が緩和すると思います」(伊藤先生)

いとう・かつひと 東急病院心療内科、HDCアトラスクリニック、労働衛生コンサルタント。専門は心身医学、森田療法。著書に『いちばんわかりやすい過敏性腸症候群』(河出書房新社)など。

きりむら・りさ 内科医、認定産業医。tenrai株式会社代表取締役。ヘルスウェルネスに関する発信も多数。著書に『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が。

※『anan』2022年8月3日号より。イラスト・HONGAMA

(by anan編集部)