ショックで突然月経が来る場合も! 災害時用に備えておきたい“フェムケアアイテム”

2022.6.27
ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは「フェムケアと防災」。災害時に起こる様々なトラブルを想定し女性の体を守るための備えについて考えます。
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災害大国と呼ばれるほど、自然災害が多い日本。防災意識が高まる中、忘れてはいけないのが生理トラブルをはじめとする女性特有のお悩みへの対策。

「心理的ストレスで生理不順になることもあれば、トイレが断水したり、生理用品の処理に困ったりと、多方面でトラブルが想定されます」(NPO法人ママプラグ理事・冨川万美さん)

災害時というと避難所生活が思い浮かぶけれど、むしろその後の暮らしの方が重要だという。

「大震災といわれるレベルの災害を除くと、長期にわたって避難所に滞在する場合は多くありません。安全確認後は家に戻る場合がほとんどなので、自宅で過ごすことを想定した備えを」

その際にポイントとなるのが、“いつものスタイル”をできるだけキープすること。

「被災した際に大事にしてほしいのが“命を守ること”と“生活を守ること”。実は、せっかく命が助かったのにその後の生活が苦しくて、生きづらいと感じる方もいらっしゃるんです。なので、少しずつでも自分のライフスタイルを取り戻していくことが大切。有事だからといって“布ナプキンにしなきゃ”などと生活を変えるのではなく、いつもの日常を続けていくことがストレス軽減にも繋がります。そのためには、物流が止まっても日頃と同じ下着や生理用品が使えるように、きちんと確保しておくことが必要に」

自分の日常の軸となるものを見つめ直すことも災害対策のひとつ、と冨川さん。

「お化粧もそう。被災後肌が荒れて落ち込んでいたけれど、メイクをした日から生き生きできた、という声もよく耳にします。それぞれの方が普段大事にしているものを継続していくことで、前向きになっていけるのでは」

最後に、災害対策の課題や今後期待する点を語ってもらった。

「東日本大震災の頃にはなかった“女性視点のケア”が、最近ようやく重要視されるようになってきました。ただ、多様化するジェンダーを含めていろんなニーズを伝えるには、一人一人が自ら声を上げていくことが重要に。まずは隣の人に『困っていることはありますか?』と聞くことからでもいいので、誰もが声を発しやすい環境を作っていくことが大切だと思います」

自分を守るために、災害時に知っておきたい3 つのポイント。

1、避難所ではなく、自宅で快適に過ごすための準備に焦点を。
「避難所への退避は警報が出ている半日~1日程度が基本。家に戻った際に生活を立て直せるような準備をしておくこと」(冨川さん)

2、生理痛やPMSなどの不調が通常時の3倍以上になる想定を。
「心身のストレスが増す災害時は、女性特有の不調も重くなることが多いよう。通常の3倍ともいわれる状態に備えたケアが必要に」

3、決して無理をせずに自分をいかに可愛がれるか!
「日本人は我慢しがちですが、しんどい時ほど自分を可愛がることが大切。被災地を離れることも含め、無理せず心地よい環境作りを」

そわんわんさんはどうしてる?

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家に用意している防災バッグの中には愛用しているショーツ型のナプキンを2個、夜用のナプキンを3個入れています。かさばるのでこれだけですが、実際に災害が起きたらこれで足りるのかなと不安。避難所で生活をすることになったらお手洗いにこまめに行くのも難しいだろうし、生理用品を捨てるのも躊躇しそう。正しい対策を知りたいです。

そわんわん 1999年2月19日生まれ、和歌山県出身。「お友達系YouTuber」として女性の支持を集めている。最近はプラスサイズモデルとして雑誌や広告でも活躍中。
ブラウス¥7,700(リーバイス/リーバイ・ストラウス ジャパン TEL:0120・099501) 中に着たブラ※ショーツとセット¥11,880(ニーミー/ニーミーカスタマーセンター ec@shop-neemee.com) パンツ¥14,000(ノーク バイ ザ ライン/ノーク TEL:03・3669・5205) ピアス¥39,600(バージュエリー/ジェムプロジェクター TEL:03・6418・7910)

災害時用に備えておきたいフェムケアアイテム

災害時は様々な点で不便が生じることも。そんな時に備えておくと便利なアイテムとは?

「持ち出し用に関しては、短期的な退避を前提に用意を。生理中ではなくてもショックで突然月経が来る場合もあるため、必要なケア用品を入れておきましょう。荷物が重すぎると持ち出しにくいので、1~2日分が目安です。また、ナプキンや包帯の代わりになる大判ガーゼを1枚入れておくと◎」(冨川さん)

自宅に戻った後も1週間~数か月、水道などのライフラインが止まることが考えられる。

「入浴ができずに不衛生な状態が続くと、膀胱炎や膣炎などの原因に。携帯用ビデや拭き取りシートをストックしておくことで、下半身が清潔に保てます」

最近話題の吸水ショーツや月経カップは「便利な製品ですが、洗濯や消毒ができない時は衛生的に難しい面も」とのこと。

「この2つはゴミが出ない点が優秀。ナプキンはニオイが発生するので、避難所に限らず自宅でもゴミを最小限にすることはとても大切。消臭効果のある袋を使えばかなりニオイが抑えられます。洗濯ができない時は、汚れの付着を防ぐパンティライナーや、汚れが落ちやすいサニタリーショーツが重宝」

生理用品などのストックは、1周期分以上を目安に準備を。

「メーカー推奨の使用期限が3年なので、避難袋内のものもそのくらいで見直すのがベター。衛生用品は進化が早く、3年で品質がかなり上がることも」

また、必要最低限なアイテムだけでなく、心理的なケアグッズも必要だと冨川さんは語る。

「被災によるストレスは女性特有のトラブルに繋がりやすいため、アロマオイルやハーブティーなど心を落ち着かせるものがあるといいですね。また、推しの存在もストレス解消に有効。懐中電灯代わりになるペンライトや体温調整に役立つうちわは防災グッズにピッタリですよ」

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A 消臭機能付きミニポリ袋
ニオイのトラブルに繋がるナプキンなどの処理に最適。

「災害後しばらくの間は、ゴミの収集が停止する可能性が大。経血のついたナプキンは時間が経つとニオイが強くなり、ストレスの原因に。使用後は消臭効果のあるゴミ袋に入れて処理を」(冨川さん)。防臭フィルムでブロックするものや化学反応でニオイを中和するものなど様々な種類があり、100円ショップなどで購入可能。

B パンティライナー
下着の交換ができない時も清潔な状態をキープ可能。

「おりものなどの下着汚れが防げる使い捨てのライナーは、被災した女性から支持を得ているもののひとつ」。爽やかな香り付きで、不快なニオイもカバー。ロリエ しあわせ素肌パンティライナー BOTANICAL COTTON 100% ラベンダー&カモミールの香り 54個入り¥330*編集部調べ(花王消費者相談室 TEL:0120・165・695)

C 携帯用ビデ
残留した経血やおりものを膣の内部からスッキリ洗浄。

「膣に残った経血やおりものをビデで内側から洗浄することで、ニオイや炎症といったトラブルを防ぐことができます」。膣内と同じ弱酸性の洗浄液で、優しくケア。弱酸性クリーンシャワープラス携帯用[販売名:CS ビデ 医療機器製造販売認証番号:230ABBZX00068000]¥275(オカモトお客様相談室 TEL:03・3817・4226)

D ガーゼ布
生理や怪我などマルチに役立つ防災グッズの必需品。

「急に生理が来たけれどナプキンが手に入らない…という時は、ガーゼをカットして代替品に。包帯や防寒具にもなる万能アイテムなので、持ち出し用に加えて自宅にも必ず準備しておきましょう」。様々な用途で使えるように、カットガーゼではなく、大判の布タイプを選ぶのが正解。出産祝いなどでもらったガーゼケットでもOK。

E デリケートゾーン用拭き取りシート
サッと拭くだけでOKのお手軽&時短な洗浄ケア。

「水要らずでデリケートゾーンの汚れやベタつきが落とせるので、ビデを使い慣れていない人にも◎」。超極細繊維を配合しており、肌当たりもソフト。コンパクトで持ち運びしやすい点も便利。ソフィ デリケートウェットシート 無香料 6枚入り×2個¥218*編集部調べ(ユニ・チャームお客様センター TEL:0120・423・001)

F サニタリーショーツ
汚れが落ちやすくつきにくい特殊加工で節水にもお役立ち。

「汚れが落ちやすく加工してあるサニタリーショーツは洗濯の際に節水効果があり、災害時は水の使用量が限られるので活用を」。制菌加工の防水布を用いてニオイの発生を抑制。オーガニックコットンやパイル編みを配し、はき心地も良好。PEACH JOHN ノーショウオールデイサニタリー¥2,178(ピーチ・ジョン TEL:0120・066・107)

冨川万美さん NPO法人ママプラグ理事。被災体験を元に考案した、自ら考えて動く“アクティブ防災”を提唱し、全国で講座やイベントを展開。主な著書に『子連れ防災BOOK』(祥伝社)などがある。

※『anan』2022年6月29日号より。写真・北尾 渉(そわんわんさん) 中島慶子 スタイリスト・石川美久 ヘア&メイク・加藤志穂(PEACE MONKEY) イラスト・REDFISH 取材、文・真島絵麻里

(by anan編集部)