将来の妊娠・出産のために! 知っておきたい“プレコンセプションケア”の大切さ

2022.5.5
妊娠前からの心身のケアを意味する、プレコンセプションケア。まだなじみの薄い、この言葉について考えます。

プレコンセプションケアって何?

femcare

“いつか”のためにできることはある。

まだ具体的な予定がなくても「いつかは子供が欲しい」と考える女性は多いもの。どのような選択をするかは人それぞれですが、そのために今できることって…? 将来、妊娠を考えるならば、本来は知っておきたいことのひとつですが、日本で初めてのプレコンセプションケア外来が開設されて7年ほど経った今でも、まだまだ知名度は低いのが現実。妊娠前から心身をケアすることが妊娠・出産にとっていかに重要なのかを、産婦人科医に伺いました。

20~30代のanan総研メンバー150人にアンケート。

Q. プレコンセプションケアを知っていますか?
知らない…98%

ほとんどの女性が「プレコンセプションケア」という言葉を知らないと回答。浸透率はまだまだ低く、周知されるには時間がかかりそう。

Q. いずれ子供が欲しいと思いますか?
欲しい…82%

出産経験のない女性に限定して聞いたところ、8割以上の女性が「子供が欲しい」と回答。ただ具体的なライフプランについては、漠然としか考えていない人が大半。

Q. 自分が将来子供を産める体かどうか、不安に思うことはありますか?
ある…67%

生理不順や年齢のことなど、自分の体について不安を感じていると答えた女性は約7割。不安に感じる一方で、具体的な対策がわからないという人も多くいました。

Q. 子供を産むときに備えて、何か体のためにしていることはありますか?
何もしていない…43%、定期的な婦人科検診…29%、体を冷やさない…14%、正しい生活習慣を意識する…14%

約4割が「何もしていない」と答えた一方、定期的に婦人科検診を受けているという女性が約3割。向き合い方は、人によって意識にバラつきがあるよう。

わたなべ麻衣さんはどう考える?

femcare

実際に私も「自分ごと」になるまで、無頓着だったので大きなことは言えないのですが…。不妊治療を行っている方やパートナーと将来像が合致せずに別れたという周囲の方の話を聞くと、どんなことにも「当たり前」はないと知っておくことが大切なのかも。「当たり前」の思い込みに疑問を持つことが、まずできることなのかなと思います。

わたなべ・まい 1989年9月23日生まれ、広島県出身。2019年にタレントのJOYさんと結婚、翌年10月に女の子を出産した。
ワンピース¥15,400(ガールズソサエティ https://thegirlssociety.net) パーカ¥7,990(ギャップ新宿フラッグス店 TEL:03・5360・7800) イヤリング¥27,500 リング¥93,500(共にエナソルーナ https://www.enasoluna.com

健康でハッピーな将来のために生活習慣の見直しを。

結婚など具体的な予定がなくても、将来の妊娠・出産を意識したときから心がけたいのがプレコンセプションケア。

国立成育医療研究センターによると、プレコンセプションケアの目的は、「自分の体を管理して、健康な生活習慣を身につけること」「女性やカップルがより健康になること」「元気な赤ちゃんを授かるチャンスを増やすこと」などを挙げている。

妊娠を計画している女性だけでなく、すべての妊娠可能年齢の女性にとって大切なケアとも。

「妊娠の確率でいうと、若いうちのほうが妊娠はしやすいのが事実。細胞も若いので当然確率は高くなります。でも今はキャリアを積んだ先に結婚・妊娠という人も多い。妊娠したいと考えたタイミングに健康であるために、早いうちから生活を見直し、心身の健康を意識することは大切」と産婦人科医の中林稔先生は言います。

不規則な生活を見直して健康的な生活を心がけるなど、難しく考えずに小さな一歩から始めることが、プレコンセプションケアのポイントといえそう。

「例えば、若い女性の中にもタバコを吸う人がいると思いますが、百害あって一利なし。妊娠前でも体には悪影響が出てきます。細身の女性も多いですが、過度なダイエットは生理不順などにつながりますので、痩せすぎないこと。栄養の偏りのない食生活を基本にし、忙しくて栄養がきちんと摂れないときは、サプリメントを取り入れてもいいと思います。もちろん肥満は避けなくてはいけませんが」

「まだ先のことだから…」とおざなりになりがちな生活や習慣が、いざ妊娠・出産となったときに体に影響を及ぼさないよう、今から自分に向き合い、しっかりチェックしておきたいところ。

晩婚化による高齢出産が及ぼすリスクなども多い現代だからこそ、気がついたタイミングで改善していくこと。ひとつひとつやるべきことは取り立てて珍しいことではないけれど、今のうちから小さな心がけを積み重ねることが、第一歩といえます。

中林 稔先生 産婦人科専門医。虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。患者さんとのコミュニケーションを重視し“スタッフ全力でよいお産を”がモットー。

今後のライフプランのために、自分の卵子数を知るAMH検査

自分の卵巣年齢を、血液検査で知ることができるAMH(アンチミューラリアンホルモン)検査。数値が表すものは、卵巣内の卵子の数の目安。こういった検査を受けることも、プレコンセプションケアのひとつ。

「卵子の質は実年齢に比例するので、年齢が高くなるほど質が低下する傾向にあります。数値が悪いからといって必ずしも妊娠できないわけではないですが、気になる人は一度検査しても」

自分の体を知るきっかけとして、受けてみるのも選択肢に。

2297 femcare3

厚労省による、女性の年齢の変化による卵子の数の変化。出生時は約200万個あった卵子が、思春期には20万~30万個、生理が始まって以降は、閉経時まで排卵しながら、数は減少を続けます。
※Baker TG(1972)Gametogenesis, Acta Endocrinal Sullpl 166;18-42
平成25年版 厚生労働白書 図表2-3-23

プレコンセプションケアに関するオンラインイベントもチェック。
プレコンセプションケアやAMH検査について学べるオンラインイベントも随時行われている。5月11日(水)19時~は「未来の自分のために“今”知って考えよう『産婦人科医に聞く! 女性のカラダセミナー』」が開催されるそう。気になる人はチェックを。https://grace-sugiyama.jp/news/20220511

※『anan』2022年5月4‐11日合併号より。写真・北尾 渉 スタイリスト・石川美久 ヘア&メイク・YUZUKO イラスト・REDFISH 取材、文・牧田ちえみ

(by anan編集部)