マネーリテラシーは両親から教わった。
厚切りジェイソンさんは、芸人になる前からIT企業の役員として働き、投資家としても知られる。昨年発売したお金に関する書籍『ジェイソン流 お金の増やし方』は、38万部を超える大ヒットに。
「アメリカで初めて就職した20歳の時に投資を開始して、コツコツと続けるうちに、気づいたら不労所得だけで生活できるように。僕は妻と娘3人の5人家族ですが、2019年には家族全員が一生安心して生活できる資産を投資の利益で作ることができました。でもだからといって、働かずに生きていきたいわけでも、大きな家や高級車を買いたいわけでもない。僕は今の生活に満足しているから。よく収入が増えたり投資で儲けたりすると、自分に必要のない高級品を買って、むやみやたらと生活水準を上げる人がいるけれど、それはお金の虜になっている証拠。どんなにお金を使っても満たされることはないだろうし、逆に収入や財産が減った時に不幸を感じやすくて、お金に縛られた人生を送ることになると思う」
無駄遣いや衝動買いは一切なし。ペットボトル飲料はほとんど買わず、移動手段も電車か徒歩がメイン。節約上手というより、小さな頃からお金の話をしてくれた両親の影響で、無駄なものを一切買わない習慣が自然と身についていたからだと話す。
「お小遣いをもらうようになり、お金を自分で管理するようになった最初から、お金=守っていく大事な資産という意識が芽生えていました。父も投資をしていたので、ボードゲームの『モノポリー』の紙幣を使って、資産運用の話をよくしてくれた。専業主婦の母も、スーパーのセール情報や割引クーポンを活用するなど、父が稼いだお金を工夫を凝らして節約して、家計に貢献していました。そうやって幼少期にお金の正しい知識を養うことができたから、若いうちに資産運用を始められたし、お金が増えても無駄遣いはせずに、毎日満たされた生活が送れているんだと思います。もちろん僕も娘たちにお金の大切さを話しているけれど、だからといって物を買うなと言ったことはありません。逆に欲しいものがあったらいつでも買っていいよと伝えています。でもみんなお金の価値観が一致しているから、ほとんど買わない(笑)」
“見える化”して支出を見直してみよう。
日頃から身につけておくべきお金の知識で一番大切なことは、今使っているお金が、本当にその価値があるかどうか見極めること。
「自分のお金をどのように使っているのか分からずに日々生活していると、ただただ消えていくだけ。だから家計簿アプリなどで“見える化”して、しっかりと支出を把握することから始めてみて。そうすれば、その買い物が自分にとって価値のあるものかどうか分かるようになるから。それが無駄を省き、支出を抑えることに繋がる。価値があるかどうかの基準は人それぞれ。たとえば僕は鳥が好きで、今インコを飼いたいと思っている。飼うとなれば、籠が必要になるし、毎月エサ代もかかる。でもそれが自分にとって価値がある支出だと思ったら、いくらでも払います」
自信が持てれば、もっと自由に生きていける。
3か月分の生活費の現金以外は、全て投資に回しているというジェイソンさん。しかし、それはお金を増やすことが目的ではない。
「目的は、いつでもやりたいことができるように自由に人生を生きていくため。僕は今、ITの仕事も芸人も俳優も、自分がやりたいと思っていることを全て実行できている。でもそれらの仕事がいつ嫌になるか分からないし、年をとれば体力が落ちて今のように働けなくなることも。でもお金があれば、その時に本当にしたいと思ったことにすぐにシフトチェンジできる。余裕が持てるし、交渉の場でも強く出られる。嫌なことをやらなくて済むから、不安な気持ちやストレスも減るしね。ただ、お金の有無だけでなく、辞めても次の仕事を見つけられる自信をつけることも大事だけどね。自信があったから今のキャリアを培ってこられたし、僕の人生の選択肢は無制限に広がっているよ。たとえば、今のキャリアを全て捨てて違う国に移住することだって、全く新しい事業を始めることだってできる。自由になるために支出を見直して、無駄遣いを減らしながら、収入を増やすため、自分に自信をつけるためにスキルを磨いたり副業をする。そして残った分を投資に回してコツコツ増やしていれば、誰もがお金に縛られずに自由に生きていけるはずだよ!」
厚切りジェイソンさん 1986年生まれ、アメリカ・ミシガン州出身。お笑い芸人、俳優、IT企業役員、投資家など、いくつもの肩書を持つ。著書『ジェイソン流 お金の増やし方』(ぴあ)がベストセラーに。映画『おそ松さん』に出演。
※『anan』2022年4月27日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・鈴木恵美 撮影協力・ホテル&レジデンス六本木
(by anan編集部)