人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。2月のお客様は、俳優の木野花さん。第2回は、大学を出て演劇界へ進むまでのお話です。実は俳優になる前、美術教師をしていたことがあるそうなんです。

“差別しない心”に出合い、未来が開けた。

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勉強が好きでも得意でもなかった私ですが、なんとか県立の女子校に進学。でも成績は相変わらず。高2になって、政治経済の先生が赴任。独身の男性教師でしたが、実に真っすぐ誠実に政治経済の授業を始めたのです。まさに“男女平等”を授業で実践してくれました。当時は女は結婚していい奥さんになるのが幸せだという時代。女子校は花嫁修業の場で、旧態依然とした女性観を押し付けられることに違和感があった私には、まさに救世主が出現したような衝撃でした。そこからは心機一転。授業が、勉強が楽しくてしょうがない。政治経済だけは一番になりたいという野心まで抱くようになり、情け容赦のない授業に夢中で食らい付いていきました。他の教科も少しずつ興味が湧き、気がつくと成績が50位、20位と急上昇(笑)。結果、国立大学に滑り込みセーフで入学できたというおまけまで。先生の“差別しない心”に出合ったことで、私の未来が力強く開かれていった気がします。

教師の職を経て、東京で俳優を目指したが…。

大学の教育学部の美術科に進み、私は美術教師になりました。が、学校という縦社会に馴染めず1年目の秋で挫折。社会性のない自分を変えたい…模索し、たどり着いたのが、雑誌『美術手帖』で特集されていた“アングラ演劇”。’70年代当時、多くのアートは演劇に集まり、そこは男も女もなく自由で開放された場所に見えました。迷わず上京し養成所に入所。自主公演の計画に男女8人ほどが賛同してくれたのですが、男性陣が私や女性陣の提案をことごとく否定する事態に。その理由が「女の考えだから」。ショックでした、旧態依然とした価値観がイヤで演劇を選んだのに…。改めて募ったら集まったのは女性だけ。でも上手くいった。“女の考え”が誰にも否定されず自由に舞台に羽ばたいた瞬間でした。それが女だけの劇団〈青い鳥〉の出発点。目指したのは「自分を開放し、自由に表現できること」。政治経済の先生の教えに背中を押され荒海に舟を漕ぎ出す思いでした。

きの・はな 俳優、演出家。1948年生まれ、青森県出身。2/18~3/6にKAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて、舞台『ラビット・ホール』に出演。3月には兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでも公演が。

※『anan』2022年2月16日号より。写真・小川朋央 ヘア&メイク・片桐直樹(EFFECTOR)

(by anan編集部)

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