「サンリオの歴史は日本のファンシー文化の歴史。そして日本が世界に発信するサブカルチャー、“カワイイ”文化がどのように発展していったかという歴史でもあります」とサンリオ展製作委員会の高桑秀樹さん。
会場には当時のグッズや貴重な手描きの原画など800点あまりが勢揃い。1960年代に人気を博した「いちご」シリーズに始まり、最初期のオリジナルキャラクター、パティ&ジミーなど人気者を中心に、誕生秘話や知る人ぞ知る設定ストーリーを紹介。懐かしいキャラやマイナーなキャラも登場し、スケッチや時代背景をもとにキャラクターデザインの特徴を掘り下げる。海外にも広がったハローキティブームをデザインから読み解く試みにも注目だ。
「大人の目線で当時のキャラクターやグッズを考察すると、子どもの頃には気づかなかった発見があるのでは。制作側の裏事情的な要素も含めて楽しんでいただけたら」
そのほか、機関紙「いちご新聞」の紙面、その読者を招待する「いちごメイトパーティー」の模様など、ファンサービスの記録も興味深い。
「サンリオの原点は世界中が仲良くなってほしいという創業者の願い。だから未来を担う世代へのメッセージを大切にしてきたのです」
ファンを育てファンがキャラクターを育てていく、そんな幸せな関係がサンリオの秘密なのかもしれない。
奇跡のフォトスポット“Unforgettable Tower”
会場のエントランスは地上52階の展望台。迎えるのは原宿カルチャーを代表する美術作家、増田セバスチャンさん作の「Unforgettable Tower」。夜間はライトアップされた東京タワーと並んで写真が撮れるフォトスポット。
サンリオキャラクターズ、大集合!
これまで誕生したオリジナルキャラクターはなんと450以上! メルヘンチックなタイプだけでなく、おとぼけキャラ、多人数編成のチームキャラなど、時代の気分や流行を反映して、幅広いタイプが登場した。その変遷をたどる。
ハートがときめく“ギフト”の秘密
キャラクターグッズを“ギフト”と呼ぶのは、「感謝や思いやりを伝える小さな贈り物」という発想から。特に’80年代までは実用性よりかわいさを追求。左はタキシードサムのミニ扇風機、右はハンギョドンの貯金箱。
オリジナルキャラクター、誕生秘話
左・パティ&ジミーは当初はパティだけ。「後ろ姿が寂しそう」と作家が男の子の友達を描いたのがジミー誕生のきっかけだとか。右・“シンプルな線”は重要な要素。1つのキャラクターを何代もの描き手が受け継いでいく。
ハローキティブームは仕組まれた革命!?
2000年頃から欧米のセレブの間でハローキティが人気に! 「それをきっかけに大人がかわいいものを持ってもいいという価値観の変化が起きたのです」(高桑さん)。写真・レディー・ガガが着用したドレスを再現展示。
「いちご新聞」のメッセージとは?
1975年創刊の「いちご新聞」はファンとの交流の場。“友情”をテーマに紙上で熱い討論を交わしたり、ペンフレンドを募ったり。年1度のキャラクター大賞、創刊号から続く「いちごの王さまからのメッセージ」も健在。
『サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化 60年史』 東京シティビュー 東京都港区六本木6‐10‐1 六本木ヒルズ森タワー52F 開催中~2022年1月10日(月)10時~22時(入館は21時30分まで) 無休 一般2100円(平日)、2300円(土・日・祝日)ほか TEL:03・6406・6652 情勢により開館時間等、変更になる場合があります。詳細は公式HPをご確認ください。©2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610376
※『anan』2021年9月29日号より。取材、文・松本あかね
(by anan編集部)