疲れを回復する“朝のTips”
疲れから回復するために最も重要なのが、朝のTips。交感神経に切り替え、セロトニンを増やし、体内時計を修正する、という3つのポイントを一日の始まりにきっちりやることで、規則正しい生活リズムに体がシフト。疲れにくい土台が作れる。
起床
1、休日は寝溜めせず、同じ時間に起床。
疲れていると休日なかなか起きられないことも。
「でも、できれば平日と同じ時間に起きたほうが、疲労は回復できます。体内時計は毎日一定の時間に起きることで整うので、起床時間がバラバラになると乱れてしまう。しかも、体内時計は朝日を浴びるとリセットされるため、朝の時間帯に起きることが大切です。つまり、寝溜めは疲労回復に逆効果。休日も早起きを心がけましょう」
2、疲れが抜けないなら、7時間睡眠。
「年齢や体質など、人によって適切な睡眠時間は異なりますが、心身の機能を回復するうえで、人間には7時間前後の睡眠が必要とされています」
疲れが取れない…と感じたら、7時間睡眠の実践を。とはいえ、その時間を確保できない時は?
「通勤の電車内や昼寝など、細切れでもいいのでトータルで7時間睡眠を目指しましょう。ただし、日中の仮眠は一度に20分以上とらないように」
3、サンダル散歩で心地よく一日をスタート。
これはセロトニンの分泌を促すためのTip。
「セロトニンは、起床後30分以内に朝日を浴びることで分泌されます。また、軽い運動でも分泌促進。そこでおすすめしたいのが、朝のサンダル散歩。できれば起床後なるべく早く朝日を浴びたいので、足元は起き抜けでもすぐに出かけられるサンダル履きで。日光浴と軽い運動によりセロトニンが分泌され、体内時計も整って一石二鳥です」
朝食
4、牛乳を1杯飲んで、次の睡眠の質UP。
「牛乳には、睡眠ホルモン『メラトニン』のもととなる『トリプトファン』が含まれています。そのため、牛乳は睡眠の質の向上に有効なのです」
そんな牛乳を朝に飲む理由はというと、
「14~16時間でトリプトファンから合成されたセロトニンがメラトニンに変換されるからです。朝飲んでおくと、夜寝る頃にちょうどメラトニンに変換され、質の良い睡眠へと導いてくれます」
5、最強の朝ごはん=「玄米納豆卵かけご飯+えごま油」
「卵は良質なタンパク源で、風邪の予防に効果的。体調不良による疲れを防いでくれます。納豆は豊富な食物繊維で腸内環境を整え、セロトニンの分泌を促進。玄米ご飯はGI値の低さがポイント。血糖値が上がりやすい朝は低GIの食事で血糖値の乱高下を抑制し、心の乱れをガード。そんな玄米納豆卵かけご飯に、えごま油を少々。これで疲労回復効果のあるオメガ3脂肪酸まで摂れます」
出勤前
6、朝は着るだけ! コーディネートこそ作り置き。
着ていくものをその日の朝に考える人は多いけれど、実はそれは脳にとって地味に負担。
「時間がないなかで焦って考えることが脳にはストレス。朝から脳を疲れさせてしまいます。でも、前日の夜にコーディネートを決めておけば、そんな事態も回避可能。夜なら時間の制約もなくゆっくり考えられるからです。少しの工夫ですが、その積み重ねで脳のストレスを減らしましょう」
7、家事トレで心と体を整えて。
リモートワークなどで朝の時間に余裕のある人は、“家事トレ”を取り入れてみるのも手。
「家事トレとは、掃除や洗濯などの家事を軽い運動とともに行うこと。運動は、セロトニンの分泌はもとより、副交感神経から交感神経への切り替えにも貢献。家がきれいになれば心も整い、気持ちいい一日のスタートに。歩数計アプリを使えば、消費エネルギーが目に見えて、やる気アップ」
工藤孝文さん 内科医。福岡県みやま市の「工藤内科」で診療を行う。糖尿病、ダイエット治療、漢方治療を専門とし、女性を対象に疲労回復の診察も行う。著書は『疲れない大百科 ‐女性専門の疲労外来ドクターが教える‐』(ワニブックス)など50冊以上。メディア出演も多数。
※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。イラスト・山口 歩 取材、文・保手濱奈美
(by anan編集部)