黒木華 演じる刑事裁判官・坂間との共通点、“譲れない”ものとは?
「物事を順序立てて考えて正義を見つけていく坂間に対して、入間さんは論理なんてどうだっていいタイプ。そういう入間さんとの出会いによって、彼女の中に“本当に自分は正しいのか”という問いが芽生えていく。彼女なりにうろたえたり戸惑ったり、入間さんや周りの言動に丁寧に反応していくよう演じています」
堅物な坂間だが、「彼女の中にある正義は大事にしたい」と話す。
「不器用なりに人とちゃんと向き合おうとしたりする。人を裁くというのは人の人生を左右する仕事で、そこにちゃんと誇りを持っているところは尊敬できるし、かわいい部分。堅物な中にも揺れる部分があったり弱い部分があったり、人間ぽい部分があったほうが面白いと思うんです。監督も『坂間らしい柔らかさを作ってほしい』と仰っていたので、そこは意識しています」
飄々とした入間との凸凹コンビぶりはクスッと笑える面白さもあり、ドラマの見どころになっている。
「入間さんは、こっちが食ってかかってもヒョイヒョイッてかわしていく感じ。ただ、ふわふわしながらも被告人と被害者のどちらにもちゃんと向き合う姿はかっこいいです。竹野内さん自身も独特の空気感や間をお持ちの方。お茶目な一面もありますし。ふとした瞬間、遠くを見つめている表情は何か考えていらっしゃるようにも見えるんですが、全然読めなくて…結構観察しちゃいます」
坂間との共通点は「仕事への真面目さと頑固さ」と黒木さん。ならばその“譲れない”ものを聞きたい。
「自分の役に関することですかね。他の人から指摘されても、受け入れるまでに時間がかかるというか…納得するまで動けないんです。『とりあえずやってみれば』と言われたりもしますけど、最終的な責任は自分だし、作品の中に残るのも自分。見てくれている方に対して失礼のない仕事をしたいと思っているんです」
役に、作品に、脚本に対する誠実さ。それが黒木さんの正義なのだ。
『イチケイのカラス』 イチケイ(東京地方裁判所第3支部第1刑事部)の入間(竹野内)は、刑事裁判官ながらラフで飄々とした雰囲気の男。赴任してきたエリートの坂間(黒木)は、先入観にとらわれない入間の観察眼に、戸惑いつつも感化され…。毎週月曜21:00~フジテレビ系で放送中。
くろき・はる 1990年3月14日生まれ、大阪府出身。野田秀樹演出の3人芝居『表に出ろいっ!』で注目され、映画『小さいおうち』での高い演技力で数々の映画賞を受賞。近年主演したドラマ『凪のお暇』も話題に。
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※『anan』2021年4月28日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・亘つぐみ@TW ヘア&メイク・新井克英(e.a.t…) インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)