ミツメが新アルバム “時流にとらわれずに我が道を行く”が加速

2021.3.23
ミツメの6枚目のアルバムタイトルはシンプルに『VI』。コロナ禍ということもあり、リモートで作られた楽曲も多く、一曲一曲が独立した短編集のイメージがあったという。

今はせめて作品ぐらいはポジティブにいきたい。

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「制作期間も長めだったので、コンセプトを設けずに曲を作っていって、アルバムまでそれをやりきった感じでした。その都度バラエティに富んだことをしたというか」(川辺)

「リモートで人の意見を気にせず自分のアイデアを突き詰められたんです。そういう感じで各メンバーが音を乗っけていったので、アンサンブル的にも面白いものになった気がします」(nakayaan)

様々な音楽を通過した、ミツメならではのミステリアスでドリーミーな音像。新しい制作スタイルによって、その独自性がより進化した。特に「コンタクト」は、不安定なビートにしっとりとした歌が乗るマッチングが面白い。

「『コンタクト』は、デモではもっと不安定なビートを乗せていたので、僕的にはメンバーはNOと言うだろうと思ったんですけど、nakayaanが『面白いじゃん』って言ってくれて、(大竹)雅生も何も言わずにそれを飛び越えてくるような爆裂したギターを弾いて送ってくれて。『意外とみんなダメって言わないんだな。面白いな』って(笑)」(須田)

「いつもみたいに集まってセッションで作ると時間の制限があるのでその場での反射神経が重要になるんですけど、今回は何日もかけて取り組むのが新鮮でしたね。変わったドラムパターンが送られてきたとしても(笑)、どうやってそれにギターを乗せようかってじっくり考えて」(大竹)

叙情性とほのかな熱情感が高まった歌詞も今作の特徴だ。

「前作『Ghosts』の歌詞は割とシビアに物事を捉えていたんですけど、今はせめて作品くらいはポジティブにいきたいなって思って、前向きな作り話めいたものを心掛けました。なかでも『コンタクト』の歌詞は、僕としてはシリアスな冗談として捉えてて。でもアルバム終盤の10曲目だと熱すぎなんじゃないかって思ったんですけど、メンバーに『ここがいいんじゃないか』って言われて(笑)」(川辺)

「近況の話もするから、川辺の歌詞を読んで『こういうことなんじゃないか』って思うこともありますが、それが当たってるかどうかも確認しないし、それはそれでいいと思ってて。やっぱり含みがある方がいいんですよね。自分が他の音楽を聴く時もそういう楽しみ方をしたいので、川辺の歌詞を読む時も同じような感じというか」(須田)

作品を重ねれば重ねるほど、時流にとらわれずに我が道を行く“ミツメらしさ”が増しているのでは。

「メンバーみんな、周りを見渡してどうするかっていうより、自分はこの音楽が好きで、それをずっと聴いてるって感じが強まってるんじゃないですかね。自分の趣味を突き詰めているようで、結果的に社会ともどこかで接続している感じがベストだと思ってて。それで4人集まると、音楽の幅もできていくっていうのが、ここ数年よりできるようになってる気がします」(川辺)

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6thアルバム『VI』。3月24日発売。【CD2枚組】DISC1は12曲+ボーナストラックとして「Basic(feat. STUTS)」を収録。DISC2はインスト盤。¥3,000 【初回限定生産商品 LP】12曲入り。¥3,200(mitsume)

ミツメ 左から、nakayaan(Ba&Cho)、須田洋次郎(Dr&サンプリングパッド)、大竹雅生(Gt&Syn&Cho)、川辺素(Vo&Gt)。2009年、東京にて結成。’10年頃からライブ活動を開始。’11年、1stアルバム『mitsume』リリース。

※『anan』2021年3月24日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) 取材、文・小松香里

(by anan編集部)