――ドラマの最終回の放送が終わった直後から、終わり方が意味深すぎて、もしかしたら続きは映画で? なんて先読みするファンもいたようです。映画化の話は、当時からあったのでしょうか?
綾瀬:映画化したい、というのはあったと思うけど、具体的には決まってなかったと思います。最終回が、勇輝(西島秀俊)が菜美(綾瀬はるか)に拳銃を向けて「バン!」って音で終わっていましたからね。このあと二人はどうなっちゃうの…って私も気になってたから、続きを映画で作るって聞いた時はすごく楽しみで。
西島:じつは現場でも、結局あの時何が起きたのかの答えがなくて、それぞれが解釈するという形になっていましたね。僕も、このあとこの二人はどうなるんだろうと気になっていたんですが、それを映画の台本で知りました。
――そうなんですね。菜美と勇輝として久しぶりに顔を合わせた時は、どんな気持ちでしたか?
綾瀬:懐かしい人に会った、って感じですね。
西島:「おう!」みたいな感じだったかな。違和感は全然なくて、2年ぶりとは思えなかったですね。
綾瀬:クランクインして最初に、アクションシーンの撮影から入ったのもよかったのかも。
西島:アクションの稽古をずっとやっていたのもあったし、戸惑う余裕はなかったかもしれないです。
綾瀬:とはいえ、二人で言い合うシーンは「今のいい感じ?」「こんなんだったっけ?」って探り探りなところもあった気が…。
西島:違うよ、はる坊がダメ出ししたんじゃん。「お兄ちゃんそんなんでいいの? もっとちょうだいよ」って。まあ連ドラの時からの普通のやりとりなんですけど。
綾瀬:あはは、ごめんね。
――綾瀬さんは、“はる坊”と西島さんに呼ばれていて、西島さんのことは“お兄ちゃん”って呼んでいるんですね!(笑)
綾瀬:大河ドラマ『八重の桜』で共演した時に一緒のシーンが多くて「なんでそこ噛むの?(笑)」とかつっこみながらやっていくうちに、すごく仲良くなったんです。お兄ちゃんはとくに言いやすいキャラで。
西島:自分が出てない作品でも「あの撃ち方、めちゃくちゃかっこ悪いんだけど」って僕に連絡してきて、うるさいんですよ(笑)。
綾瀬:でも図星じゃない?(笑)
――今作での関係性を築く秘訣を伺うまでもなく、そもそもすっかり息が合ってる感じですね。ところで、ドラマとの違いは、どんなところに感じましたか?
綾瀬:記憶をなくした菜美は名前を変えて地方の町で久実として、勇輝は裕司として生きているところから始まるんですが、菜美のキャラが全然違うから別人みたいだった。菜美からすれば「この人はあなたの旦那さんです」って教えられたとはいえ、知らない男の人と生活しているのと一緒だから、不安なまま暗いトンネルの中にずっといるというような心情だったし。あとは、アクションがさらにパワーアップしています。
西島:ドラマでは、戦う相手が街のDV夫とかだったから。
綾瀬:そう、ちょろい感じでやっつけてましたからね(笑)。
西島:ちょろい、って(笑)。でも今回の敵は屈強な外国人で、本当に軍隊にいたような人たち。
綾瀬:そうそう。もちろん今回もアクションはすべて自分でやっているんだけど、ラスボスみたいなロシア人の俳優さんは背も高いし力も強くて。しかも本番になると気合が入るぶん、さらに強く向かってくるし、間一髪でよけなければいけない動きもあって本当に危なかったんです。
西島:でも仕上がりを見て本当にびっくりした。よっぽど時間をかけて集中して稽古したことがよくわかる。日本人でこんなアクションができる女優がいるんだなって、感心しました。
綾瀬:うれしいです。
西島:あの体格の大きなロシア人と互角に戦うのは男でも難しい。その体格差を技とスピードでかわすあたり、説得力がある動きでした。まあ実際に、はる坊の蹴りは強いもんね。
綾瀬:あら、ごめんなさい。私も本番になると強くなるのね(笑)。
――綾瀬さんのアクションは、ドラマの時から見どころでしたね。今作でも相当練習されたんですね。
綾瀬:いやぁ、ほどほどにですよ。
西島:いやいや、アクションシーンの撮影が終わっても、こっそり“闇練”してたじゃん。
綾瀬:こっちも疲れてるし、やりたいわけじゃないのよ。でも本番をいかにスムーズに進めるかって考えると、強迫観念から渋々…。
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西島:絶対好きでやってたように見えたけどね。しかも、撮影後にやりたくないのは俺たちよりもアクションチームだし(笑)。
綾瀬:そっか(笑)。
あやせ・はるか 1985年3月24日生まれ、広島県出身。主演作に大河ドラマ『八重の桜』(NHK)や『義母と娘のブルース』(TBS)など。NHK紅白歌合戦の司会を3度務めるなど、幅広く活躍。
にしじま・ひでとし 1971年3月29日生まれ、東京都出身。出演作に連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)、『きのう何食べた?』(テレ東)など。映画『シン・ウルトラマン』が公開予定。
『奥様は、取り扱い注意』 元特殊工作員の菜美と、現役エリート公安の勇輝は共に、久実と裕司に名前を変えて地方で暮らしていたが、実は菜美は記憶をなくしていた。そして、国家レベルの大きな事件へ巻き込まれてしまう…。近日公開予定。
※『anan』2020年5月27日号より。写真・三宮幹史(TRIVAL) スタイリスト・椎名直子(綾瀬さん) カワサキタカフミ(西島さん) ヘア・夛田恵子(mod’s hair/綾瀬さん) メイク・UDA(mekashi project/綾瀬さん) ヘア&メイク・亀田 雅(The VOICE/西島さん) 取材、文・若山あや
(by anan編集部)