不安定な恋の曲ばかり? 「マカロニえんぴつ」新アルバムの聴きどころ

2020.3.30
人懐っこく遊び心溢れるポップなメロディとアレンジで、「全年齢対象ポップスロックバンド」を掲げるバンド、マカロニえんぴつ。日々悩み、報われなさを感じている人に希望を与える歌詞に共感者が増え、ライブチケットが取りづらくなるなど、人気が急上昇している。
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「お客さんとの関係性のピントが合ってきたって感じてます。『ヤングアダルト』って曲の“ハロー、絶望”っていう歌い出しの歌詞は、“絶望の裏側に希望は隠れてるもんだ”っていうメッセージを提示したんですが、自分たちが吐き出してる音楽が誤解なく伝わっていってるなって」(はっとり・Vo&Gt)

「全公演ソールドできるようになったのはつい最近。観に来たくても来られないお客さんがいるのが活力になって、もっと大きい会場でライブをやりたいと思ってます」(高野賢也・Ba&Cho)

セカンドフルアルバム『hope』は、恋の始まりと終わりという、曖昧な時期における葛藤を描いたラブソングが多く収録されている。

「この曲を聴いたら気持ちがだいぶ楽になるだろうなって思って作るので、不安定な恋の曲ばかりですね。“たまには幸せになっていいんじゃないの?”ってコメントがネットにありました(笑)。でも表題曲の『hope』は、“恋の最中でなんとなく幸せなんだけど、やっぱり人は違う個体同士。でもそれをひとつにするために、とりあえず手をつないでいたい”っていう感じの歌詞で、これまでのラブソングと比べると異質かもしれないです。僕たちの曲の絶望と希望の割合は7:3ぐらい。3の部分に気づけた時に幸福感がある。肩を抱いて励ますみたいな物理的な温もりじゃなくて、死んだばあちゃんからの助言が降ってくるみたいなバンド(笑)。自分がそういう歌に救われてきたんです」(はっとり)

特に今回は、「あまり重いアルバムにならないよう、全部の曲で“余計”なアレンジをした」のだそう。

「僕が作った『Mr.ウォーター』は、一曲の中でセクションごとにジャンルが違うんです。フレンチのアコーディオンのイントロから、どんどん世界一周して、最後、夢の国に行くみたいな構成です(笑)」(長谷川大喜・Key&Cho)

「『たしかなことは』では、オールディーズ(’50~’60年代にヒットした洋楽のジャンル)な匂いの曲に挑戦してみました。その曲もアウトロで突然フュージョン(ジャズにロックや電子音楽等を融合した音楽)になる(笑)」(田辺由明・Gt&Cho)

「解散前のユニコーンイズムというか。『人生は上々だ』って曲でどんどんキーが上がっていくような遊び心を入れたくて。結果的に、シングル曲とのバランスもとれたアルバムになったなって思います」(はっとり)

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2ndフルAL『hope』。「恋人ごっこ」や「ヤングアダルト」「レモンパイ」等、多くのタイアップソングを含む全14曲収録。4/1発売。【初回限定盤(CD+DVD)】¥3,454 【通常盤(CD)】¥2,727(TALTO/murffin discs)

写真左から、高野賢也(Ba&Cho)、長谷川大喜(Key&Cho)、はっとり(Vo&Gt)、田辺由明(Gt&Cho)。2012年、神奈川県で結成。メンバー全員が音大出身。4月18日から全国14か所を回るワンマンツアーがスタート。ファイナルは6月13日豊洲PIT公演。

※『anan』2020年4月1日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・奥冨直人(BOY) 取材、文・小松香里

(by anan編集部)