アイデアに必要なのは才能ではなく目的意識。
アイデア力に必要なのは、先天的なセンスと考えがち。でも、『「発想力」と「想像力」を磨く東大アイデア』の著者・西岡壱誠さんは、その考えを否定。
「一般的にセンスと聞くと、創造的な才能をイメージします。でも僕の周りにいるアイデア豊富な東大生や社会人は、日常をよく見て感じる力が優れているんです。身の回りにあるアイデアの素に気づけるかどうかが、アイデア力の差。そして、その素を正しくアウトプットできさえすれば、誰でもアイデアパーソンになれるんです」
西岡さんが、アイデア発想のプロセスで最重要と位置付けるのが、目的=ゴールの設置。
「多くの人が、手探りで考え始めますが、これではいつまでもアイデアにはたどり着けません。より確実で、使えるアイデアを生む方法として東大生が実践しているのが、目的を明らかにすること。『そのアイデアで、どんな変化を起こせるのか』というゴールをしっかり描くことこそ、アイデアを生む近道です」
東大アイデア基本の3ステップ
現役東大生・西岡さんによれば、アイデアを生むプロセスに必須の要素は、「目的」「調査」「発想」の3つ。まずは、基本となる3ステップをマスターして。順番に沿っていけば、アイデアが浮かばないという悩みはなくなっていくはず!
STEP1:目的をクリアにする。
アイデアの発想は、西岡さんが最重要と考える“目的の設定”からスタート。「今どういう状況かは置いておいて、アイデアを発想した先にある目的を明確にすると、企画の方向性はおのずと決まります」。STEP 2、3に進んでいくと、行き詰まる場面も出てくるかもしれない。「それは、目的がぼんやりしているから。最初のステップに戻り、目的をより具体化させ、適宜、表現などを修正しましょう」。たとえば、ドリンクの新商品の企画で、最初の目的が「女性を健康にする」だったら、「若い女性」「健康」という曖昧なワードを「20代後半の女性の腸内環境を整える」に限定するといった具合。「目的を細かくするほど、アイデアは作りやすくなります」
STEP2:先行事例の調査はマスト。
アイデア論で有名なジェームス・ウェブ・ヤングの言葉「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」。この考えに西岡さんも賛同するそう。「一見、斬新に見えるアイデアも、既存のものを掛け合わせたり、海外にあったものを日本に合う形にアレンジしていることが多いです」。ゼロからまったく新しいものを生み出そうとする必要はなし! 既存のアイデアから、STEP1で設定した目的を実現するために、参考になりそうなものを探す「調査」こそがやるべきこと。「先行事例は徹底的に調査を。できる限り多く見つけストックしたほうが、アイデア×アイデアの組み合わせは増え、現状に合ったアイデアに近づいていきます」
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STEP3:日常に立ち返って発想。
調査した先行事例を踏まえ、それに類似するものを自分自身の日常からアイデアの種として拾い上げるのが、「発想」の段階。「面白いアイデアをポンポン出す東大生や社会人に共通しているのが、身の回りに対するアンテナの感度が高いこと。日常生活で起きたことや何気ない会話から常に発想しているんです」。アイデアの種を育てるにはどうすれば? 「見聞きしたことに対して、率直な疑問を持つことです。買い物をしながら『なんでこの商品が多いのか』と考えてみたり、コンテンツを見たら『面白いと思った(or思わなかった)のはなぜか?』と、疑問を持ち、その理由を考えてみる。すると、漫然とした日常が、アイデアの宝庫に変わりますよ」
にしおか・いっせい 偏差値35から東大に合格。現在、経済学部4年生。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)に情報提供する東大生チームのプロジェクトリーダーを務める。近著に『「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア』(小社刊)。
※『anan』2020年2月12日号より。イラスト・林田秀一 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)