ムスリム女性へのイメージが変わる? マンガ『サトコとナダ』が完結

エンタメ
2019.02.27
いわゆる異文化交流モノは過去にもいろいろあったけれども、『サトコとナダ』はありそうでなかった設定の面白さが光る作品だ。ひとつは、日本に暮らす多くの人にとってあまり身近とはいえないイスラムを扱っていること。女同士の友情を描いていること。そして舞台となる“移民大国”アメリカは、ふたりの主人公にとって異国であること。
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国籍や文化が違っても女子は女子。異文化交流マンガ、注目の完結!

『サトコとナダ』はユペチカさんの留学体験に基づいているものの、あくまでもフィクション。しかしサトコが当初抱くムスリム女性への先入観は、ユペチカさんの気持ちを代弁もしている。

「ニカブ(目以外を覆うベール)を着ていると、それだけで違う世界の人だと思ってしまうじゃないですか。だけど実際に仲良くなってみると、私たち日本人よりも自己主張が強かったり、あけすけなところがあったりして衝撃を受けたんです」

サトコとルームシェアをするのは、サウジアラビア人のナダ。ホームパーティでセクシーな格好をしたり、アプリを駆使して礼拝を行ったりなど、序盤はイスラム文化とその意外な一面を紹介する内容がメイン。2巻目以降はナダにお見合い話が浮上し、より物語性を帯びてくる。

「お見合い結婚をさせられると聞くと、私たちはマイナスイメージを持ってしまいがちですけど、そうやって幸せに暮らしている方にもたくさんお会いしたので、プラスの面も伝えたかったんです。最終的には“イスラムだから”とか“サウジアラビア人だから”というのではなく、サトコとナダ、それぞれの生き方を見せたいと思っていました」

生まれた国や文化、宗教などまるっきり違うふたりが、たまたま一緒に住むことになり、お互いの違いを認め合いながら友情を育んでいく姿は尊く、何より楽しそうなのがいい。

「ほんの少しでも世界が優しくなるといいなと考えながら、いつもこの作品を描いていました。マンガでイスラムを扱うことはチャレンジングではありましたが、私自身も本当にいい夢を見させてもらいました」

イスラム文化への純粋な興味から読み始めるのもよし、友情物語として読むのもよし。世界の広さ、価値観の多様さを感じながら、最後は清々しい気持ちに包まれるだろう。

漫画

『サトコとナダ』4 監修・西森マリー アメリカで留学生活を送る日本人のサトコと、ムスリム女子・ナダのルームシェアの日々を描いた4コママンガ。留学生活が終わりに近づく、感動の最終巻。星海社 640円

ユペチカ マンガ家。Twitterに趣味で投稿していた本作が注目され、WEBマンガサービス「ツイ4」で連載をスタート。「このマンガがすごい!2018」オンナ編第3位に選ばれる。

※『anan』2019年3月6日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

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