林真理子の「皆から大ブーイング」だったダイエットとは?

2018.2.1
anan人気連載「美女入門シリーズ」1000回の節目に、林さんからanan読者に愛のメッセージが届きました!
林真理子

美女入門シリーズが、なんと一千回を迎えることとなった。

一年に四十九週分。千を四十九で割ると約二十。なんと二十年以上もこのエッセイを書
いていたことになる。その前のシリーズを入れるともっと長い。

一時中断したこともあったが、これほど長く書いてこられたのも、ひとえに読者の皆さんのおかげである。本当にありがとうございます。

最近対談で、若い女優さんやタレントさんに会うと、かなりの確率で、

「お母さんが、ハヤシさんのアンアンのエッセイを読んでいました」

と言われる。ありがたいことだ。

私としてもよくもまあ、この長きにわたってダイエットとおしゃれについて書いてきたものだと感心する。

中にはひどい人がいて、

「ネタのために、ずっとデブでいるんでしょ」

などと言う。が、私が憶えている限り、五回くらいはダイエットに成功してます!

「すっかりスリムになったマリコさん」

とグラビアに出ているのである。

最後は七年前ぐらいだと憶えている。今より十数キロは痩せていた。が、この時はクリニックへ行き、クスリ(といっても食欲抑制)で痩せたため、皆から大ブーイング。

「顔が土気色になっている」
「ものすごくフケた」

と言われ、私は落胆した。

「なんだ、痩せてもちっともキレイにならないじゃないの」

この失敗例が、その後の長い肥満人生を決定づけたといってもいい…。

まあ、それはそれとして、このエッセイを書いていたから、お洋服もうんと買い続けた。それなりに流行やおしゃれには気を遣った。

しかしファッショナブルにはほど遠い私。

仕事や遊びでマガジンハウスの女性編集者と会うたびに、

「世の中には生まれつきセンスがある人がいるんだ」

という事実にぶつかる。

そういう人たちが、ファッション誌の編集者になるのだ。さりげないニットの着こなし、アクセのつけ方…などとても真似出来ない。私は一生ムリ。

おしゃれでキレイな女性になることは、私の見果てぬ夢で、だからこそずっと「美女入門」を書き続けられたのであろう。

そしてここで育まれた友情も私の大切な財産である。編集者のテツオは結婚しないまま、出世階段をかけ上がっていった。今やマガジンハウスの取締役だ。

テッちゃん、長い間一緒に遊んでくれて本当にありがとう。読者の皆さまもありがとうございました。

※『anan』2018年2月7日号より。

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