気分転換や口臭予防のために愛用している人も多いガム。一方、ガムを噛むことを習慣にすることで、噛む力が鍛えられ、フェイスラインが引き上がったり、複数の美容メリットが得られることが研究で明らかに。見た目に嬉しい変化をもたらす“ガムトレ”を伝授!

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    噛む=顔の筋トレで、たるみ改善、血流促進

    年齢とともに気になってくる顔のたるみやシワ。日常のケアなどは必須だが、実はガムを噛むだけで様々な美容効果が期待できるそう。その真相を探るべく、ロッテ中央研究所「噛むこと研究部」の菅野範さんを直撃。

    「私たちは“噛むこと”の健康機能に着目し、様々な研究に取り組んでいます。その中でガムを噛むことで咀嚼筋や表情筋が刺激されてフェイスラインが引き上がることが判明。さらに研究を重ね、顔の筋肉が動くことで表面温度が上昇したり、頬の弾力もアップすることが直近の研究結果で明らかに。また顔だけでなく、頭皮の血流が増加することも分かりました。ガム咀嚼時間が長い人の方が毛髪が太いという結果も出ています」

    「噛むことは筋肉や血流だけでなく、骨密度にも大きな影響を与える可能性がある」とは、整形外科専門医の矢吹有里さん。

    「骨密度は骨の強度を示すもので、顔面骨の骨密度の低下がたるみの最初の原因になるといわれています。それを防ぐには、噛むことで骨に刺激を与えることが有効だと分かっています」

    噛むことは美容や健康にいいことずくめ! しかし、「むやみやたらと噛むのではなく、咀嚼筋や表情筋を意識して、正しくガムトレを行うことで口腔機能が高まり、それが美しさに繋がります」と、歯科衛生士で健康咀嚼指導士の石野由美子さん。

    「口腔機能=口の働きには、主に食べる、話す、呼吸、表情があります。ガムトレを行うと食べる、話すなどの動作がスムーズに行えるようになり、呼吸もしやすくなる。表情も豊かになるため、その人らしい美しさを引き出しやすくなるでしょう」

    意識して正しく噛むだけでシャープなフェイスラインやシワ改善など美容面への好影響だけでなく、所作や表情にも嬉しい変化が。今すぐガムトレを習慣にして、キレイを底上げしよう。

    ガムトレで期待できる美容にいいこと

    最新の研究結果やエビデンスを基に、ガムトレの美容メリットを解説。継続することは必須だが、ガムを噛むことでこんなにも効果があるなんて、目から鱗!

    【POINT1】ハリのある肌、すっきりフェイスラインに

    ガム咀嚼とフェイスラインに関する研究をロッテが実施。

    「20~40代の健康な女性を対象に、1回約10分、毎食前1日3回のガムトレを8週間実施した結果、ガムトレをした人としなかった人を比較したら、ガムトレをした人のフェイスライン角度が増加しました。ガムトレを行った女性の変化の一例として、噛む前はフェイスラインが51.5度だったのに対して、8週間噛んだ後は55.2度となり、あご下のたるみが改善されました」(菅野さん)

    出典:松井美咲ら『アンチ・エイジング医学』2023;19:247-251

    【POINT2】頭皮の血流がアップ。髪の毛が太いという結果も

    ガムを噛むと、前頭部、頭頂部ともに頭皮血流が増加することが確認され、毛髪にも良い影響が!? 「20~50代の健康な男女を対象に行った研究で、1日の平均ガム咀嚼時間が30分以上の人は、それ未満の人より、頭頂部の毛髪径が太いという結果が出ています」(菅野さん)。ガムの継続摂取前後で毛髪への効果を認めた研究成果はまだ出ていないため、今後に期待したい。

    出典:大島直也ら『アンチ・エイジング医学』2021;17(2):82-85

    【POINT3】頬のたるみの原因、骨密度の低下を防ぐ

    骨密度は20歳ごろにピークに達し、40歳を境に急激に低下する。「骨の中で顔の骨密度が一番先に減り始め、一度下がった骨密度を上げることは難しい。だから今の骨密度を維持するために、噛むことで筋肉を動かし、筋肉に繋がる骨に刺激を与えることが骨を作る細胞を活性化、顔の骨密度をキープすることに効果的な可能性があり、たるみなどの美容ケアにもなります」(矢吹さん)

    いつでもどこでも“ながら”でできる。ガムトレを今日から始めてみよう!

    顔に広がる主な表情筋

    口を囲む口輪筋から放射状に伸びるのが表情筋。「噛む時に使う咬筋をしっかり動かして噛むと、連動して、口の周りにある口輪筋、頬筋、笑筋、大頬骨筋など多くの表情筋も刺激することができます。その結果、あごや頬のたるみ防止、表情が豊かになるなど様々な効果が期待できます」(石野さん)。各筋肉を意識してガムトレを行おう。

    【GUM TRAINING1】まずは、口まわりの表情筋をストレッチ

    ガムを噛む前にまずは準備体操から。口の周りを内側から動かして、表情筋を柔らかくすることで、ガムトレの効果がグーンとアップする!

    【STEP1】左右の頬を膨らませる

    唇をしっかりと閉じて、片頬に空気をいっぱい溜めて、頬がピリピリするくらい思いっきり膨らませる。反対側の頬でも同様に行う。各5秒間キープ。特に頬筋が刺激できる。

    【STEP2】鼻の下、下唇の下を膨らませる

    唇をしっかりと閉じたまま、次は鼻の下、下唇の下(オトガイ部)を、STEP1と同様に大きく膨らませる。各5秒間キープ。普通の顔に戻り、STEP1と2を3セット繰り返す。

    【GUM TRAINING2】表情筋を意識しながらガムトレにトライ!

    ガムを口に入れてリラックスした状態で行おう。噛むことだけでなく、唾液をたくさん出すことを意識すると飲み込む力も身につく。板ガム1枚or粒ガム2粒以上がおすすめ。

    【STEP1】唇を閉じたまま奥歯で噛む

    口に入れたガムを左右どちらかの奥歯まで舌で運ぶ。唇は閉じたまま、表情筋を意識して、鼻の下を伸ばすように奥歯でしっかり10回噛む。歯を開けてモグモグ噛むのがポイント。

    【STEP2】頬に手を当てて確認!

    噛みながら頬に手を当てて、左右の咬筋がプクプクと動いていることを確認。大きく噛むことで唾液が出てくる。あまり出てこないようなら、もう少し大きく動かしてみよう。

    【STEP3】唾液をゴックンと飲み込む

    3~5分、1日3回!

    10回噛んだら、唾液を舌の上に集めて飲み込む。その時に舌の奥が持ち上がり、喉が上がるのを確認して。ガムを反対側の奥歯に運んで、同様に行う。3~5分間繰り返す。

    お話を伺った方々

    Profile

    菅野 範

    ロッテ中央研究所「噛むこと研究部」チーフスペシャリスト。2018年の設立当初より研究部に所属し、噛むことに関する様々な研究や啓発活動などに取り組んでいる。その情報をWebサイト「噛むこと研究室」で発信中。

    石野由美子

    歯科衛生士、健康咀嚼指導士、フェイスニング公認講師。二子玉川ガーデン矯正歯科勤務。昭和医科大学歯科病院口腔機能リハビリテーション科(非常勤)では、口腔機能障害に対する口腔リハビリテーションを専門に行う。

    矢吹有里

    整形外科専門医、ゆりクリニック院長。閉経後の女性に多い骨粗しょう症の治療と予防を目的とした、女性のための整形外科クリニックを開院。「骨美容」を提唱し、若い世代からの骨密度維持の大切さを啓発している。

    イラスト・黒猫まな子 取材、文・鈴木恵美

    anan 2469号(2025年10月29日発売)より
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    No.2469掲載

    カラダにいいもの大賞 2025・秋

    2025年10月29日発売

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    自らを虚ろにして会社や組織のために献身する意味のある日です。また、別の側面としてはひとまず自分の意見は内にとどめ、いろいろな人の考えを参考にするという解釈もできます。どちらにしても自分の器量や今の実力を考えて、出しゃばらないことが肝心です。もし致し方なく大事な役目を担ったときは、とにかく無難を心がけて。

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