
デジタルの刺激に体内リズムとの相関性。今どきの眠りの悩みを解き明かす、睡眠科学の新常識をピックアップします。
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寝たのに眠い、疲れても眠れないその現象。そこには体内リズムの乱れがあると、作業療法士の菅原洋平さん。
「人の体は朝の光で目覚め、夜に眠りの物質が出て眠くなる。このような体内リズムには合わない生活をすると眠りの質が下がって、日中のパフォーマンスの低下にもつながります」
刺激過多の生活も現代の睡眠トラブルの特徴、と内科医の小林義昭さん。
「スマホやコーヒーが手放せず、夜寝付けないという人も増えています」
ここでは体内リズムと外からの刺激、それらをふまえた快眠キーワードを深掘り。まずは左の隠れ不眠度チェックから始めて。思い当たる人はここから一緒に睡眠を極めていきましょう!
CHECK LIST
その行動、実は睡眠に問題アリかも?
✅ 朝食が食べられない
✅ 同じ姿勢を保っていられない
✅ 話しているとき、つい髪の毛を触ってしまう
✅ 飴を舐めていると、つい噛んでしまう
✅ 脂っこいものが無性に食べたくなる
✅ 会話中に別のことを考えてしまう
✅ タンスなどの角に足をぶつける
✅ ニキビや吹き出物が出てくる
「深部体温」のコントロールが寝苦しい夏の睡眠を制す!

POINT
- 「表面体温」≠ 「深部体温」
- 睡眠には深部体温が下がることが必須
- 深部体温を上げる「夕方の運動」で睡眠の質が向上
- スムーズな“放熱”はメンタルにも好影響をもたらす
夜なかなか寝付けない。それは深部体温を調節する機能が低下しているせいかも。
「深部体温とは内臓の温度。人間は深部体温が下がることで眠りに入りやすくなりますが、その際に大事なのは放熱。深部体温を上げると足の裏や手のひらからスムーズに放熱することができるので、寝る1時間前までの入浴で深部体温を上げておくことが大事です」(菅原さん)。
体温が上がる夕方に運動するなど、一日の中で微妙に上下する体温の仕組みを味方につける行動が睡眠を改善するきっかけに。
「そうして体温調節がうまくいくようになると寝付きが良くなり、メンタルの波が穏やかになる人も多いです」
デジタルの刺激が 毎日の眠りを妨げる!「アロスタティック負荷」を知ろう

POINT
- 「アロスタティック負荷」=ストレスによる蓄積疲労
- 疲れているのに眠れない人は要注意
- デジタル刺激への過剰反応が慢性的な脳疲労の原因に
- 意識的にデバイスから離れる時間を作ろう
メールにSNS、AIとのやりとり。増える一方のデジタル刺激に対して適応しようとする体内機能が、眠りを妨げる一因になっている。
「環境や状況の変化を受け、それに適応しようとする体の仕組みを“アロスタシス”と呼びます。刺激の多い現代の生活ではこのアロスタシスが常にオン状態になり、寝る時間になっても体が臨戦態勢のままで寝付けないという現象もしばしば。その脳疲労の蓄積が“アロスタティック負荷”であり、今の人はこれが過剰とも。ベッドにはスマホを持ち込まない、メールチェックは時間を決めて行うなど、デジタルデバイスとの距離感はほどほどに」(菅原さん)
睡眠の質に及ぼす威力は想像以上に強力!「カフェイン」と正しく付き合おう

POINT
- カフェインは眠気止め薬にも使われる強力な物質
- 自称「ショートスリーパー」は摂りすぎを疑って
- 夕方以降にはコーヒーなどのカフェインの摂取を控える
- お茶など、コーヒー以外のカフェイン入り飲料にも注意
デスクにはコーヒーが欠かせない、という人は多いはず。
「コーヒーの成分であるカフェインは、現代人の不眠の大きな原因です。日常的な飲み物なだけに見過ごされがちですが、本来は過眠の治療にも使われるほど覚醒効果が高い物質。最近の人はカフェイン摂取量が多いだけでなく、摂取時間も遅い傾向があります。自称“ショートスリーパー”が、実はカフェインを常飲することによる過覚醒であることも少なくありません。睡眠を改善したい人はまずコーヒーを朝から午後の一杯までに抑えてみては」(小林さん)
緑茶、紅茶などにもカフェインは含まれるので、こちらも飲みすぎには注意を。
良かれと思っての休日も少しずつ調整しましょう。「ソーシャルジェットラグ」を正して睡眠リズムを一定に

POINT
- 休日の寝溜めが睡眠のリズムを乱す
- 目覚ましで起きられない人は要注意
- 起床時間はできるだけ一定に保つ
- 退勤後、電車内での居眠りは避けて
平日の睡眠不足をフォローしようと、休日はたっぷり寝溜めする。そんな生活スタイルがかえって、平日起きられない原因になっていることも。
「それは平日と休日で寝起きする時間が大きく異なることなどで生まれる体内時計の時差ボケ、ソーシャルジェットラグが要因です。特に平日、目覚ましをかけてもなかなか起きられないという人は要注意。対策としては夕方以降は眠らずに眠気を夜まで溜めること、そして夜は0時までに寝るようにして起床時間も一定に保つこと。休日の寝坊もできるだけ2時間以内におさめることでむしろ起きやすく、寝付きやすい体になりますよ」(小林さん)
お話を伺った方々
Profile
菅原洋平
作業療法士。国立病院機構でリハビリテーションに従事後、ユークロニア株式会社設立。薬に頼らない睡眠外来や、生体リズムや脳の仕組みをテーマに企業研修にも携わる。著書『「謎に眠い」を解きほぐす ―眠気の悩みをあきらめないセルフケア―』(オーム社)など多数。
小林義昭
内科医。こばやし内科クリニック院長。2002年、佐渡総合病院で睡眠無呼吸外来をいち早く設立。以来、睡眠時無呼吸症候群の分野で有数の診療実績を持つ。著書に『「やること多すぎ世代」の快眠図鑑~忙しくても“自然と眠れる”ルーティン50~』(小学館クリエイティブ)がある。
anan 2508号(2026年8月19日発売)より
































