
冷房や冷たい食べ物&飲み物の摂りすぎ。これらが原因で夏に起こりがちなお腹の冷え、腸のさまざまな不調に、東洋医学の見地からアプローチ。腸の働きに関わりの深い“経絡”とツボを刺激して夏の腸をいたわろう!
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教えてくれた方
Profile
瀬戸郁保
鍼灸師、国際中医師。源保堂鍼灸院院長。古典医学書に基づいた鍼灸術で定評を得る。著書に『長生きをしたければ、「親指」で歩きなさい』(Gakken)がある。
飽食で食べすぎの今こそ、腸を温めていたわりたい
東洋医学で言う五臓六腑で重視されているのは、肝・心・脾・肺・腎の五臓。大腸や小腸を含む六腑の方はやや軽視されてきた。
「陰陽思想では陰にエネルギーが蓄えられていると考え、陰を重視します。五臓は陰、六腑は陽に分類されるので“腸”はそれほど重要視されていませんでした」
と、鍼灸師で国際中医師の瀬戸郁保さん。ところが最近、新たな気づきがあったという。
「便秘や冷たいもので腸が詰まると、五臓にエネルギーがあっても使えず内臓全体の働きが悪くなる。こうした目詰まりは飽食の時代ならでは。陽の臓器は温めることで力を発揮するので、腸を温めて通りをよくすることが大切です」
というわけで、東洋医学的腸ケアをご紹介。全身にはエネルギーの通り道である主流の経絡が14本ある。その経絡を刺激する体操を“経脉操”と呼ぶ。腸の働きを整える経脉操を準備運動から始めて順番通りに行い、プラスαのツボ押しで、夏の腸をいたわりたい。

臓腑を繋ぐエネルギー“気・血”の通り道である経絡の中で主流となるのが、任脈・督脈と十二経脈(正経)。今回紹介する脾経、大腸経、小腸経のほか、肺経、肝経、胃経、心経、腎経、胆経、膀胱経などがある。
腸に関わりの深い経絡を刺激する、経脉操(けいみゃくそう)プログラム
東洋医学で生命エネルギーを意味する“気・血・水”。これらの流れが滞ることが不調の原因と考えられている。エネルギーの通り道、経絡を刺激して全身の巡りを整える体操が、気功の一種である経脉操。とくに腸に関わりのある3本の経絡を伸ばして刺激を与えれば、腸は温められ、本来の働きを取り戻すはず。
準備運動|腸を揺らす
手と骨盤をスライドさせ全身に気を巡らせる
まずは、準備運動。「仙人長寿功」と呼ばれる気功の一種で、シンプルな動きを繰り返すことで気の巡りを促し、心身の調和を促す。上半身と下半身を逆方向に動かすことで体幹のツイスト運動にもなり、腸に刺激を与える効果も期待できる。

① 両足を揃え「気をつけ」の姿勢をとる。左右の手のひらを体の正面、鎖骨の高さでぴったり合わせる。

② 手を右方向に水平にスライドさせると同時に、右膝を内側に曲げて骨盤を左方向に移動させる。
③ 今度は手を左方向にスライド。左膝を曲げて骨盤を右方向に移動。体の軸は常にまっすぐ保つ。
経脉操1|脾経(ひけい)を伸ばす
脾経のエネルギーで全身を温める
ここから3つの運動が、経脉操。まずは脾経という経絡を伸ばす。脾経は主に胃腸に関係する経絡で、消化・吸収を司り、全身を温めるエネルギーを生み出す作用がある。脾経を元気に働かせることで腸が温められ、消化不良や下痢、食欲不振、むくみなどの改善が望める。
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脾経は足の親指から始まり、膝の内側を通って腋の下に至る経絡。

① 両足を肩幅に開いて立つ。つま先はやや外側に向ける。両手の指を開いて手のひらを床に向ける。

② 手首を返して手のひらを上に向ける。ボールを抱え込むように胸に向かって持ち上げ、気を集める。
③ 再度手首を返し右手を真上、左手を真下に伸ばす。視線は上の手に向け、両手で引っ張り合うように。
経脉操2|大腸経を伸ばす
ストレッチに加え、声の振動で経絡を刺激
続いて、大腸経という経絡を伸ばす。腸をはじめとする消化器系の働きに深く関わる経絡だが、肺とも連携し、呼吸器系の働きにも影響する。伸ばすだけでなく、口を開けて声を出し、その振動刺激で大腸の働きを促すこともポイントに。
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人差し指から始まり前腕、上腕の外側を通って鼻に至る経絡。

① 両足を揃え「気をつけ」の姿勢をとる。両腕は自然に体側に垂らし、手のひらを太ももの外側に添える。

② 左右の腕を肩の高さで真横に伸ばす。指先までピンと伸ばし、左右の手で引っ張り合うつもりで。
③ 腕を外側にひねり指を開き、手のひらを上に向ける。このとき「アー」と声を出して大腸を刺激する。
経脉操3|小腸経を伸ばす
上下の動きで消化・吸収のエネルギーを確保する
3つめの経脉操は小腸経を伸ばす体操。小腸は西洋医学の解釈と同様、栄養の消化・吸収を行う器官のこと。小腸経の働きが乱れると、消化・吸収に必要なエネルギーの通り道が滞り、便秘や下痢などの反応が出やすくなる。上下運動でしっかり伸ばし機能を取り戻したい。
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小指からスタートし肘を通って肩、首すじから耳前に至る経絡。

① 両足を揃えて「気をつけ」の姿勢をとる。肩の力を抜いて両手は自然に太ももの外側に添える。

② 右足を一歩前に出し、右腕の肘を直角に曲げて肩の高さまで上げ、左肘を直角に曲げて後ろに引く。
③ 前に出した右拳をしっかり見つめながら、両膝をリズミカルに5回曲げ伸ばしする。反対側も同様に。
整腸運動|腸の気を収める
おヘソに手のひらのツボを当てて、お腹の気を収める
3つの経脉操を終えた後はシメに当たる“収功(しゅうこう)”を行う。言ってみればこれは気功における整理運動。刺激によって拡散した気を収めることが目的。ポイントは手のひらにあるリラックスのツボ・労宮(ろうきゅう)をお腹に当てて円を描くこと。女性は右手の労宮をお腹に当てて行う。

おヘソを中心にして最初は小さい円を描き、次に大きい円を描く。

① 立った姿勢で行うのがおすすめ。右手の労宮をおヘソに当て、左手を右手の甲に重ねてしばらく静止。
労宮は拳を握ったとき中指の先が当たる部分。男性は左手、女性は右手の労宮を当てる。

② おヘソを中心にして時計回りにゆっくり円を描く。小さい円で30秒間。次に大きい円でも30秒間。
③ 今度は反時計回りに円を描く。同様に小さい円で30秒間。次に大きい円で30秒間円を描く。
写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・武政 ヘア&メイク・美樹(ThreePEACE) モデル・高松怜(サトルジャパン) イラスト・作山依里(トキア企画) 取材、文・石飛カノ
anan 2504号(2026年7月15日発売)より































