女性も同意を取るもの? 途中で嫌になったら同意って翻してもいいの? 性的同意の素朴な疑問に、学生向けに性的同意にまつわる授業なども行っている助産師の櫻井裕子さんが答えます。スマートな同意の取り方や断り方、また断られたときの対応法なども書いているので、明るい性生活のご参考に!
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【CASE1】いいムードになってきた…セックスをしたいと思ったら、どんな場合や相手でも同意を取るべき?

A. 先に“したい”と思った側が同意を取るのがルール。
「行間を読む、みたいなこともありますが、性的なシーンは日常とはちょっと違うシチュエーションですので、ちゃんと確認したいところです。性別に関係なく、セックスしたいと先に思った側が、お誘いし、同意を取るのがベストだと思います。誘う側は、相手が気兼ねなくイエス・ノーを言えるような言い方、雰囲気で、誘うのが大事です」
【CASE2】どんどん段階が進んじゃってる…手を繋ぐ、キスなど、段階が進んでいくごとに相手の意思を確認する必要がある?
A. 本来はそうあってほしい。スマートな確認法の模索を。
「セックスはワンパッケージでなく、一つ一つは別の行為。例えば消しゴムを借りる同意を得ても、別の文房具を勝手に使っていいわけではない。セックスも、ある意味それと同じです。逐一“いいですか?”と聞いたり、“ここにサインを”という堅苦しいものではなく、それぞれがスマートな確認法を事前に決めておくといいと思います」
【CASE3】ステディな関係なら…長く付き合っている恋人や夫婦同士でも、毎回同意を取ることが必要?
A. どんな関係でも同意は必須。思い込みは捨てて。
「恋人でも夫婦でも、同意を取るべきです。2023年の刑法改正で、夫婦間でも不同意性交等罪が適用されることになったので、一方的な性行為は罪に問われる可能性があります。家族や恋人という間柄なら、セックスしたいと言われたらしなければいけないとか、いつでもしていい、といった刷り込みを、なくさなければいけません」
【CASE4】もう行為が始まっている…同意の上で始めたけれど、やっぱり挿入されたくない! と思ったら、途中で断ってもいい?

A. もちろん断っていいです。断られたときも受け入れを。
「前述のようにセックスは、1つOKしたら最後まで同意した、ということでは決してありません。いつでもキャンセルしていいし、逆に相手にキャンセルと言われたら受け入れるというのも大事。キャンセルを受け入れてくれない相手なら、他のことでもあなたは我慢させられている可能性もありますから、関係を見直してもいいと思います」
【CASE5】うまいこと説得されてしまった…「断りづらい雰囲気」に流され、頷いてしまったけれどこれは同意したといえるの?
A. 違います。流された同意は本当の同意ではありません。
「同意の基本は、“お互いに自由に、積極的に参加する”ということなので、これは同意ではありません。流されたあなたは決して悪くありません。落ち込むでしょうが、前に進み、もし話し合いができる間柄だったら、同じことが起こらないように後日思いを伝え、良い関係を構築するきっかけにできるといいですよね」
【CASE6】曖昧な返事をして後から後悔…最中に写真や動画を撮りたいと言われて、驚いて同意してしまったけど後悔。どう対応すればいい?
A. これは暴力です。消せるならばすぐに削除を。
「性行為を撮影することによって、どんなことが起こるかまで理解した上で、イエス/ノーを判断できたわけではないと思いますので、これは同意とはいえません。こういった動画や写真は一度拡散されたらもう止めようがない。相手のスマホを操作できるなら、コピーをとられる前になるべくあなたの手で削除をしてください」
困り事があったときは、専門機関に相談するのも手
「性被害に遭った場合はシャワーを浴びず、警察や病院、あるいはワンストップ支援センターにアクセスを。体が動かないときはまず電話を。こういった施設に連絡をするのは勇気が必要だと思いますが、訓練された人が寄り添ってくれますし、被害を訴えることが世の中を変えるきっかけに繋がるので、ぜひ相談してほしいです」
お話を伺った方
Profile
櫻井裕子
助産師。大学病院産科や産婦人科医院などでキャリアを積み、「さくらい助産院」を開業。講師や講演活動も行う。著書に『10代のための性の世界の歩き方』、共著に『性的同意は世界を救う』(共に時事通信出版局)。
Information
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
全国47都道府県それぞれに1つ以上設置されている施設で、こちら1か所に相談するだけで、病院や警察への付き添いに加え、必要がある場合は法的なサポートや心のケアなどにも繋いでくれる。下の番号をダイヤルすると、最寄りのセンターに繋がります。
共通電話相談無料ダイヤル#8891
anan2458号(2025年8月6日発売)より
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MAGAZINE マガジン

No.2458掲載
愛とSEX
2025年08月06日発売
平成景気のさなかの 1989 年。「女性ファッション誌」として、当時の女性の目線での SEX を特集。そのセンセーショナルな内容は、表紙を飾った金子國義さんのファッショナブルなイラストレーションと共に圧倒的支持を得ました。メンタル、フィジカル、メディカル、さまざまな視点から、愛と SEX をテーマに、時代の気分や社会状況なども反映させて特集してきました。現在も年間 50 冊以上の特集を刊行するanan の中で、一年を通じて最大部数を誇る名物企画。毎年、表紙とグラビアにご登場いただく方は、社会現象ともいうべき話題に。愛のある幸せな「SEX」を、年に 1 度、特集し続けています。