保冷剤は消臭剤として活用できる!? すぐに試せる再利用術&SDGs豆知識

ライフスタイル
2023.03.30
どんなモノも気持ちよく使い切る日々を描く、コミックエッセイ『おいもさんの捨てない生活』。その主人公・おいもさんの一日を通じて、すぐに試せる、捨てないための簡単な再利用術やSDGsに貢献する、覚えておきたい豆知識をご紹介。

小さな工夫もみんなでやれば大きく変わる。

アップサイクルは、不用品に新たな価値を加えて再生させること。ダウンサイクルは、不用品を別の用途で再利用して使い切ること。

「SDGsの目標12『つくる責任つかう責任』は、地球環境や人々の健全な生活を守るため、大量生産や大量消費に歯止めをかけることを目的としています。そのキーワードである『3R』とは、ゴミを減らす、モノを繰り返し使う、ゴミを資源として再利用する、という3つのアクションのこと。アップ&ダウンサイクルは、まさにこの目標と直結するでしょう。また、ゴミの焼却時にかかる温室効果ガス排出量の削減にもつながるので、目標13『気候変動に具体的な対策を』に貢献。さらに、海洋プラスチックゴミを防ぐことができるという意味で、目標14『海の豊かさを守ろう』にも寄与します。アップ&ダウンサイクルは、個人の小さな努力に思えるかもしれません。でも、この蓄積が大きなうねりとなり、社会や企業の姿勢を変えていく。一人の行動をみんなの行動に変えていくことが大切なのです」(慶應義塾大学大学院教授・蟹江憲史さん)

POINT1:着なくなった洋服は捨てずにウエスで再利用。

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大量生産、大量消費の中でも衣料品は大きな問題に。

「季節ごとにセールがあるということは、そのぶん大量に廃棄しなければいけない洋服があるということの裏返し。個人でできる工夫として、不要になった洋服をウエス(雑巾)などにダウンサイクルするのは、ゴミ削減に有効です」

再利用の際は、素材の特徴ごとに使い分けるのも◎。

「ほかにも不要な洋服を活用する方法はいろいろあります。最近はショップに古着の回収ボックスを置いているところがあるので、そこに出すのも一手。また、途上国など必要としている人に寄付するという方法もあります。あとはフリマサイトに出品するのもいいでしょう。いくらか収入が得られて一石二鳥です」

POINT2:持て余している保冷剤を消臭剤にアレンジ!

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気づくと冷凍庫に溜まっている保冷剤は、中身を空き瓶に出せば消臭剤として活用可。

「そんなふうに再利用するのはもちろん、もらう場面と断る場面を使い分けるといいと思います。持ち歩き時間が短く必要ないと思った時や、店員さんが保冷したい時間以上に保冷剤を入れてくれようとした時には、断るようにしましょう。何重ものラッピングや、手土産を渡す時用に余分にくれる袋など、過剰包装にも言えることです」

見た目はいいとは思うが、すぐに捨てられてしまうものでもあるので、環境に悪影響。

「日頃の買い物も、例えば野菜は地元のファーマーズマーケットで買うなど、なるべくパッケージの少ないものを選ぶように心がけましょう」

POINT3:持ち歩きでプラスチックゴミを削減。

ビニール傘のおもな素材はプラスチック。ほかにもペットボトルなど、プラスチック製のものは身近に溢れているが、それらが廃棄された時の“プラスチックゴミ”をいかに減らすかが、持続可能な社会を目指すうえでの命題に。

「プラスチックは焼却すると、地球温暖化の一因である温室効果ガスを排出します。また、容器や洋服など、さまざまなものの素材として使われていて、それらがゴミとなって海に浮遊すると、海洋汚染につながってしまう。こうした事態を避けるためにも、例えばビニール傘を買わずに済むように、雨が降りそうな日は折り畳み傘を持ち歩いたり、ペットボトルを使い捨てるのではなく、マイボトルを携帯したりしましょう」

POINT4:使用頻度の少ない口紅はリップバームに。

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買ってみたものの色が合わないなど、持て余している口紅は誰しもあるのでは。そんな時に試したいのが、リップバームへのアップサイクル。

「使わないからとすぐに捨てずに、こうして再利用することで、ゴミを減らしていく工夫は大切です。小さなことのように感じるかもしれませんが、みんなでやればかなりの量になりますからね」

美容分野では、こんな脱プラスチックの動きもあるそう。

「例えば、日焼け止めにはプラスチックが含まれていることが多いのですが、最近は海に優しい“プラスチックフリー”の製品を目にするように。また、歯ブラシの柄は一般的にはプラスチックで作られていますが、なかには木製のものも出てきています」

POINT5:生産の背景がわかる認証マークに注目。

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そもそも買い物をする時に、どんな工程を辿ってできた商品なのかを知ることも大事。

「例えば、環境に配慮して作られたものであれば、将来的にアップ&ダウンサイクルした時にも、より環境への負荷が減らせます。そんな地球に優しい商品を選ぶには“認証マーク”が目印になります」

例えばこんなマークが!

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国際フェアトレード認証ラベル
フェアトレードは、生産者が美味しいもの・品質の良いものを作り続けていくために、生産者の労働環境と生活水準の向上、自然環境の保護をサポートする、持続可能な生産と取引のしくみのこと。

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MSC「海のエコラベル」
魚や貝、エビやカニといった水産物が、過剰漁獲によって枯渇してしまわないように、第三者の審査機関による審査によって認証された持続可能な漁業で、海の環境を守りながら獲られていることを表す。

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FSC(R)マーク
適切に管理された森林の木や、リサイクル資源から作られた木材製品につけられるマーク。森林の生態系や、そこで働く人の権利が守られている表れで、このマークがついている製品を買うと、森林保護に貢献可。

POINT6:食材を使いきって食品ロス対策。

洋服の廃棄やプラスチックゴミとともに、問題となっているのが“食品ロス”。

「これは生産プロセスの中で出てくる食品廃棄や、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。家庭等からの食品廃棄対策として、余った食材でベジブロスを作ってみるのは有効です。小さなことではありますが、塵も積もれば山となる。『環境のために』などカタく考えず、楽しみながら取り入れると◎」

そもそも、食べ物の買いすぎには注意すること。

「自分や家族が食べきれる量を把握して、買い物をしましょう。また、賞味期限が切れても“消費期限”が切れていなくて、色や臭いに問題がなければ使えるものもあるので、むやみに捨てないように」

蟹江憲史さん 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。日本におけるSDGs研究の第一人者。SDGs関連の政府委員も多数務める。『SDGs(持続可能な開発目標)』(中央公論新社)など、SDGsに関する著書多数。

※『anan』2023年4月5日号より。マンガ・安野いもこ 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)

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