意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「内密出産」です。

命を守るために、ルールが整備され、合法化された。

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内密出産とは、匿名での出産を望む妊婦が、病院にだけ身元を明かして出産すること。9月末に国は内密出産の初のガイドラインを示しました。

これまで内密出産は、違法の可能性がありました。2021年、熊本市の慈恵病院が未成年の女性の匿名での出産を受け入れ、世に是非を問う形で流れが変わりました。

赤ちゃんが生まれると出生届を出しますが、病院が母親に代わり届け出をするときに、母親の名前を知りながら空欄にするのは法律に抵触します。また、帝王切開になった場合、本人と家族の同意が必要ですが、内密出産の場合には家族と相談できない状況にあり、万一手術で母親が亡くなってしまったら、病院が家族から損害賠償を請求される可能性がありました。生まれた子供が成人して自分の出自を知りたいと思ったときに、身元を開示するのかなど、ルールがないと、病院の請け負うリスクが大きく、受け入れが難しかったんですね。

しかし、病院が内密出産を受け入れなければ、尊い命が失われます。誰にも頼れずに母親がトイレで産み落とし、赤ちゃんを殺してしまうような事件も。慈恵病院が赤ちゃんポスト(育てることができない赤ちゃんを、母親が匿名で託すことができる施設)の運用を始めたのも、社会問題化している孤立出産を解決したいという思いからでした。

内密出産のガイドラインには、慈恵病院の例をベースに、母親の氏名や身元を病院内で適切に管理すること、親や医師が出生届を出さなくても、市区町村長の権限で戸籍が作れること、仮名でカルテを書いても医師法に問われないことなどが盛り込まれました。

内密出産の希望者は潜在的に多くいるといわれています。望まない妊娠に悩んだら、各自治体の妊娠相談ホットラインを利用してほしいと思います。妊娠したかもしれないという段階での相談も受け付けています。

これらの情報も、性教育とともに義務教育のなかできちんと伝えるべきでしょう。孤立出産で事件が起きると、母親が加害者として罪に問われますが、男性の側に責任追及がなされないというのも大きな問題だと思います。

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ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2022年11月2日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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