相手を励ます、応援する“声がけフレーズ”
既に起きてしまったことに落ち込んでいる時。励ましの言葉は伝え方次第で負担になることも。心に寄り添う言葉を、肯定的な態度で表現しよう。
人を励ますのによく使われる「頑張れ」という言葉は、相手の状況によっては逆効果になり得ることも。
「既に頑張っている人に言ってしまうと“これ以上何を頑張ったらいいの?”と不快な気持ちにさせかねないし、他人事のように聞こえ、無責任に言っていると捉えられてしまう場合もあります。相手のことを想い、いつも見ているのだということが伝わる言葉が適切です」
また、声がけをする際はタイミングの見極めも大切。
「ショックなことがあった直後は、精神的ダメージから励ましの言葉が負担になりやすい。そんな時は耳を傾け、頷く、微笑むなど、肯定的な態度をとり“見守ってあげたい”という意思を示して。励ましや応援の言葉は、ある程度気持ちが落ち着いた段階でかけましょう」
仕事で失敗してしまった時
挑戦したことは、必ず次に生かせるはず。
相手は失敗してしまった、という結果に囚われている状態。そこに行き着くまでの過程に目を向けさせて。「失敗して落ち込んでいるということは、それだけ挑戦したという証しなんですよね。頑張ってきたことを肯定する言葉を伝えてあげて」
病気にかかって気持ちが落ちている時
ゆっくり休む時間が必要だよ。
病気になると仕事を休む罪悪感や「早く治さなければ」という焦りを抱えがち。「まずは“大丈夫?”と寄り添う気持ちを示すことが大切。そして回復を願う気持ちを伝え、相手が安心して養生しようと思える言葉をかけるといいでしょう」
理不尽な目に遭って傷ついている時
絶対他人にはしない! って学んだね。
他人に理不尽な目に遭わされると、悔しさや悲しさがつきまとう。負の感情を解放する手助けになるフレーズを。「ネガティブな感情を“こんなにも私は傷ついた。自分ならこんなことを人にはしない”という学びへと“転換”させてあげましょう」
入試や資格試験に落ちてしまった時
残念だったけど、新しい選択をするチャンスかも。
「残念だったね」という言葉でまずは相手の悲しみを受容するのがポイント。「すぐに『次があるよ』と言うのは相手にとっては負担になりかねない。“~かも”という柔らかいニュアンスで、違う道への可能性もあることを示唆して」
忙しくて疲れ果てている時
これが終わったら、やりたいことしようね!
疲弊している人に必要なのは、耳を傾けて話を聞き、そして支援すること。「忙しさは代わってあげられないもの。必ず幕は下りると思えるようになれば、頑張ろうという気になりやすい。忙しい時期が終わった後をイメージさせる言葉は励みに」
目標や夢に挫折した時
よく頑張ったね。人生の充電期間がきたんだよ。
まずはともあれねぎらいの言葉をかけよう。「『頑張ったね』という言葉がこういう時はやはり心に刺さります。努力する姿を見てくれていた人がいるのも嬉しいはず。次の目標が見つかるまで自分のペースでいてもいいんだよ、と休息を促してあげて」
過去のトラウマを引きずっている時
辛い過去は、未来へのギフトだよ。
心の傷のせいで前向きになれない人には、自分を許すことを促し、嫌な過去から解放してあげる声がけを意識して。「トラウマに囚われているより、それが未来への教訓=ギフトだと思えたほうが幸せに生きられます。視点を変えてあげましょう」
大切な人を失ってしまった時
無理しないで、心のままに落ち込んでいいんだよ。
喪失を経験した直後は、一緒になって悲しみ、相手のありのままの感情に寄り添ってあげよう。「我慢せず感情を出し切ることが大事。泣くのは心の回復にも繋がります。“今は落ち込んでいていいんだ”と思えることが、心が軽くなる手助けに」
なかしま・てる 心理カウンセラー、自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。『自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ)など、著書は累計販売58万部を突破。近著に『自分を取り戻すゆるい逃げ方』(学研プラス)が。
※『anan』2022年10月5日号より。イラスト・すやまゆうか 取材、文・間宮寧子
(by anan編集部)