デジタルの力で地方から日本を元気に。
堀潤(以下、堀):2021年はデジタル庁が立ち上がりました。岸田政権では「デジタル田園都市国家構想」を掲げています。デジタルを使い、都市部と地方の格差をなくして、地方を活性化させようという構想です。日本経済を復活させるには、地方が元気にならないといけないんですね。
五月女ケイ子(以下、五月女):私は山口県出身なんですが、先日娘に、「田舎は東京と全然違うんだよ」って話をしたんです。テレビ番組でも映画やお芝居、ライブでも、触れられるものが限られていました。文化的にすごく差があったんです。でも、今はTVerでどこでも同じ番組が見られて、Amazonを使えば珍しい本も手に入る。配信ライブもあるし、私の子供のころとだいぶ違うぞ? と気づきました。
堀:これからは「地方創生×デジタル」がキーワードになって、ますます地方との距離はなくなると思います。地方で寝たきりのおばあちゃんの、毎日の体温を東京のお孫さんがウォッチできるようになるとか。地域から直接世界に向けて、SNSを使って地元の魅力を発信するようなことも増えてきていますよね。
五月女:そういう動きに国は補助をしているんですか?
堀:デジタル庁は、地域の細かな仕掛け作りをしている最中ですね。5Gなどのインフラ整備、遠隔医療や教育、スマート農業、交付金を出したりデジタル活用支援員を全国に展開しています。また、少し先の話をすると、政府はムーンショット目標というのを掲げているんです。
五月女:初めて聞く言葉です。
堀:2050年までに、人が体や脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現するというものなんですね。
五月女:え? どういうことですか?
堀:たとえば、五月女さんのアバターたちが、仮想空間のなかでお仕事を受けて、五月女さんの技術を使ってイラストを勝手に描いてくれるとか。
五月女:私が2人いるということ?
堀:何人でも使えます。
五月女:それいい! PTAやママ友とのやりとりにも使えて便利ですね(笑)。
堀:いいですね(笑)。ムーンショット目標に向けて、アバターやBMIといった世界がこれから様々な分野で裾野を広げていくと思います。
2022年は「宇宙」がキーワード。新しい事業に投資も盛り上がるかも。
堀:2022年は、「宇宙」に関するニュースが目白押しなんです。
五月女:宇宙ですか!
堀:まず、大分空港がアジアで初めて水平型宇宙港の準備をスタートさせます。ロケットを搭載した飛行機の離着陸をする場所に選ばれたんですね。アメリカの民間ロケット企業のヴァージン・オービットと提携して、2022年には人工衛星を打ち上げる計画があるそうです。
五月女:大分から宇宙ですか。すごい!
堀:また、海外に話を広げると、2022年には中国の宇宙ステーション「天宮」が完成します。そして、インドが有人宇宙船を打ち上げる計画もあります。ロシア、アメリカ、中国につぎ、4番目の飛行になります。
五月女:世界的に宇宙イヤーなんですね。
堀:アメリカは2019年に宇宙軍を創設しましたが、日本では’20年に自衛隊府中基地に「宇宙作戦隊」を発足しました。’22年度には、山口県防府市に第2宇宙作戦隊を新設します。
五月女:なんだかSF映画のような世界が現実になっていっているんですね。
堀:民間発の月面探査チームHAKUTOは、HAKUTO‐Rという新たなプロジェクトを立ち上げて、2022年にロケット打ち上げ、月面に着陸してサンプルを採集する予定。ですから、宇宙に対する投資も加速していくでしょうし、宇宙がより近く感じられる年になるんじゃないかと思います。
五月女:宇宙って、いくらくらいで行けるんですか?
堀:いまなら何千万円単位でしょうね。
五月女:小学生の娘が大人になるころは、もう少しリーズナブルになりますか?
堀:そうですね。国費で海外留学みたいなイメージで、いつか子供たちを宇宙に連れていってほしいですね。
五月女:修学旅行先が宇宙とか?(笑) そんな子供たちが大人になったらきっと世界は変わりますね!
ほり・じゅん ジャーナリスト。「8bitNews」代表。「GARDEN Journalism」主宰。『モーニングFLAG』(TOKYO MX)、「ABEMA Prime」(ABEMA)ほか、レギュラー多数。
そおとめ・けいこ イラストレーター。オンラインストア「五月女百貨店」では、新年の商品も取り揃えている。LINE スタンプも展開。『乙女のサバイバル手帖』(平凡社)が発売中。
※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 取材、文・黒瀬朋子
(by anan編集部)