社会のじかん

これからは“技能者”の時代? 日本の若者も奮闘する「技能五輪」とは

ライフスタイル
2021.02.18
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「技能五輪」です。

今後は技能の時代。明るい未来を担う若者に期待。

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「技能五輪全国大会」は、原則23歳以下の技能者を対象に、技能を競い合う大会です。競技課題は機械系、金属系、建設・建築系、電子技術系、情報通信系、サービス・ファッション系に分かれており、機械組立て、機械製図、自動車工、時計修理、車体塗装、配管、建築大工、造園、電子機器組立て、ウェブデザイン、美容、理容、洋裁、洋菓子製造、レストランサービスなど多岐にわたり、全部で42職種あります。

技能五輪を主催しているのは、厚生労働省と中央職業能力開発協会。技能者に努力目標を与え、一般に技能の大切さを伝え、技能を尊重する機運を作ることを目的にしています。1963年から毎年開催されていて、偶数年は技能五輪国際大会の出場選手の選考も兼ねています。2019年に行われた技能五輪国際大会では、「情報ネットワーク施工」と「産業機械組立て」部門で日本は金賞を受賞、ほか銀賞3つ、銅賞を6つ獲得するなど、世界のなかでも奮闘しているんですね。

日本は戦後、技能の力で成長してきました。ところが金融などの産業が次第に成長するにつれ、ホワイトカラーのほうがもてはやされていきました。技能五輪の参加者も1973年の808人をピークに、‘90年には319人まで減ってしまいました。ところがバブル崩壊以降、ホワイトカラーが大量リストラされるようになると、再びブルーカラーの職種に注目が集まり、ものづくりへの関心が高まっていきました。平成は、大切な技能者を「コスト」とみなし、痛めつけてきた時代でもありました。それが日本の成長を低下させた一因になっていたと思います。

最近は製造業や金融業の業績が振るわず、エンジニアが市場に流出しています。そんななか、IT業界では10~20代の、フリーランスのITエンジニアが増えています。企業に属さず、個人事業主やフリーという働き方が認知され、プロジェクトごとに雇われる形態が支持されているのです。技能があれば国内外を問わず、どこでも働けます。いまこそ技能者。これからは確かな技能が学べる場が必要になるでしょう。教育現場も、一般教養から技能重視に変わっていくかもしれません。

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堀潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『モーニングCROSS』(TOKYO MX 平日7:00~8:00)にメインキャスターとして出演中。

※『anan』2021年2月24日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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