意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「災害関連死」です。

直接死を上回る死。明日の我が身の自衛を心がけよう。

society

3月11日で東日本大震災から丸9年経ちます。震災を機に注目されるようになったのが「災害関連死」でした。地震や津波で命を落とすのは「直接死」ですが、その後の長引く避難生活や生活環境の変化により、持病を悪化させたり、孤独死してしまったケースを「災害関連死」「震災関連死」と呼びます。これには自殺も含まれます。

自宅で安定した生活をしていれば、たとえば、血圧もコントロールできますが、避難生活を強いられ、おにぎりとお菓子しかない食事が続けば、たちまちコントロールがきかなくなります。避難所から復興住宅や仮設住宅に移り、地域の仲間もバラバラ、家族もなく、隣近所も知らない人ばかりのプレハブ小屋の生活が長引けば、寂しさが募り、お菓子を食べ続けてしまうなどして症状を悪くさせることもあるでしょう。福島で原発作業に携わっていた人のなかには、過酷な労働環境のなか、限られた食生活で長期の作業を強いられ、体調を悪化させた人が大勢いました。

震災後、東京大学から志願して相馬中央病院に出向した坪倉正治医師は、「原発事故以降の健康被害といえば、放射線の影響ばかりクローズアップされるが、実際に亡くなった方の原因の多くは、持病の生活習慣病の悪化である」と語っています。令和元年9月現在、福島県では直接死の1613人に対して、災害関連死は2286人と、大きく上回りました。災害関連死で亡くなった方は、地域のコミュニティをまるごと移管して街づくりをするとか、お年寄りを孤立させないよう積極的に声がけをするなど、きめ細かな支援をすれば救えたかもしれません。

災害に遭い、幸い生き延びたとしてもその後の環境により死者が生まれていることはぜひ覚えておいてください。

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災害が起きれば、普段当たり前にできていることがすべて崩れます。水が手に入らず、毎日炭酸飲料を飲むことになるかもしれません。いつもの化粧品や薬、嗜好品が手に入らなくなるかもしれません。家族が孤立をしてしまうかもしれません。普段から近隣の方と挨拶しておくなど、日常を維持できなくなったときのことをイメージして自衛しておくことをお勧めします。

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堀 潤 ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)公開中。

※『anan』2020年3月18日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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