冷えと乾燥。北極と砂漠。2つの関係は一見アンビバレントに見えて、実は密接な繋がりがある。冷えの症状が高じることで乾燥に繋がり、乾燥の症状が転じてまた冷えに繋がる、まさにいたちごっこのような関係性。
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まず最初に忍び寄るのはこの先さらに厳しくなる寒さによる冷え。
「ひと口に冷えと言っても、その原因は年代によって異なります。20~30代の女性の場合、冷えの多くの原因はストレスにあります」と言うのは東洋医学のオーソリティ、伊藤和憲さん。
「ストレスで冷えの症状が出て、それでも頑張りすぎると今度は代謝が落ちて乾燥の症状が現れます。冷えの行き着く先が乾燥といってもいいのです」
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若い女性の冷えの主な原因はストレス。放っておくと内臓も冷えていく?
20~30代女性の冷えの主な原因はストレス。明治国際医療大学教授・伊藤和憲さんによると、そのメカニズムは以下の通り。
「ストレスがかかると、自律神経のうちの交感神経が優位な状態になります。交感神経は血管を収縮させる働きがあるので、長期間この状態が続くと全身の血管や筋肉が収縮して血流が悪くなります。その結果、冷えの症状が現れるのです。とくに手足の血管は細く循環が悪いため、最初に冷えの症状が見られるのが手や足の末端です」
ただ単純に冬の寒さで手足が冷えているのであれば、暖かい室内に入って30分ほどで元に戻る。いつまでも手足が冷たいままなら、それはストレスによる冷え。
「また、ストレス冷えが半年、1年と続くと今度は内臓の血流も悪くなってきます。子宮や卵巣などの女性器と脚腰を支配しているのは同じ神経。だから腰や下腹部など体の中心に冷えの症状が現れます。これは本来40代くらいの女性に見られる冷えですが、若い女性でもストレスによって生理不順などが続くと、このような内臓冷えが見られることも」
放っておくと婦人科系のトラブルに陥るリスクもあるとか。たかが冷え? されど冷え!
ストレス冷えが高じると、やがて肌のカサつきや炎症に繋がる。
冷えが交感神経の過剰反応だとしたら、乾燥の原因は副交感神経が優位になりすぎることにある。
「今のストレス社会では7~8割くらいの人は交感神経が優位なタイプ。でも、ストレスがかかった状態で頑張りすぎると、気力が尽きてだるくなり朝起きられなくなります。これが副交感神経が優位になりすぎた状態です」
副交感神経が優位になると、白血球のうちのリンパ球が血液中に増える。すると、自分の細胞を異物と誤って攻撃し、肌がカサついたり炎症が起こる。これが乾燥のメカニズム。
「まず乾燥によって皮膚に粉がふいたりかゆみを感じます。それが進むと赤く腫れたり熱が発生して炎症が起こります。さらに進むとアトピー性皮膚炎のように黒い色素が肌に沈着することも」
冬は気象条件的にも乾燥し、街の都市化でさらに乾燥状態に。そこにもってきて副交感神経の過剰反応が加わると、トリプル作用でますます乾燥は進む。
「冷えが高じて乾燥や炎症が起こると、これを冷やそうと体に水分が溜まり、また冷えの症状に陥ってしまいます」
世にも恐ろしい負のループに陥らないよう、今すぐに対策を。
いとう・かずのり 明治国際医療大学教授。鍼灸学部学部長。セルフケアの重要性を説き、女性が内側から美しくなるためのメソッドをセミナーなどで提供。鍼灸や痛み治療に関する著書も多数。
※『anan』2019年12月11日号より。写真・Getty Images 取材、文・石飛カノ
(by anan編集部)