目的は様々あるが適材適所、柔軟な対応を望みたい。
内閣改造とは、複数の国務大臣を一度に替えることを指し、内閣総理大臣が任命します。今年の9月に第4次安倍内閣の第2次改造が行われました。改造する理由はいくつかありますが、まず、政策をスムーズに実行するため。「国難突破内閣」では、少子高齢化対策と、核実験やミサイル発射を頻繁に行っていた北朝鮮対策に特化した人事を行い、「女性活躍推進内閣」のときには、女性活躍担当大臣を置いたり、女性閣僚を増やしたりしました。
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内閣改造の目的には、リフレッシュもあります。不祥事が続いたときにイメージを一新させる、政権の支持率が停滞したころに人気を回復させたいなど。長期政権が続けば内閣も膠着しますから、新しい風を吹き込むことは大事です。今回、環境大臣に小泉進次郎氏が任命されたのは、人気獲得も大きな目的の一つだったといわれています。
官僚は優秀ですから、誰が大臣になっても省内の仕事は回ります。しかし、「これから勉強します」という姿勢で大臣職に就くなど専門外の方もときどきおり、適材適所の人事なのか疑問視されることもあります。第2次改造内閣では、情報通信技術(IT)政策担当に当時78歳の竹本直一氏が任命されたことが注目を集めました。印鑑を守る業界のトップでもある竹本大臣が、デジタル認証と印鑑の共存・共栄を目指すと話したためです。このように、内閣改造には、ベテラン議員に大臣職を経験させて、選挙での票獲得に役立てたいという側面も実際にはあります。自民党には大勢の入閣待機組がおり、第2次内閣改造では14人が初入閣を果たしました(10月に2人が辞任)。
一方、河野太郎外務大臣は防衛大臣に、茂木敏充経済再生担当大臣は外務大臣にスライドしました。外交・防衛と経済政策はほぼ一体化しているので、配置の入れ替えは問題ありません。河野氏が防衛大臣になったことで、台風災害の対応は瞬時に実行され、自衛隊の派遣スピードが早まりました。SNSを使って活動の様子がリアルタイムで伝えられたので、被災者の方々の安心につながりました。国内外の刻一刻と変わる情勢に対して、柔軟に対応できる内閣であってほしいと願います。
ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げる。9月、3つ目の新会社「わたしをことばにする研究所」を設立。
※『anan』2019年12月4日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子
(by anan編集部)