意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「死刑制度」です。
社会のじかん

世界は廃止が主流。加害者の人権をどう捉えるか。

1989年~‘95年に起きた一連のオウム真理教事件。関連する刑事裁判がすべて終結し、麻原彰晃死刑囚をはじめ、死刑が確定した13人の刑の執行もまもなく行われるといわれています。

日本の死刑の歴史は古く、5世紀の仁徳天皇時代からあり、現在の刑法に定められたのは明治40年です。

しかし、世界では死刑制度は廃止の方向に進んでいます。1990年時点で、死刑制度のあった国は96か国、廃止国は80か国。2009年には死刑存置国は58か国に減り、廃止国は139か国に増えました。イギリス、フランス、ドイツなど、ベラルーシ以外の欧州諸国や南米諸国は廃止。アフリカでも廃止国が増えており、アメリカで死刑が存置されているのは一部の州のみです。中国も国際社会からの批判を受け、適用を厳格化することにしました。

多くの国が死刑制度を廃止にした主な理由は、人権的な問題と、実は死刑が凶悪犯罪の抑止力にはならないと証明されたからです。

国連人権理事会は、日本政府にも死刑制度の廃止や一時停止の勧告を行いましたが、政府は世論が求めていないからと、検討する構えを見せていません。平成26年度の内閣府の世論調査によると、80.3%の人が「死刑もやむを得ない」と答えました。「死刑は廃止すべき」が9.7%、「わからない、一概にいえない」が9.9%。「やむを得ない」と答えた人のうち5割以上の人が、その理由を「被害者やその家族の気持ちがおさまらない」「凶悪な犯罪は命をもって償うべき」としています。そして、「死刑を廃止すると、凶悪犯罪が増える」と考える人が57.7%いました。しかし一方で、袴田事件や名張毒ぶどう酒事件といった死刑判決が確定した事件が、再審でのDNA鑑定により冤罪だったことなど、問題も複数起きており見過ごせません。

日弁連は、人権擁護の観点から死刑制度廃止を訴え続けていて、再来年、国連犯罪防止刑事司法会議が日本で開催されるまでに、進展を見せたいと考えています。加害者とはいえ、人が人を殺してもよいのか。終身刑ではなく、死刑でなくてはならない理由は何か? みなさんはどう思いますか?

堀

堀潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。

※『anan』2018年5月23日号より。写真・中島慶子 題字&イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)


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