夜型でも心配なし! プロが教える自分に合った“睡眠”のとり方

ライフスタイル
2017.11.22
眠りを変えれば、人生が変わる。最新科学で、極上の睡眠を! 今回は、“睡眠のプロ”に驚きの新常識をご紹介していただきます。
睡眠

寝ないと脳も身体ダメージもリフレッシュできない。

そもそも睡眠は、人間にとってどうして必要なのだろう。

「体を休めるだけなら、単に横になっているだけでもいいはずですよね。そうじゃないのは、眠っている時にしかできないことをしているからです。それは、脳と体と精神のメンテナンス。脳内では、起きている時に得たさまざまな情報を整理するなど、記憶の固定化が行われています」(筑波大学教授・櫻井武先生)

一方、体で行われているのは?

「免疫力を高める作業です。これにより、風邪などのウイルスから体を守ります。また、寒さや暑さなど外部環境が変わっても、体温や体重が一定に保てるようにと、エネルギー恒常性と呼ばれる機能を調整。さらに睡眠によって、健全な精神も維持されているのです。このように、寝ている間には、人間が健やかに活動をするうえで必要なメンテナンスが、さまざまに行われています」(櫻井先生)

睡眠状態、実は夜型でもOK。

「朝活」という言葉もあるように、朝型でいたほうが、健康にいいようなイメージもあるけれど…。

「人間の体は、『概日時計』と呼ばれる体内時計でコントロールされていて、24時間+10分くらいの周期でリズムを刻んでいます。これによって、起きてから約16時間後に眠気が訪れます。体内時計は、光によってリセットされるため、毎日同じくらいの時間に朝日を浴びて、生活のリズムを整えようという朝型が支持されているのだと思いますが、実はリセットするきっかけは、光なら朝日でなくてもいいんです。たとえば深夜2時に寝て午前9時に起きるという生活でも、毎日そのサイクルなら大丈夫。問題なのは、毎日起きる時間が1時間以上変化してしまうこと。そういった生活の乱れがなく、最初の深いノンレム睡眠もしっかりとれていれば、夜型でも何ら心配はありません」(櫻井先生)

寝る前に急に元気になるのは理由がある。

夜になると目が冴えて、映画を観たり掃除をしたり、いろいろやりたくなってしまう、という経験がある人もいるのでは?

「それも体内時計によるものです。起きてから16時間後くらいに眠くなるとお話ししましたが、その2~3時間前に“眠くならない”という周期に入ります。なぜそうなるのかというと、長い時間起きていると溜まってくる睡眠負債に対抗しようと、体内時計が覚醒の方向に強く働くからでしょう。ただ、元気になったからといって映画を観るなど興奮してしまうことをすると、その数時間後にやってくる眠りのサイクルにスムーズに入れないので我慢を」(櫻井先生)

良睡眠はパフォーマンスに明らかに差が出る。

質の良い睡眠をとると、日常生活でメリットがいっぱい!

「肌の活性には成長ホルモンが必要なので、睡眠がしっかりとれていれば、肌ツヤも良くなるでしょう。健康面では、高血圧や糖尿病などのリスクが低減。また、あまりイライラすることもなく、穏やかな気持ちに」(櫻井先生)

そして、明らかに実感できるのは、日々のパフォーマンスの向上。

「きちんと眠れた次の日は、記憶力や集中力が上がって仕事がはかどるなど、自分が本来持っている能力を十分に発揮できます。また、反射神経も良くなるので、相手のリアクションに敏感に対応できるでしょう。このように、いい状態で日常生活を送れることが、良睡眠がとれているということの証。自分に最適な睡眠時間やサイクルの目安は、起きている間のパフォーマンスの良し悪しを参考にしてください」(医師・白濱龍太郎先生)

櫻井 武先生 筑波大学教授。世界トップレベルの研究施設「国際統合睡眠医科学研究機構」副機構長。著書は『睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか』(講談社)など。

白濱龍太郎先生 医師。睡眠など専門クリニック「RESM新横浜」院長。著書は『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)など。

※『anan』2017年11月29日号より。写真・中島慶子 イラスト・山中玲奈 文・保手濱奈美

(by anan編集部)


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