「PAYSAGE」とは「景色」の意味。たとえば清らかな自然や溢れる笑顔……誰の心にもある思い出の景色を、江藤英樹シェフのお菓子は幸せな記憶のかけらみたいに、味や香りで呼び覚ましてくれる。催事ではクッキー缶やパフェが行列を呼び、デザートコースは即満席の人気ブランドが、立ち上げから3年、ついに今冬実店舗をオープン! しかも新たにパティスリーやアフタヌーンティーまで始めるとして、お菓子好きたちを熱狂させている。
江藤シェフは『ティエリー・マルクス』など、数々の星付きレストランで活躍してきたが、いつどこでも自然の恵みを尊んできた。「僕のお菓子のルーツはイギリスで過ごした幼少期の景色。植物園やラズベリー摘みで味わった、自然の色や香りにあるんです」。新作〈ガーデン〉はそんな思い出の結晶。主役は5か国の茶葉とベリーなどをブレンドしたオリジナルの紅茶だ。穏やかで芯のある香りを放つお茶を、生クリームで煮出してミルクティーみたいなムースに。生地にも茶葉を砂糖と一緒に粉砕して忍ばせた。口にすると、舌にふわっと溶け広がる野の香り。花の蜜を思わせる柔らかな風味とフランボワーズの甘酸っぱさを、草原に吹く風みたいにハーバルな清香が追ってきて、なんとも可憐! イギリスに行ったことがなくても無性に懐かしく、温かな気分にさせられる。
右・ナッツを限界までたっぷり入れた贅沢ガレットのアソート、「ガレットグルマンディーズ」¥3,024(16枚入り)。手前から、トンカアマンド(トンカ豆とアーモンド)、アールグレイノワ(アールグレイと胡桃)、ピスタチオ(香り高いシシリー産ピスタチオをホール、パウダー、ペーストで)。気泡をあえて入れているおかげで、サクサク軽いテクスチャー。左・「ガーデン」¥972。
PAYSAGE 代官山本店 東京都渋谷区代官山町20‐23 Forestgate Daikanyama TEL:03・6455・2515 11:00~19:00 月曜休 今冬オープン予定。伊勢丹新宿店が11/1先行オープン(テイクアウトのみ)。インスタグラムは@paysage_he
チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。
※『anan』2023年11月1日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・野崎未菜美 取材、文・chico 撮影協力・UTUWA
(by anan編集部)