昨年12月、本郷の商店街にオープンした小さなイタリアンレストラン。笑顔の爽やかな夫婦が実はなかなかの実力派だと評判。池田光寿シェフは東京・広尾『アロマフレスカ』で個性的な野菜使いに接し、イタリアで郷土料理の奥深さを学んだ。奥様の美穂さんはイタリアワインを学び、イタリアのソムリエ資格を取得。紆余曲折を経て「東京に店を出す」という夢を叶えた。それだけに想いがたくさん詰まっている。
それはメニューを見ればわかる。季節の魚介類や野菜がずらりと並ぶ。特に野菜は山菜から西洋野菜まで30種類ほど。料理が出てくると一気にテーブルの上が華やぐ。ピンクのボタンエビと赤みを帯びたタロッコオレンジをサラダ仕立てにした前菜の色鮮やかなこと! 「菜園風スパゲティ 春」は緑色の野菜だけで春を表現。その時期に美味しい10種類前後の緑野菜を使う。思い切った野菜使いは『アロマフレスカ』を思い出させる。「そう言われるのはとても嬉しい。僕が上京した約20年前、東京で一番話題の店が『アロマフレスカ』でした」。3年間、原田慎次シェフの横に張り付いて得たものは大きい。そして私が今とっても気になるのはリゾット。「米料理の奥深さを知ってほしい」というシェフの超おすすめも食べなくちゃ!
手前左・菜園風スパゲティ 春¥1,980。毎日使う野菜が違うので、一期一会の味。コロナ禍だからこそ生まれた野菜たっぷりのメニュー。手前右・ういきょうとタロッコオレンジとボタンエビのインサラータ¥1,870。奥・ホワイトアスパラガスのオーブン焼き フォンティーナ カルボナーラ仕立て¥2,750。グラスワインは¥990~。アラカルトは1皿2人分あるので、取り分けての提供も可能。
canade 東京都文京区本郷2‐31‐3 二木ビル1F TEL:070・3843・8393 17:30~23:00LO 日曜休
いぬかい・ゆみこ レストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。
※『anan』2021年4月28日号より。写真・清水奈緒 取材、文・犬養裕美子
(by anan編集部)