身近な食材を使うスープで、熱や水分、ストレスを排出。
涼しくなってきて体もラクに…と思いきや、なかなか疲れが抜けないという声が多いこの時期。国際中医師の資格を持つ料理研究家の石澤清美さんに、夏の終わりの疲労、いわゆる秋バテの原因と、ケアのための食養生を教わります。
「まず、体に残った夏の暑さによって、活動の原動力である“気”が損なわれているのが大きな原因。緩和には、体に潤いを与えて熱を鎮める、とろみのある食べ物が効果的です。また、冷たいものの摂りすぎで気を作り出す役割のある消化機能、“脾(ひ)”が弱ってしまうことも原因のひとつ。水分代謝機能も低下するため、むくみなど重だるい疲れを感じるのが特徴です。この場合は豆など粒状の食材で、水分代謝を良くします」
そして長引く猛暑に加え、自宅にこもりがちな生活によって生じたストレスも、疲労の一因に。
「気の巡りが妨げられ、活動する気力が低下してしまいます。解消にはハーブなど香りの良い食材が有効。熱、水分、ストレス対策のいずれの食材も、秋口のこの時期は温かい料理、とりわけ消化の良いスープで摂るのが理想的です」
「とろみ」で、熱を抑える。
顔や手足がほてり、何だか落ち着かない…。そうした状態のときは、熱疲れの可能性大。体の中で水を生み出して熱を打ち消してくれる、オクラやモロヘイヤ、チーズなどのとろみのある食材を使ったスープで養生を。体を冷やしすぎないよう、必ず温かくして。
オクラ、山芋、納豆の豆乳スープ
熱を冷ましながら体を潤すオクラと山芋に、消化吸収を助けて気の補強にもなる納豆をプラス。少し温めた豆乳スープを加えてよく混ぜ、全体をとろりとさせてどうぞ。
材料(2人分)
オクラ…1パック(80g)
長芋…150g
ひきわり納豆…50g
鶏むねひき肉…100g
A
・水…100ml
・酒(あれば)…大さじ1
・おろししょうが…小さじ1
・薄口しょうゆ…大さじ1/2
豆乳…250ml
作り方
- オクラは熱湯にさっとくぐらせ、へたを取って粗いみじん切りにする。長芋はスライサーなどで細切りにし、オクラ、納豆とともに器に盛る。
- 鍋に鶏ひき肉を入れてAを注いでほぐし、中火にかける。煮立ったら弱火にしてあくを除き、2分煮る。豆乳を加えて煮立てない程度に温め、1にかける。よく混ぜてとろみをつけていただく。
丸ごとトマトのモロヘイヤスープ
暑熱を取り去る“解暑”効果が高いトマトは、やや火を入れてその効果をマイルドに。補気作用のある豚肉、水分を蓄えるねばり野菜と合わせてバランスよくいただきます。
材料(2人分)
トマト(小)…2個(200g)
豚こま切れ肉…100g
玉ねぎ…1/2個(75g)
モロヘイヤ…1袋(80g)
オリーブ油 または 好みの植物油…小さじ1
A
・水…400ml
・白ワイン(あれば)…大さじ1
・塩…小さじ1/3
作り方
- トマトはへたをくりぬき、反対側に十字の切り目を浅く入れる。豚肉は1cm幅に刻み、玉ねぎはみじん切りにする。モロヘイヤは軸を除き、葉の部分を細切りにする。
- 鍋に油を熱して豚肉と玉ねぎを炒め、肉の色が変わったらAを注ぐ。煮立ったら弱めの中火にし、あくを除く。トマトを加え、皮がはぜるまで、1分ほど煮る。
- モロヘイヤを加え、しんなりしたら器に盛る。トマトを崩しながら混ぜていただく。
鮭と三つ葉のチーズスープ
血行を良くして熱の偏りを防いでくれる鮭を、水分を補うチーズとエリンギ、玉ねぎ、気持ちを落ち着かせる三つ葉と一緒に。チーズはモッツァレラチーズを使っても。
材料(2人分)
生鮭…1切れ(150g)
玉ねぎ…1/3個(50g)
エリンギ…1パック(100g)
三つ葉… 1袋(50g)
オリーブ油 または 好みの植物油…小さじ2
A
・水…400ml
・白ワイン(あれば)…大さじ1
・コンソメ顆粒…小さじ1/3
・塩…小さじ1/3
シュレッドチーズ…20g
作り方
- 鮭はひと口大に切って塩(分量外)を軽くふる。玉ねぎは薄切り、エリンギは3cm長さに切ってから薄切りにする。三つ葉はざく切りにする。
- 鍋に油の半量を熱して鮭の表面を焼きつけ、いったん取り出す。残りの油を熱して玉ねぎとエリンギをさっと炒め、Aを注ぐ。煮立ったら鮭を戻し、3分煮る。
- 三つ葉を加えてひと煮し、器に盛る。チーズを散らし、余熱で溶かしていただく。
石澤清美さん 料理研究家、国際中医師、国際中医薬膳師。『ちょっと不調を感じたときのスープとドリンク』(誠文堂新光社)など、著書多数。
※『anan』2020年9月9日号より。写真・中島慶子 取材、文・熊坂麻美
(by anan編集部)